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きみのこと、ぼくの町で   

帆場蔵人 
作成日時 2018-11-09
コメント日時 2018-11-11

 

産まれてから 町のいたるところにいた彼らを 最近では見かけなくなったね、と いつか、きみは言ったが ぼくの田舎ではまだまだ彼らは 町中で立ち尽くし あの狂おしい夏の暑さにも耐えぬき 愚直に人々が課した使命を勤めあげているよ 彼らを見るとほっ、とすると同時に 酷い罪悪感に晒される 雨に晒し、野に晒し、陽に晒して 白状するならぼくだって いま、この時、きみを語り始めるまで 彼らを思いもせず、眼を逸らしていた きみの街では地に埋められた彼らの 同類がひかりに晒される事も 省みられる事もない 大抵のものは消えるのではなく 姿、形を変えられて 名前さえ変えられて すり替えられて隠されて 要らなくなれば 忘れ去られていくだけ 壊れて廃棄されるのか どちらにしても人々は 目を逸らし続ける *** 白い荒野でぼくらは 無自覚に向かい合うこともなく 話していたね 水に落ちるよ、くるくる、クスクス レミングって集団自殺するんだね あー、落、ち、た、オチタ…… 違うよ、投げ込まれてるんだ レミングは本当は自殺しない あれは虐殺なんだよ きみは耳を落としたみたいに 映像に見入っていた *** 電線に区切られた ちいさな夜空、ぼくの町のそら その神話にきみの星座を加えて 美しく飾るのはきっと冒涜だろう 静まり返った深夜の町に立ち尽くす 彼らに跪き、そっ、と抱きしめてみる それは固く鼓動さえ聴こえないんだ 孤独な電柱が死に佇んでいる


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stereotype2085 (2018-11-10):

これは「***」で仕切られた三つの違う作品なのでしょうか。もし一つの作品で、尚且つ「***」が演出として使われているのだったら、音楽における転調のようで、それぞれ三パートが独立して機能し、効果的だと思いました。違っていたら失礼を。

帆場蔵人 (2018-11-11):

stereotype2085 様 コメントありがとうございます。仰る通りこの作品はひとつの作品を3つに別けています。ぼくにするとあまり描かない手法を模索しています。一応、先月の作品、唯一の友だち、でも試しました。 回想や時間の転換の印として「***」を使っています。効果的だと言うコメント、非常に嬉しく思います。

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