あなたがそばにいなくても
あなたと話していなくても
ふと雑踏の中で
私は振り向いてしまうのだ
あのエキゾチックな匂いが鼻をくすぐる
この世であなただけだと
そう思っていた
匂いは、いちばん記憶に残るらしい
あなたは言った
私は信じなかったが
今なら頷ける
そうだよ
恋しいよ
かつてのおまえが恋しい
今のおまえは誰よりも憎い
だが誰よりもおまえを愛しているのは私だ
おまえの香りは、なかなか消えてくれなかった
擦っても擦ってもずっとある
どうしてくれる
どうしてくれる
----答えなくていい
昨日おまえに会ったとき
匂いがして
つい眉を顰めてしまったのは
しょうがないことだ
あなたが気づかなくても
この世の誰も知らなくても
私の心の底の底の底、
誰も知り得ないところに
この嫌悪と
愛と
後悔と
憎しみと
いろんな味のする液体が
ぽとぽと ぽとぽと
ととととっ
溜まってゆく
そんな私の好物、をかき込んで
胃の中と脳みそをぐるぐるさせると
自分と世界を隔てる境界の目の前にいた
自分の意地汚さに嫌気がさした
孤独で身震いしそうになった
でもしなかった
外の寒さの方が堪える
そんな秋の、はじまり、はじまり
素敵な季節にしましょうね
作品データ
コメント数 : 5
P V 数 : 500.8
お気に入り数: 1
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2025-10-25
コメント日時 2025-11-16
#現代詩
#縦書き
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
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| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
閲覧指数:500.8
2025/12/05 21時26分15秒現在
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こんにちは。 はち切れてしまったか、 いやまだなのか、 そんな張り詰めた感情の流れを ひしひしと、感じました。
1憎しみや汚らしさを告白していても、この詩人のこころは美しいと、芯から感じられます。愛というのは、色んなものを巻き込んで、昇華して行くものなので、煩悩即菩提というように、汚いものも認めながら、だんだんとこころの働きが、悪いものを浄化していくのだと思います。正直に向き合う強さが、うまく働いて詩になっています。
1あのエキゾチックなにおい。匂いがして眉を顰める。秋のはじまりとは。やや寒、秋寒、夜寒など秋の季語で、寒いが含まれる、晩秋の季語はたくさんありますが、この詩ではまだまだ秋の始まり。何か詩のスタートが切られたのかもしれません。
1匂いが一番記憶に残ると言う話は私も聞いたことが有ります。主観的にもそうなのかもしれませんが、科学的にも正しいのだそうです。
0匂いと一緒に綺麗な記憶に蓋をしたままでいたいですよね
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