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ワクチン
インフルエンザの予防接種をした日から2日経ち、腕や体が熱くて、氷枕に頭を預ける。秋のクーラーはなかなか効かず、汗がじわじわと滲む。毛布を蹴って頭から被って、また蹴って。自家製のパンを一切れ食べて、牛乳を少し飲み、横になる 昨日たまたまプレーンなパンを焼いた グルテンの発酵を妨げるようなものを入れすぎなかったから、本当にシンプルなパンだ。強力粉390g、塩5g、砂糖16g、無塩バター10g、ドライイースト5gを、いつもは牛乳で捏ねるのに、この日だけは水で捏ねた。ふっくらしているけれど、リッチな味とは言えない。それでも、今の私の体には合っている 今日納期の仕事のために立ち上がり、外の空気に当たると少し楽になった気がしたが、家に帰ると熱さと眠気が襲ってくる 夢の中ではもう、なんだかいろんなものがほどけていく。カセットテープが出てきて、たわんだ黒いテープがどんどん出て、車の助手席のドアに挟まって、ドアを開ければいいのに引っぱってしまい、ちぎれる。なぜかミシンの布押さえが手のひらに残っていて、それがな何なのか考えるのも面倒だ リビングにおりて、テレビをつけると自民党総裁選をやっており、旦那さんと小泉さんがいいよね、と話す。しかしXのトレンドではほぼ高市さんを推していた。わたしたちは一体何を間違っているんだろう この夏は割と元気で、週に3回の祖母の介護にも休まず行けている。この前、1日分だけ納豆を切らしてしまい、祖母がとても残念がっていた。そういうとき苛ついたりしなくなったから、今年がいかに体調のいい年かわかる サービス高齢者住宅の1階の、脱衣所のような石鹸と湿気の匂いにも癒される 汗をかいては体を冷やし、パンをかじり、毛布にくるまり、周りの空気がだるい体の奥にどんどん響く。ニュース画面の文字列と、わたしたちの気持ちの間に、静かな距離を刻んだまま広がり、やがてワクチンが体の奥でほどけた熱のように蒸発していく
ワクチン ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 859.1
お気に入り数: 1
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2025-10-04
コメント日時 2025-11-03
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
|---|---|---|
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| 平均値 | 中央値 | |
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| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文


ワクチンの話なのに、読んでいて爽やかな気持ちになりました。 >リビングにおりて、テレビをつけると自民党総裁選をやっており、旦那さんと小泉さんがいいよね、と話す。 >しかしXのトレンドではほぼ高市さんを推していた。わたしたちは一体何を間違っているんだろう ネット情報を鵜呑みにした麻生太郎が高市を推して総理にしたという話じゃないですか?(テキトー)小泉を推していたはずの岸田も森山裕もいわれるほど影響力ないようで、自分的にはそこがいちばん意外でした。 まあそれはいいとして、去年、病院の窓口でビビったんだけど、インフルのワクチンが4500円もしていやいやいやボリすぎだろ!と。今年は打とうか迷ってます。旅行に行くとかあれば打ちますが。
0コメントありがとうございます。 Xでの小泉さんへの批判がすごくて、びっくりしました。報道ステーションが炎上してたりとか。というほど、わたしも主人もそんなに詳しく知らないままだったわけで。 インフルワクチンは4000円でした。でも今年罹患したときの病院代や何もできないから、ごはんとか作れなくて買わないといけなかったことを考えると、安いのかなと。でも、結局ワクチンの副作用で3日間もご飯作れなくて、すでにお金かかってますが ワクチンがいいのか悪いのか、自民党総裁は誰がいいのか、いろんな意見がありますね。
0あまり主張するところのない詩ですが、イメージが鮮やかに滞りなく浮かんでくるので、ひとつの生活を観察できた気がして、とても良い詩を読んだ感触がして、楽しめました。
0コメントありがとうございます。 今月は身の回りのことを題材にして書いていまして、まさに日記に近いようなものなのですが、そのようにおっしゃっていただけて嬉しいです。ありがとうございます。
1予防接種、お疲れ様です。 >自家製のパン とあって、その下の方にレシピもありますが、ホームベーカリーなんでしょうか?昔は私の家でもやっていました。お米から作るパンが好きでした(丁度14年前ぐらいのころです)。 私の母が手作り化粧品にハマっていたらしく、化粧品の作り方的な本も家にありました。『自分で食べる(使う)ものはできるだけ自分で作った方がいい、その方が自分の状態と合うから』という一種の哲学を感じました。 >テレビをつけると自民党総裁選をやっており、旦那さんと小泉さんがいいよね、と話す。しかしXのトレンドではほぼ高市さんを推していた。わたしたちは一体何を間違っているんだろう 正直に書くと、テレビの意見もXのトレンドもすべて操作されているものだと思っていいし、実際の投票の時に、『なんかダメそうかも?』と感じた時には、別の候補に入れてもよいと思っています。旦那さんの意見も確かに大事だと思いますが、併合する必要まではないと考えます。 ところで、夢についての記述の中に、 >なぜかミシンの布押さえが手のひらに残っていて とありますが、私が読んだときの感想としては、「最後に自身を救うのは手先」、そして、「それさえあれば生きていける」ように思いました。
0仁川路さん、コメントありがとうございます。 お母さまの「自分で食べる(使う)ものはできるだけ自分で作った方がいい」という言葉、とても印象に残りました。まさに今回の詩に通じる哲学のようで、読んでいてうれしくなりました。 パンも、手作り化粧品も、同じように自分の状態と向き合う行為、なんですよね。 また、「最後に自身を救うのは手先」という読みもとても好きです。 自分では意識していなかったのですが、手のひらに残る、布押さえという感覚が、そういう象徴として読まれたのが新鮮で、なるほどと思いました。 読んでくださって、丁寧に受け止めてくださり本当にありがとうございます。
0タイトルでワクチンと言っているので、いろいろな時事的な話題が出て来ても、ワクチンが主題なのは動かないと思うのですがやはり、自民党総裁選や日常のさり気ない話題などが主題を引き立てていると思いました。
0コメントありがとうございます。 「ワクチン」は、私にとって体の奥で起こる小さな反応と、社会の奥で起こる大きな反応が、同じ熱を持っている気がして書いたものでした。 総裁選や家庭の話題は、その熱が日常のなかに滲み出しているような気がして、自然と入り込んでいったのだと思います。
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