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悪魔を憂う死神の唄
ⅩⅢ‘s Song Who Worrying Over ⅩⅤ これまで、星と悪魔にとっての共通のカウンセラーとして、あなたを選んだわけなんですけど、なにか発見とかはされましたか? ……ええ、私です。悪魔の友人ですよ。 情報共有のために、私もあなたにお話をしたいと思いまして。 そして顛末についても、今後耳に入ります。 私は死者の魂を、リユースできる状態にする役割でして。それを一般的には「死神」と言うんでしたっけ? 終わらせる方法を知っているのであれば、続ける方法もまたわかるとして、救護の役目も持っていたりするんですが。 ロアちゃん……いえ、悪魔とは、旧知の仲でして、昔は苦手な教科を教え合う仲だったんですよ。あの子、優しくて真面目なんですよね。ただちょっと食いしん坊なところがあって、そこもまた可愛いんですけどね…… 私と星との関係性ですか?人間の世界で言うのであれば……元恋人、って感じなんですけど。 私は、一度断った縁は復活させたくないんです。私が別れたの、あいつが誰も彼もと遊びに誘うし、私だけとのデートだと思っていたら他の人も誘っていたんですよ……! というのは、話の本筋ではないのです。 悪魔がハサミで星の首筋に大きめの傷をつけた時、私ぐらいしか医療の心得が無かったものでして、そうなると私が呼ばれることは確定事項なんですよね。 出血も傷も深くて、デスク周りの血の飛び散り具合もひどかった。社内で出血事故が起きたら真っ先に私が呼ばれるんです、私は死神なのに。 ロアちゃんは完全に恐怖に力を抜かしていて、出血多量ながら星はロアちゃんにしがみついて、好色の結末って感じがしてたんですよ。 星からロアちゃんを引っぺがして、ロアちゃんのケアを他の人員に任せた後、私は星と対峙したんです。 ……忘れていてくれていたら、どれだけ踏ん切りがついたのでしょう ……どうして星は、愛した人を忘れないんでしょう あんなにも、色んな人に好意を振り撒くのに。 私と同じように、誰しもに接していたんだって。 彼は、私に、「僕と別れて、幸せになったかな?」と聞いてきた、私はそれに「今不幸になりました」と答えた。「そしたら、次は幸せになれるよ」と言って、星は意識を失った、私は星に局所麻酔を打ってから、首筋の傷の縫合をした、大体10針は縫った。 私の中では、処置しなければここで死ぬだろう、と思ってだらけようとする気持ちと、唯一のプログラマーだぞ、と思って助けようとする気持ちの二つがありました。 仮に前者を本能、後者を理性とした場合、ギリギリで理性が打ち勝った、というわけです。 それから、ロアちゃんのメンタルケアもしてたんですけど、『部外者』に聞いてもらった方が回復が早いのでは、と思いまして、あなたに相談するように話したんです。 ロアちゃん、悪魔と言われるほど悪い子じゃないと思いますよね?あの子は優しい子なんです。私みたいな死神と仲良くしてくれるんですもの。 ……で、えーっと、人事部の方に話を通して、ロアちゃんと星を引き離すように進言したんですよ、んで次はその人事部の方が、星の次のターゲットになるのでは……と思うのです。 だって、人事部の方は星の隣のデスクに異動されますし……いざとなったら、メスを抜く覚悟はあります。 一応、心配はしているんですけど、正直、あなたが狙われるよりは心配はない、と感じてもいるんです。 だって、そうでしょう? 第四の壁越しの愛は、結局結実しないオクラなんですよ?
悪魔を憂う死神の唄 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 652.6
お気に入り数: 0
投票数 : 6
ポイント数 : 0
作成日時 2025-09-07
コメント日時 2025-10-24
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
- 虚構に棲む三位一体 (つつみ)


こんばんは、 >>星と悪魔にとっての共通のカウンセラー という着想がすばらしくって、つい見惚れてしまいました。 >>悪魔がハサミで星の首筋に大きめの傷をつけた時 「悪魔」と「星」という関係性、しかも共通のカウンセラーなんていう関係性の構築は全く考えたことがなかったので、不意打ちといいますか、驚きと新鮮に満ちた詩体験でした。
0コメントありがとうございます。 こちら、シリーズものとなっておりまして、前々作「悪魔を愛した星の唄」、前作「星に害された悪魔の唄」があります(既にB-REVIEWに投稿されています)。 実は「作中の登場人物に読者がカウンセリングを行い、事件を明るみにする」というのが重要になってきていて、死神と悪魔の関係性でカウンセリングができないか? と問われた場合、「多重関係になるので不可能(友人関係、職場関係)」、という回答になります。死神と星なんかだと、もっとダメです。 そのため、外部の人間(つまり読者)を必要とする物語となっております。 こういう書き方をする作家さんで有名どころと言えば、夢野久作さんです。私は言葉遣いや作風、テーマ選びなどの面で、夢野久作さんを敬愛しています(初版本を集めるほどではない、家の床が抜けるので)。
0こんばんは、詳しく教えて頂いてありがとうございます。 >>外部の人間(つまり読者)を必要とする物語となっております。 なるほど、そう言うことだったのですね。 過去作品もまた読ませて頂きます。
1結実しないオクラ=ハルシネーションと言う内容にこの詩の覚悟が有ると思いました。第四の壁越しの愛が結実しないオクラであると言う事の謎を解き明かすモチベーションが沸き上がって来るので、この詩を読んだ人に対して、この詩作者は何かある種の覚悟と言うか、決意の物の様なものがあるに違いないと思ったからです。
0オクラの話に着目してくださりありがとうございます。オクラは実体験です。 基本的に、野菜を家庭菜園で育てるモチベーションって、「結実」すること、そしてそれを美味しく食べられるか、自分(人類)にとってどのような効果があるのか……? が元になっていると思うんですよね。それに人間の恋愛行動って、野菜を家庭菜園で育てるようなものと似ているじゃないですか。 フィクションの側からもたらされる「愛」は、(人間が二次元の存在を愛するのとは違って)極論的に……という話です。 ここ最近の生成AIからの恋愛感情も、結局そのような形なのかもしれません。
0非現実を実体として描くことに新たな文学性を感じた。
0はじめまして、コメントありがとうございます。 日比野さんが普段どのような傾向の作品を読んでいらっしゃるのか不明瞭ですし、そもそもの「文学性」の指すものって、人によって違うので(わたしは人類に読了可能な形式で、文字を主体とした創作物のことを文学と呼ぶように考えています)、なんとも言い難いんですけど、古くは日本神話やギリシャ・ローマ神話、最近ですとSCP財団のTaleが『非現実を実体として描いているもの』として見受けられます。なので、別に新しくもなんともないです。街路樹に影が発生するようなものです。
0すみません間違えて何も書かずに押してしまいました。こういうファンタジー要素のある作品大好きなんです拝読してわくわくします。
0人間はだれしも間違いをする可能性がありますが、それは「やろうとしたから」間違えた、というだけであって、間違えること自体は何も悪くありません。(ただ、通知欄を見て「ん?」となってしまったことは事実です) こちら、シリーズものとなっておりまして、前々作「悪魔を愛した星の唄」、前作「星に害された悪魔の唄」があります(既にB-REVIEWに投稿されています)。もしお時間のご都合よろしいようでしたら、ぜひそちらも読んでみてください。後悔はさせません。
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