不細だった

暑さに負けて袖をつかんだ。アイスコーヒーを飲んでいる。みんな好きな、あのセブンの。蝉よ不快よひっついたままクリニックの観葉植物あせっかき葉っぱを揺らす診察後、新たな予約を七月末に取った。硝子のドアーが勝手にぽおっと開く。駄菓子屋を右へ曲がると二丁目の大通りから逸れて例のコンビニがあり学生らの　笑い声が　漏れる。《ガム》《アイスバー》《当たりくじ》お会計待ちの人の鞄から赤いハートのマークの御守りが ──揺れた期待外れ　はずれくじ　そんなばっかり不感症の豚みたいな瞳で英語のページに入り友達を探した。《OL》──《wife》──《salary man》──《student》── 　　　《Search 》不細　私の瞳　けだもの「空を見上げる瞳に偏見はこもっているか」「空はどう見られたいのだろうか」 ––––––– 電車の扉の前で髪なんか直してるとナルシストだって思われそうだ。吊り革へギュ、と力を込める。恐い。「ぶっさいくだなあ」はっと身を捩ったら隣の女性のイヤフォンから声が漏れていた。駅について、ベンチへ、なだれ込んだ。こんなところで吐いちゃいけない。震えていたら変な人だと思われる。瞼を閉じながら自分をとじこめた。あの人達には悪意がないそういうのは、そういうのだ。痛みを、瞳ごと、とじこめた。偏見だなんてわたしたちが見たいようにしか物事を見ない。再生するだろうどんなビデオも。恥ずかしくて膚を隠した。心が脳であるならどうしてこんなに傷付きやすい世界にして、しまったのだろう。一番賢い人が一番優しい世界を作ればよかった。飢えた舌をまるだしにして生きてる。蝉の抜け殻を潰した。不細だった

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作品データ

コメント数　： 4
Ｐ　Ｖ　数　： 781.2
お気に入り数： 0
投票数　　　： 2
ポイント数　： 0

作成日時 2025-06-06
コメント日時 2025-06-06

#現代詩 #縦書き

項目	全期間(2025/12/05現在)	投稿後10日間
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2025/12/05 19時57分00秒現在
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叙情性	0	0
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コメント数（4）

レモン

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(2025-06-06)

私は、今現在病院で、猛烈に虐められています。だけど、あまり辛くはないのです。毎日、空を見上げて、｢今日の青空は綺麗だなぁ｣とか、｢今日は曇りか。雨がふるのかな？｣とか、空にとても慰められています。不細工。ブス。豚。どう言われても傷つかずにいられません。ずっと、家族から、｢不細工、不細工｣と言われ続けて育ちました。最近になって、心掛けるようになったことは、鏡を見て、美人・ブスではなく、自分が納得できる良い表情をしてるかどうか。強がりなのでしょう。辛いことがあっても、私を虐めているひとたちには、絶対涙を見せまいと決めているので、いつも頭を高く上げ、嬉しいこと、楽しいことだけを考えて、微笑んでいます。今日は暑いので、おニューのワンピースを着るのが楽しみです。先ほどの散歩でハンドタオルを失くしたので、新しいハンドタオルを買うのが楽しみです。私も今日は｢こんなところで泣くもんか！｣と、ありったけの想いで、涙を我慢しました。蝉の脱け殻が美しいように、傷つき易く、繊細なこころを持って、生き辛い中、一生懸命生きているあなたは、間違いなく、美しいです。ありがとうございます。

ぼんじゅーる

レモンさんへ

(2025-06-06)

ありがとうございます。強がりと、自ら言える人を僕は信用出来ます。強がりなんですよ、色んなこと。通り過ぎてった言葉達に涙する日も有りますが強がりがわたしたちを救ってるよな気もします。多数派が綺麗な品を選んでも、同じのを取らなきゃいけない義務は僕にはない筈です。きっとみんなどこかで綺麗。どこかで不細。

紅井ケイ

作品へ

(2025-06-06)

「醜形恐怖」という病気があって、自分を異様に醜いと感じたり、他人に常に笑われているように思い込むというものだそうです。この主人公もそういった類いなのではないでしょうか。クリニックや電車のシーンで、そう思いました。

ぼんじゅーる

紅井ケイさんへ

(2025-06-06)

こんにちは、コメントありがとうございます。醜形恐怖、視線恐怖、対人恐怖と他者の気配と言うか視線に晒されて辛い人は沢山居ますね。よく考えてみたら、電車なんか精神的に圧迫を感じる場所だなーと僕も思うので、それらの感覚に不思議はありません。「思い込み」ってなんで離れられないのでしょうね。切替が重要って耳がたこになる程訊きますが、病理かなんだか分かりませんが、切替しやすい人とそうではない人が極端に存在していると感じます。