・種・
言葉がわらって弾けて
青い波しぶきに似た眩しさ、私のものと違う。じっと我慢して、じっと耐えて、私の容れ物が耐えられなくなる頃に、心の柔らかいところから 割いて生まれる、血濡れた刃が、言葉、になってしまうのに。言葉がわらって弾けて、陽だまりにくつろぐ猫の自由な毛並みの柔らかさは私のものと違う。私と違う。私のものと違う。 私は刃から血を滴らせ、振り回しながら、叫び、泣き喚き、地に額をつけて懇願してそんな自分にずっと傷ついているのに、どうしてどうしておまえらだけは綺麗な目に鱗粉を振りまいている、憎らしくて、羨ましい
・比較・
クスクスわらって弾ける
青い波しぶきに似ている
眩しさを伴う
これが、言葉か
私のと違う
じっと我慢して
じっと耐えて
私の容れ物が破裂する前に
心の柔らかいところから
割いて生まれる
血濡れた抜き身の刃が
言葉のはずだったのに
クスクスわらって弾けて
陽だまりにくつろぐ
猫の自由な毛並みの柔らかさを
まじまじと見て
私のものと違う
刃から血を滴らせ
生まれてしまった!と嘆き
なりふり構わず振り回して
叫び、泣き喚き
どうしてを繰り返し繰り返し叩きつけ
地に額をこすりつけ懇願し救いを待つ
そんな自分が惨めったらしくて
ずっと傷ついて
泣きながらペンを握る
私を幸せにしない
幸せから隔離する
これは
痛さの記録で
不幸の訴えで
わがままな心の露悪的な日記で
誰に届いても誰でもいい私の祈りの手紙で
ペンが私の不幸せを綴る
・血文字・
クスクスわらって弾ける
青い波しぶきが目を洗う
眩しさを伴う
私のものと違う
クスクスわらって弾けて
陽だまりにくつろぐ
猫の自由な毛並みの柔らかさを
まじまじと見て
私のものと違う
じっと耐えて
私の容れ物がひび割れてきた頃に
心の柔らかいところが苦しみ
身を割いて生まれる
血濡れた文字が臓腑から転がり落ちる私とは
随分違う
体から血を滴らせ
生まれてしまった!と嘆き
なりふり構わず汚れを押し付け
叫び、泣き喚き、
少しでも関心を持つものに縋り付いて
どうしてを繰り返し繰り返し叩きつけ
地に額をこすりつけ懇願しすすり泣き
救いを待つ
そんな自分が
ずっとずっと怖くて
泣きながらペンをとる
これは幸せではない
これは
痛みで
辛さで
私の血が広がっていく
私を私の
嘆き悲しみ苦しみのために
忘れ去られないように
私はずっとそうやってきた
scroll
作品データ
コメント数 : 5
P V 数 : 266.2
お気に入り数: 0
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2025-12-13
コメント日時 1 時間前
#現代詩
#縦書き
| 項目 | 全期間(2025/12/15現在) |
| 叙情性 | 0 |
| 前衛性 | 0 |
| 可読性 | 0 |
| エンタメ | 0 |
| 技巧 | 0 |
| 音韻 | 0 |
| 構成 | 0 |
| 総合ポイント | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
閲覧指数:266.2
2025/12/15 01時02分02秒現在
※ポイントを入れるにはログインが必要です
※自作品にはポイントを入れられません。
詩のようなものを書こうとペンを握る人は 多かれ少なかれやーれんそーらん、そーらん と嘆きの節を胸の内で歌っているのでしょう。 そんなことをおもいました。
0悲嘆を押し殺すことができ、目の中に空が浮かぶような、陽だまりのような素敵な世界を描けるのならそれは私とは違う人だと思って、勝手に孤独に思ってしまいます。
0基本的な詩は同じなのに、 ことばを変えるだけで、ずいぶんと印象が変わりますね。 それぞれの詩の組み立て方が、 見事で、凄い!と思いました。
0同一テーマを変奏させるように「3部作」としているようですが、詩の止め方、一つの作品としての行き着く先に迷いがある、ということなのかとも思います。自分の中の「感じ」や「思い」をうまく表現できない違和感と、言葉そのものが好きでたまらなくて、言葉だけが先走る感覚が伝わってきました。 最初の散文詩形式のものが、内容の衝迫的な印象とも形がマッチしていると思います。
0詩の構造に驚きました。
0