僕が君に何を伝えたいかわかるかい?
例えばそれは綺麗に磨かれたまっさらなコップに入れられた一杯の水のようなもの 無駄のないもの 美しいもの 飲み干してしまいたい君を ということ
説明すると野暮ったい だから比喩にとどめよう
僕が君としたいことって何だろ?
やせこけた野良犬がギラギラした目でよだれをたらしておいかけるけどそれは綺麗な飼い犬のために用意された餌で君のものじゃないんだよ だから野良犬は餌にはありつけない 仕方ないから自分の足をがしがしと噛むんだ ゴミ捨て場で足についた生ごみのよごれをぐじゃらぐじゃらとしがむんだ
貪欲であれ 何はともあれ ということさ
僕が君にしてほしいことはもっとひどいものさ
ネズミが何匹も死んでいくようなこと 知ってるかい?ネズミ捕りの罠の残酷さ 餌にありついた瞬間 首ががちゃんと挟まれるんだ針金に 数秒ひくひくするけどそれまで ネズミとしての生涯は終わりさ でも、見てる僕は……動画でみたんだけど、ある種のエクスタシーを感じるのさ。残酷だろう?ひどいだろう?
でもそれが僕さ。僕が君にしてほしいのはそういうことなのさ
わからないかい? わからなくていいのさ 僕もよくわからないから
僕が君にしてあげたいこと、これはまだ分かりやすいから救いがあるね。
猫の背後にさ、長~いものをそっとおいとくんだ、猫はそれに気づくとびっくりする。蛇だと思うんだってさ。
面白いだろ? それが僕が君にしてあげたいことのひとつ。
わからないかい?
それはなぜなら君が僕のことを理解しようとしていないからさ。僕も君をそれほど理解しようとしていない。
そんなに好きでもないからさ、君のことが。今のところはね。
作品データ
コメント数 : 12
P V 数 : 800.5
お気に入り数: 1
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2024-05-03
コメント日時 2024-05-15
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/10/08現在) | 投稿後10日間 |
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2024/10/08 14時36分53秒現在
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「今のところはね。」と、最後のひとことがよかったです。今後は好きになるかもしれないし、本当はすでに好きなのかもしれないと思いました。伝えたいことやしたいことなどが、ユーモアを交えながら照れ隠しのようでもあり、愛情の裏返しの残酷さであったりするのかなと読みました。
0コメントありがとうございます。こちらを好きなのがわかって、からかっている感じですかね。なんとなく村上春樹っぽくなったと、自分で勝手に思ってます。
1怖いって思いました。だけど、その怖いって思わせるものの背後に微かに優しさも感じました。それも怖いです。
0コメントありがとうございます。ネズミ捕りのくだりなんかは悪趣味で怖いと思います。主人公は達観していて怖さを感じてないですね。優しさですか、そうですね、君を傷つけるつもりはないからですかね。
0整理すると、「君に伝えたいこと」、「君としたいこと」「君にしてあげたいこと」、「君にしてほしいこと」の四つですかね? それぞれに「コップ」、「野良犬」、「ネズミ」、「猫」の比喩の話が入ってくる。構造を見てみると、それぞれ平易な言葉たちなのにその組み合わせによって複雑さが生まれている。 これらを並べると「コップ」の話が一番異質で、「君」という澄んだものを飲み干したいという気持ちが現れている。そこからサイコパスのような感情を顕にする「僕」(ネズミの動画のことなど)を見るに、「君」が「僕」の言葉に汚れていかないかどうかを見定める時期なのかなと、最終行から思ったりしました。「君」がどれだけ純粋かの素質を確かめているということですね。 そうすると、「野良犬」は「僕」でしょうか? 飼い犬に与えられている餌のように、他人を見てしまう。自分には何か問題があって、飼ってもらえていない、そうやって人を餌のように見てしまう人間に育ったということを見せる。 だから、餌にありつけたらネズミ取りのように逆に「僕」を捕まえて、そんな醜悪さを殺して欲しいんでしょうね。優しさだけでなく、そういう残酷さも持ち合わせてほしい、と。透明な水ほど毒を持ってそうだとも思えます。 そして最後に、「君にしたいこと」は所詮、驚かすだけ。汚すなんてことはしたくない。汚れそうになる幻影を見せても、透明な水のままかどうかを見たいだけ。他の方も指摘している通り、優しさですね。 確かに、理解云々の話じゃないですね。でも、人が人を好きになることにおいては、大切な考えが詰まった詩だと思いました。
0天邪鬼にも理由がある、ということかなと思いました。
0熊倉さま コメントありがとうございます。思いつきで書いたので、そこまで深く考察されると作者の僕のほうがしどろもどろになります。平易な言葉しか使えないのです。精進せねば。
0黒髪さま コメントありがとうございます。僕が天邪鬼に純粋な君をからかっている感じですかね。深く考えないで書いてるのですが、たぶんそんな感じです。
1ゾクゾクっとします、いいですね
0熊倉ミハイさんが構造から分析を試みておられますが、そうしたくなるのもこの文面から何かしら意図的に隠れたものがあるのでは、という気持ちにさせられるからでしょうね。 筆者は思いつきとかコメントして謙遜していますが、いやいや、如何にも軽そうに捻りを利かせた言葉使いの奥にはやはり深い意味が隠されていますね。策士です。星の王子さまですね。「大切なものは眼には見えない」 積極的な鼠の死とかをイメージするとついレミング(旅鼠)を思ってしまうのだけど、あの集団自殺の伝説も実はW.ディズニーのドキュメンタリー映画「白い荒野」(古い映像なのでたぶん僕は観てないのだけど観てみたい)が引き金になってるらしくて、あれは制作者が意図的に崖に追いつめて海へ飛び込ませた映像らしいですね。そんなことが書かれてある。本当はレミングの集団移動や周期的にみた大幅な数の増減らしいのです。我々大衆はどうしてもドラマ性を求めて作り話受け入れてしまう傾向があります。伝記物の小説もそうでしょう。作者による捏造が真実を追い越してしまう。なんてことはよくある。「伝えたいこと、したいこと」この作品の主旨もそうでしょうね。わざとお捻りを浮かべておもしろい口調で書き込まれてはいますが、実はその奥には我々人間社会への警鐘が隠されている。見せかけの情報に振り回されるな。「真実」は眼には見えないところにあるのだと。
0鈴鳴さま コメントありがとうございます。ゾクゾクしましたか!それはよかった。サイコパスな僕の思惑にはまりましたね。
0長文コメントありがとうございます。ねずみのくだりはユーチューブの動画で見たのを思い出して書きました。猫もそうですね。犬もそんな感じです。自分の経験を詩に落とし込んだといえばいいでしょうか。そういう意味ではエッセイっぽいのかもしれません。人間社会への警鐘ですか!うーんそこまでは考えてないけど、あったのかもしれません。
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