左手がふらあと
暗闇に吸い込まれたまま
黒い瞳があとからあとから
確かに熱を持ちました。
今なら
爪を百個に碎いて
心臓を清潔に
すっとあなたに
差し出せそうですが
絶頂が割れて溶け出した
二人切りの弛まぬ時間に
倔い光だったが為に
わたしは
咄嗟にあなたの
指や腕を
つよく掴んでしまい
雨に無茶に打たれる事を
忘れていた
……………
愛の詐称をした者の前で
無防備に
足を開いていたら
傍観者となり
外では
「じゃん、けん、ほい」
という
子供らの喧しい声の囁きが
二度、三度
わたしのあたまへ
抉るような態度でつたわって来ました。
……………
倔い光に導かれては
「あいこ、でしょう」
と全部を
有耶無耶にされ
波に
解けていく。
………………
「あなたの、波がいい」
「耳もとへ、口づけて」
囁く
あけてくれた耳飾り
とうめいの恋の
まあるい輪
薬指に全部ひみつを、隠して
綺麗になるための
道具でしたか。
すこしカタになっている
指を揉んで
「あっ赤いのね、ばかみたい」
時間が、ほぐれた 瞬間
……………
どう猛か周到か
闇が掌をかえした際には
追いかけるあなたが鳥になり、
いずこの島へ
消えていったのです。
「あ…あなたの波がいい」
「あ…耳もとへ口づけて」
また
わたしは波を失って
また…
わたしは顔をあらう
一人、霧 剃刀を眉へ偲ばせ
祈りそのものへわたしは
唇をよせた。
作品データ
コメント数 : 8
P V 数 : 813.4
お気に入り数: 1
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2025-05-11
コメント日時 2025-05-14
#現代詩
#縦書き
| 項目 | 全期間(2025/12/06現在) | 投稿後10日間 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
閲覧指数:813.4
2025/12/06 03時51分11秒現在
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哀しかったり、熱を帯びてたり、童歌のようだったり、美しかったり、 部分、部分で印象が変わりました。 祈り。なのですね。 だから全体を通じて、クリスタルだけの透明な万華鏡をくるくる廻しているような、 なんとも言えない哀しみが根底にあるのですね。 密やかで清潔です。 余韻も良く響いています。 エロスは感じません。 いえ、全く感じないというより、映画「吉原炎上」の火事のシーンで、まだ遊女として1人前になっていない少女と、財産を失った主人公の男性が綾取りをして、火事の中、切実なセックスをするシーンがあるのですが、それに印象が似ていると思いました。 熱を帯びた哀しみの詩だと思います。 ありがとうございます。
0ピュア という表現がぴったりな作りの詩ですね。 リングを着けた指先に語らせる。みつめる瞳。 身体の動きをこころで掴み取る。囁く言葉たちですか。 上手いし。真水でこころを洗うような爽快さとちょっぴりせつなさも感じる。 これはアカデミックな作りを経験してきた人たちにはイケるでしょう。 是非、現代詩人会への投稿をチャレンジもオススメします。
1モンタージュ詩になるのは永遠の悩みですね。 頑張ってはみてるんですが、 どうも感情優位の詩になる為に 抽象的な表現で、理解しづらい比喩暗喩も多いと思います。 今回は、冒頭、暗闇に手を捧げている自分を 表現する言葉が見つかり そこは喜ばしかった。 いつもありがとうございます。
1ありがとうございます。 僕は情念が深いと、自分では危惧しているのですが 蓋を開けてみればピュアだと言われることがあるので、 自分でもその部分のむし謎を 持て余しています。不思議です。
1ありがとうございます。 僕は情念が深いと、自分では危惧しているのですが 蓋を開けてみればピュアだと言われることがあるので、 自分でもその部分のむし謎を 持て余しています。不思議です。
0失礼。押し間違えてしまいました。 むし謎ではありません。 でも今回はむし謎にしておきます。
0ふたりの秘密なのですね。 ことりのさえずりのような詩だと思いました。
1ありがとうございます。 ふたりの秘密なのですよ。 チュンチュン、でしょうか? ホーホーでは、いかんでしょうか。
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