隣に座っていた少年は、黙々と、ラジオのチャンネル
を合わせていた
ノイズを回す小さな指先の綺麗な爪
ジオラマの山奥から、うざったい電波
窓を閉め切る重要性を延々と語るバスガイド
僕の手のひらにはべったりとして縄
かわいげにささくれ
しっかりと縄の役割を知りながら嗚咽していた時、少
年はラジオを手離さず、目だけは僕と合わせて、耳
をぴったりとスピーカーにつけていた
首のしこりが
耳たぶの出っ張りが
眼の中が気になる年頃になって
車酔いするよと言われながら開けた弁当箱の中に、ま
ばたきをすれば届いてくれるおにぎりとウインナー
のバーコード
そっと箱を閉じればアナウンスされる
消灯されないバス
夜の水面
歪んだ隙間から這う肺胞の天敵
やっとラジオから離れた少年の手
いつの間にかしわだらけにふやけていて
その速度に心底吐き気がした
スマホを打つ僕の指先の爪の割れから垂れる界面活性剤
地に足つかない不相応な幸福はある
君のラジオは防水式?
少年は何も答えずに僕のノイズを回して
やっと天国にも地獄にも無い電波をキャッチした
法定速度を守り続けるバスのリクライニングシートを
倒し
子どもっぽくひと欠伸できる
長いまばたきに住み戻る前
サテン製の手袋をはめ、地球のコンセントを入れる事
作品データ
コメント数 : 5
P V 数 : 564.3
お気に入り数: 1
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2025-07-31
コメント日時 2025-08-17
#現代詩
#縦書き
| 項目 | 全期間(2025/12/06現在) | 投稿後10日間 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
閲覧指数:564.3
2025/12/06 02時15分07秒現在
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凄いです。息を呑みました はじめて高速でトンネルに入ったときのようでした 天井のライトを見つめていました コラージュ感覚にもリスペクトです
1おはようございます。 >>開けた弁当箱の中に、ま ばたきをすれば届いてくれるおにぎりとウインナー のバーコード おにぎりとウインナーのバーコードという表現が気になりました。 既製品という意味か、それ以外の意味か。ウインナーの切れ目もこじつければ、バーコードかなとか。 不思議な表現ですね。
1不思議な妄想詩。 僕と少年は光速移動中 少年は電波干渉を受けている もちろん僕と少年は光速移動中なので触れ合うこともない。 そして彼は過去の世界を電波で探索しているのだが、僕ときたら優雅に未来宇宙から真空を移動中なのだ。 つまりこの光速移動中のバスの中で停止した状態の二人が、過去と未来が重なる周波数の頂点で空間を共にまみえているのだ。 理論的に考えれば、おそらくこの少年は過去の僕だろうが、僕にはそんな覚えもない。 だいいち僕と少年の目指す目的が何処にあるのかもわからない。 これは0.000000000000000000秒間の一コマを切り取った僕の無意識の状態なのだから。ってことかな。ごめんね。つまらない妄想批評で、笑
1描写が凄い
1あ!ピンと来ました。 「僕」と「少年」は、同一人物で、 「少年」は「僕」の過去の姿かな?と思いました。 >やっとラジオから離れた少年の手 >いつの間にかしわだらけにふやけていて ここです。 「僕」と「少年」が重なっている。 「僕」は、たぶん罪人かな?と思います。 そして、「悪魔」と呼ばれる高次元の種族でしょう。 罪人の「僕」が、 地球を支配している。 タイトルの「スキップ」は、 時間を、空間を、「スキップ」してるということではないでしょうか? とても面白いです。 ありがとうございます。
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