雑踏の中、彷徨い続ける詩人は、こう言いました。
「我思う。今私は言わんとしていることは、過去誰かが言わんとしていたこと。創造は、見えない線を読み取る能力。その見えない線は、神を経る感受性によって過去から現在までを正しく繋ぐもの也。正しきとは、なにか? 混迷混沌から人々を救い出し、その正気と振る舞いによって証明されるもの也。竹の如くただ真っ直ぐ聳え、猫のように柔軟に。犬や猿のようにユウモアを忘れず、山のように気高く、森のように深淵に、その好ましきを維持し、向上に努める献身によって支えられる、姿なきなにかである。この大地を這う思考を空へと羽ばたかせる高揚感。内省がもたらしたリフレインによって生み出される、無数の真実。何故? 何故? 何故? に対する解、解、解。答えの後に返答があるように、終わりの後に続くがある。今在る状態から時間を超えて好ましきのみを万物は選ぶことは出来ない。飢えと渇望の後に得ることがあるように、充足の後に足りなきがあり、幸福の後に不幸が訪れるように、貧困の後に潤沢の瞬間が訪れることも、あるだろう」
それを道中で聞いていた一人の少女は、こう言いました。
「戦争の後に、平和もありますか?」
色めかし、あなをかし、古ぼかし。それを受けて安っぽっちのさすらい詩人は、こう言いました。
「ありますとも! 貴方が、望むのなら」
日曜のよく晴れた昼下がり。壇上で休憩中に牧師はそうっと、一人の罪人に向かって語りかけました。
「オォー、罪人よ。貴方が犯した罪は未来思えば良からぬこと。冒涜は神を経る感受性への背徳行為。その欲望は汚らわしきとして罰されることによって、浄化される也。浄化とは、なにか? 洗礼によって払い清められ赦されること、自らを赦すことによって、現在から未来までに新たな橋を架けること也。橋を架けるとは、どういうことか? 塞がれ閉ざされた道を繋ぐことによってその扉をこじ開け、そこから見える光によって希望を約束すること也。花のように萎れても水をあげればまた花を咲かせ、砂土のように雨に降られても地を固め、春風のように優しく、嵐の後の静けさのように生暖かく、慈愛によって癒され、その嫌らしきを退治し、沈静に身を任せることによって得られる透明なる安堵である。その硬き心を柔らかく揉み解し、包み込む安心感。外傷がもたらしたインセインによって生み出される無数の幻影。否、否、否に対する、合、合、合。病の後に回復があるように、問題の後に解決がある。罪なき世界から罰を捨てて生きることは、人は出来ない。疾しきの後晴れやかがいつか来るように、後悔の後悔いなきが訪れ、救いなきの後に救いが来ることもいつの日か、あるだろう」
それを聞いていた罪人は、牧師にこう尋ねました。
「牧師さん。退屈の後、それにつける薬はありますか?」
憎らしや、うらめしや、誇らしや。それを受けて威厳颯爽たる牧師は、こう言いました。
「ありますとも! 貴方が、望むなら」
真夏のアイスクリーム美味しき昼下がり。電線の上で黒いカラスが、こう歌います。
「ワタシ歌うカー。皆皆さんが見ている夢は、この灰色の空を紅く染めるガー。感情は野蛮なる動物の記憶を呼び起こさせる逃れられぬ宿命。痛いところあれば、痒いところあり。悦楽は地獄へと繋がっている報復によって深く生き物に刻まれる也。報復とは、なにか? 蚊が刺された後痒みを残すように、石と石がぶつかり合って、新たな星を作るように、願望と現実が責めぎ合って妥協的産物を生むように、それを愛といい、恋といい、この虚しきと対峙し、報われることを願いながら復される営みである。この俯瞰する視線から鋭く見据えた先に見える世の既視感。攻撃性を兼ねた嘴によって突かれた心身がもたらす闘いによって生み出される無数のドラマティック。撃、撃、撃に対する守、守、守。怒りの後に憎しみがあるように、発散の後に解消があるように、瞬間の後に永遠があり、破壊の後に停滞を突き破るきっかけが生まれることも、あるだろう」
それを地上で聞いていた一人の少年が、こう呟きました。
「呪いの後に、魔法が生まれることもあるかなあ」
驚きや桃の木や山椒の木や、それを聞いて慌ててカラスはこう、歌いました。
「ありますとも! 貴方が、望むなら。カー!」
作品データ
コメント数 : 7
P V 数 : 713.1
お気に入り数: 0
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作成日時 2025-06-02
コメント日時 2025-06-05
#現代詩
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| 項目 | 全期間(2025/12/06現在) | 投稿後10日間 |
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| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
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2025/12/06 02時19分29秒現在
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これまで読んだあなたの作品のなかでは一番マシだと思う。決してすぐれた作品ではないが
1貴方様が選んでそう思ったのならそれでいいのではないですか?
