いっその事
面接の途中だったが記憶喪失のふりをしていると
面接官は
やけに濁音の多い名前で私を呼んだ
返事をしようとすると
隣の中学生が首をかしげながら、
先に返事をした。
「うそをつくな。」と、
ゆっくり圧力をかけて言おうとするが
(圧力をかけてしまえば
マヨネーズになってしまうのだろうか?)
しかし
私も「嘘」をつこうとした身の上。
ここは拍手をおくろう。
が、学生はうかない顔をしている。
私はふと足元を見る。
彼の足を私は拍手しながら踏んでいた。
「ごめんな。おじさん、
原罪に気づかないふりをするのも得意でさ。」
と 大人が大人たらしめる悲しい事情を説明した。
「ところで 君は誰かね?」
面接官が色で言うと
群虚群色の顔で首をひねり、言った
私はつかつかと面接官の近くまでいくと
「面接官」の名札をもぎとり自分の胸につけた。
「たぶん あなたは合格です。」
と、スーパーの発泡酒コーナーをながめる目つきで告げた。
18禁コーナーと書かれた暖簾が
はためく様をその場にいた全員、
脳裏に浮かびきったものの、
誰一人として、
それを口に出そうとはしなかった。
「面接官」の名札をとってしまうと
面接官だったそれはしぼみ、
脳味噌のような外観の「皮」になった。
なんらかの調味料になるというのであれば
それは「意味」があるのだと、
ぎりぎり うそぶくのだがなあ。
少年はボールペンのペン先をカチカチ、
音をさせながらフリップに回答を書く。
たぶん
彼は私に高得点をつけるすべを知らんな。
指のあいだに ぶらさがる
煙草が 指と
飴色にからみながら
したたりつつあった
作品データ
コメント数 : 8
P V 数 : 631.9
お気に入り数: 0
投票数 : 3
ポイント数 : 0
作成日時 2025-05-01
コメント日時 2025-05-08
#現代詩
#縦書き
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
閲覧指数:631.9
2025/12/05 21時52分53秒現在
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この作品は、もう少し読み込みたいです。
0僕もちょうど同じ面接会場にいましたよーこれはちょっとした騒ぎになりましたよねー
0毎度、コメントしづらい作品を書き散らしているのかもしれない、と うしろめたい気持ちになったりします。 なんか、すいません。 しかし誰かが一応、読んでくれているのだな、と思うと 反応があると思うと、なんか、そういうのやっぱりいいな、とか思いますよね。
1あの時のうそつき中学生、、、 だったのかい、、、?
1いえいえ、コメントしづらいと言うことはなく、 何回も読む必要があるのは、私の実力不足なので、 お気になさらず。 そうですね。 星新一の、ショートショートを読んでる感じです。 不条理だとか、役割の逆転だとか、 とてもユーモラスに描かれています。 濁点の多い名前、 面白いです。 「がんづべざばだろう」でしょうか。笑 面接官のざらついた嫌な感じが伝わって参ります。 中学生が面接で、しかも18禁。 訳が分からなくなり、ナンセンスなパラドックスとでも言えるような、不思議な世界に誘われます。 原罪に気付かないことが、 大人を大人たらしめる? 原罪。 イヴが林檎を食べ、性を認識したことですよね。 それに気付かないと言うことは、未だに楽園にいて、裸で無邪気でいるということでしょうか。 それとも、事の発端に気付かないという意味なのでしょうか。 面接官の名札を奪ったのは、 面接官として不適格だったのでしょう。 だから面接官だった者は脳味噌のような外観の皮だけになります。 普通の皮はバックにしたり、小物を作ったりできるのですが、 なるほど、脳味噌のような外観では役にはたたないかも、と思います。 少年のクールな行動が良いです。 自分の価値は、ご自分で決めることに賛成します。 シメは、僅かな時間内の妄想であるように思え、面白いです。 ユーモラスな詩を堪能させていただきました。 ありがとうございます。
0コメント、ありがとうございます。 「原罪」という言葉をつかった事が 「正確」な表現といいますか、「適宜」ではなかったかもしれません。 「自分が犯しきってしまったもの」、いまだ犯し進めているもの、と言いますか、 人はどこか、その「罪」というものを 鏡にうつった自分に似てはいるが、 違うだろうな、と安心しきって笑っている時があるのになあ なんて、ふと思って書いたのですね。 面接官の名札をとり、「合格だ。」と伝えたかったのですかね。 感極まって。 皮肉の気持ちからなのか。 心から、なにかに突き動かされた衝動からくる行動だったのか。 不条理に見える本能からくる効率性の高いものだったのか。 僕ごときが「断定」してしまはない方が これに関してはちょうどいいかも、 とかって考えれば考えるほどに 思ってしまいました。 作品、読んでいただきありがとうございます。
1若い頃、中間管理職のおっさんたちが雁首揃えて胡乱な見た目で、しかも(人を見た目で判断してはいけないのだけど)悲しいくらい見た目通りで、なんなんだろう?と不思議だったんですけど。でも今アラフォーになってわかります。つまり真相はどこの会社も「汚いおっさん求む!」であり、汚いおっさん駆動で錬金しているのが、現実。世には「脳味噌も金玉もまったく同じものである(閲覧注意)」いうコトバもあるようですが、おっさんの金玉が可愛いという意見もチラホラ。女性の守備範囲は驚くほど、広い...!
0こんにちは。 なんだか、この作品を機にいま一度、 「おっさん」ってなんなのか、について 考えてもらいたい、と思っていたわけでは ありませんが、「大人の掟」というタイトルの割に、材料たちが男性よりになっているというのは、今頃、気づいた「盲点」ですね。 自分が男性であるがゆえに、 というよりは、「手癖」ゆえに こんなふうになったのか、と 今、気づいてしまったみたいな。 「おっさん」が「きたない」のか、 ある種の「酸化」のような現象による 「うすよごれ」もしくは「よごれっちまった」 いや、「よごれっちまった」というのは ニュアンスとして、 ぼろぼろの2足で、「こころ」が つかみとる、ふりつもった「なにか」に付随するものだから、違うか。 まあもう少し、視点を「広く」してもよかったかもしれません。 マクロ過ぎるのでは、と。 コメント、ありがとうございます。 個人的に反省点が見つかり、 助かります。 精進します。
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