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表層   

徐々にでいいから 
作成日時 2017-11-16
コメント日時 2017-12-08

 

相容れない静かな表情の壁だ ぼくの不安とは あまりにかけ離れた強固な壁だ 対峙するとき 浮き彫りになるのは 内部に他ならないのだが そこでも空洞を想像させる女の表情が 壁 として聳えている けれどぼくは むこう側には興味はない 正体とかそんなものには動かされない 大事なのは表層だ きみの美しい表にのみ内部は揺さぶられる 相容れないひんやりした壁に 額を押し付けるとき 確かなほうに傾くのは ぼくが抜け道を見つけた鼠であるからか 鼠が 壁をかじるときにはもう 女は笑っていて 緊張の内部にはいないけれど


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白島真白島真 (2017-11-16):

う~ん、分かるようで分からない詩です。 俗な読解で全く見当はずれな読みかも知れませんが 読んでみます。 壁に芸能人だか、好きな人の写真だかポスターが貼ってあり 主体である「ぼく」はそれをじっと見つめて、あれこれ妄想にふける。 (どうして、こんな表情ができるのか、どういう内面を持った女なのかetc、etc) しかし、所詮、写真なのでそんなことは分かるはずもなく ともかく表層の表情にのみ、主体の関心は移っていく。 最後に2連は分かりませんでした。 壁の写真、ポスターに抱擁したい思いを 鼠の登場で自己戯画化したようにも読めますが。 「抜け道」「確かなほう」この2詩句が読み取り難解でした。 ふっと我に返ったということ?

花緒 (2017-11-17):

面白く拝読しました。女は常に他者として立ち現れる、とかなんとか言うような帯広告を読んだことがあるような気がします。アドルフォ=ビオイ=カサーレスのモレルの発明とかそんな小説だった記憶があります。他者であると言うことは、内面がよくわからないと言うことでもあるでしょう。相手を見ているようで、壁に投影した幻を見ているだけかもしれません。なかなかに洒落た一作のように感じます。

まりも (2017-11-18):

壁、実際の壁ではなくて、心理的な障壁、であるような気がしますね・・・ 発想もとは、壁のポスターかもしれませんが。 1連、2連のリズムが作りだす緊張感、実景であるように見せつつ、暗喩的な重層的世界に読者を引き入れていくような言葉の選択、語尾の重ね方、きびきびした進行などに惹かれました。 3連目に、少し口語調に傾いた、肉声というのか、日常思考に引き戻した発話があり、 また4連、5連と、詩的思考の域に戻って、実景のようなメタファーでもあるような、危ういところで緊張感を保ちながら詩を閉じる。 〈女〉が、魅力的な笑みを称えながら、私を読み解いてみなさい、私の中に入っておいでなさい、と妖艶に誘う「詩文」であり・・・実際に読み解いていこう、行間に入り込んで行こう、とすると、壁にぶち当たって拒絶されてしまう。そんな作品に出合った時の困惑、そう読んでみると(作者の想いから、飛躍してしまっているかもしれないけれど)すごく面白い一作だと思います。 そういえば、長田弘が、エミリー・ディキンソンの家に住み着いたネズミに成り切って、詩人の心の内を描く、という児童文学がありました。 読みを拒否する作品、その壁を齧ってすり抜ける、歯が欲しい。ネズミ年なので、なおさら。

沙一 (2017-11-19):

はじめまして。 私はこの詩に、官能性を感じました。とくに最後の四行に。 言葉から浮かぶイメージも美しく、まとまりのある作品だと感じました。

survof (2017-11-19):

ちょっと難解ですが、それでも知的な雰囲気のあるとても洗練された印象のある一作ですね。雰囲気の向こう側をあまり感じられないという感覚もあるのですが、それが作品中の「むこう側には興味はない/正体とかそんなものには動かされない/大事なのは表層だ」というステートメントと被さりあって作品が入れ子構造のようになっているようにも感じられるのがとても興味深いと思いました。であればこそ(欲を言えば)もっとこの作品の「美しい表にのみ」自分の「内部」が「揺さぶられる」感覚を味わってみたかったな、というのが正直な感想です。

百均@B-REVIEW ON/ (2017-12-08):

少し読みにくい作品かなぁと思いました。後々になってくると、具体的的になってくるからです。頭から読もうとするとこんがらがるのかなぁとおもいました。でもそこは多分ちょっと意図的な部分もあるのかなぁと二回くらい読んで思いました。それは、心地よいストレスのかけられ方、というのかなんとか。二週目にパンと脳に焼き付いてくる感覚がいいですね。 >相容れない静かな表情の壁だ >ぼくの不安とは >あまりにかけ離れた強固な壁だ > >対峙するとき >浮き彫りになるのは >内部に他ならないのだが >そこでも空洞を想像させる女の表情が >壁 >として聳えている …(中略)… >大事なのは表層だ >きみの美しい表にのみ内部は揺さぶられる ここが面白い。静かな表情の壁は、相容れない強固な壁。それによって浮き彫りになる内部の所在は、語り手にあるのか、それとも対峙する表情の側にあるのか、分かりませんが、しかし、そこに接ぎ木されるのが。「空洞を想像させる女の表情」 更に大事なのは表層ときて、「きみ」という対象が提示され、揺さぶられる内部は、そのきみの美しい表にのみである、という。 単純に表情の読めない素敵な彼女に心動かされる男のスケッチみたいな風に言ってしまってもいいと思うのですが、個人的に好きなのは「大事なのは表層だ/きみの美しい表にのみ内部は揺さぶられる」です。 きみの表情に心揺さぶられるとこう書いてしまっていない、あくまでも表層であって内部、それは壁であるし、壁の中は空洞なんです、表情から情、つまり心、あるいは正体、向こう側なんてどうでもよくて、人と人が額を付き合わせるのって普通あったかい物を感じる時にすると思うんですが、ここでは「壁に額を押しつけた時に感じる冷たさ」なんですよね。 でもそこで鼠が壁をかじってしまうと、笑ってしまうから、そういう冷たさが溶けてしまう。緊張の内部、わざわざここまで丁寧に回避した情の部分が出てきてしまう。というオチがあるのかなぁと思いました。 単純に、受ける文章じゃないと思うのですが、個人的には凄く好みです。


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