0間違い。選んでないね。貴方様がそう思った。それは全て正しい正解です。では。
0分からない。全く自分とは真逆のタイプだと思う。コメントしたりコメント返したりするたび、泥沼になる気がする。 自分は、これまで沢山の受賞経験があるし、周囲からも常に才能があると認められてきた。 しかし、完備氏のような人は同時に常にいたことも確かなのです。それでいて完備氏はそれなりに認められているわけですよね。確かにそういう人は今までもいた。多分真逆の感性なのだと思う。合わないのだと思うのですよね。それできついこと言ったり無視してきたり、いじめにかかってきたりそういう人ってそういうあたりをしてくるのだけど、僕は何一つ納得出来ない。 思ったけど彼女は、精神障害者なんでしたっけ? 僕は、強制入院から精神病院に入院している。 私の兄は本当の精神障害者で私に対し陰湿な嫌がらせをし続け、やっと放火事件を起こして逮捕され、精神病院に二年入院して帰ってこない。 運星的にも、僕の人生においては足を引っ張ってくるタイプなんだという気がする。僕が火のタイプですが、彼女はおそらく水のタイプです。私の兄がそうでしたから。
0あなたはコメントでよく身の上話しをされますが、まあそんなことは詩の価値を決める上では何の得にもならないのでどうでもいいことですが、~沢山の受賞経験があるし、~周囲からも認められてきた。とご自信で慢心されておられる様子ですが、これは本当ですか?。受賞経験って何処のどんな受賞でしょうか?もちろんお名前は違うのでしょう。差し支えなければその受賞経歴をご披露してもらいたいのです。
0身の上話をしなければ分からない人にいつも話していると思っております。 身の上話をしたからなんだっていうのもあるし、そういう相手に限ってなにも分からないというのもあるのですが。 履歴やそう言った偏見的なもので、人は多く人の価値を決めているのですよ。 私が履歴書なしで仕事通過したら今頃スーパーでも居酒屋でもどこでも働いていると思いますよ。 ファッションひとつ取ったって、人は偏見でその人を見るではないですか? 受賞経験なんか数え上げればきりがないため、ひとつひとつ話すのも大変ですね。そういう洗貝氏や完備氏はなにか一つでもあるのですか? 履歴作りは大変なことですよ。一ヶ月待ちのこともある。半年待ちのこともある。 ココア共和国とかいうので傑作賞を二作、佳作を十二作取りましたかね? これだって私の才能を花開かせたものとはとても言えない、つまり理想とは遠い内容ではありましたが。あとアサヒのテラちゃんあさひてらすの詩のてらすでは、異例とも言える12作以上連続採用あります。後は左翼誌のロッキングオンで記事が三作採用されたかな? ほとんど納得出来ない内容でしたが、採用されたのは嬉しかったな。後は中日の記者にインタビューが来て、それが載ったこともありますよ。中日には読者欄で相当採用されてたな。文才は認められるに限りないものがありましたね。演技力、文章力、ナレーション力、その片鱗を窺わせるようなことを沢山やりましたが、どれも素人の万倍の内容だったと自負しております。 いずれはドリフターズとか、吉本新喜劇みたいなことを、座長を務めてやりたいなあ。 赤塚不二夫先生みたいな漫画も描きたいし、ちゃんとしたロックグループを組んでヴォーカルと作詞プロデュースをやりたいですね。詩は編集も協力者もいない世界で独断で全てを決めるわけで、その本望でない世界ですらこれだけ受賞歴と才能を花開かせてますからね。
0コメント返しありがとう。 そうですか。残念だけど、どの記事もサイトもわたしには縁がないですね。 何れは~頑張ってください。
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