名前のない獣が吐く白い息。
清潔になりたいと願った。
水面に手を伸ばす。君は嘘をつかない。
巻き戻して欲しい。
誰もいなくなった。静かに、こっそり、しかし確実に。
「僕ももう帰らなくちゃ。」
どこに?
存在しないはずの過去に想いを馳せる。
コントラバスが轟々と呻る。冗談すら息をしていない。
本当の話をしよう。
身体は乱雑に折り畳まれ、意識は叫び声と共に霧散する。
言葉に置き去りにされた本当の意味
皮膚を脱ぎ捨て叫ぶけど
祈りでは誰も救えない。
君の祈りはどこにも届かない。
君の祈りはどこにも届かない。
君の祈りはどこにも届かない。
救済を模して 尚別つ
呼吸もしないで 夢を見る
1秒が100年かもしれないし、100年が1秒なのかもしれない。
でも、真実なんてどうだっていい。
そうだよね?
もう帰れないって 手を離す
まぶたを開いて 夢を見る
もう、電気とか、価値とか、体温とかに、煩わされることもないね。
もう、大丈夫だね。
安心だね。
あいしていたよ。
みえたものぜんぶ、みえなかったものぜんぶ
作品データ
コメント数 : 2
P V 数 : 1363.9
お気に入り数: 1
投票数 : 3
ポイント数 : 5
作成日時 2021-05-07
コメント日時 2021-05-13
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/07現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 4 | 4 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 5 | 5 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 1.3 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0.3 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 1.7 | 2 |
閲覧指数:1363.9
2024/11/07 01時53分08秒現在
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書き出しから既に???と頭の上に浮かんだ状態のまま、最後まで読みました。誰かに伝えたい物事があって、それを的確に言葉に置き換えられる力があることが羨ましいです。祈りは届かない、あいしていた、時々自作の中でも見かけるフレーズで、そこだけは拾い読み出来ました。
0美しいです。私は批評や分析が不得意なので、コメントはどうしても主観や好みによって書かれることが多くなってしまいます。しかし(モチーフや世界観がとても好みに合っていることを考慮しても)、この静謐な詩は心震えました。 ルミナスラインがたくさんあります。 > 名前のない獣が吐く白い息。 >清潔になりたいと願った 「清潔になりたいと願った」で詩に襟を掴まれました。 >存在しないはずの過去に想いを馳せる。 >コントラバスが轟々と呻る。冗談すら息をしていない。 存在しない過去、記憶、同一性?を求める切なさ、求められている詩の世界を作るための巧みな比喩が展開しているように感じます。 >祈りでは誰も救えない。 >君の祈りはどこにも届かない。 妙な話ですが、私は私的に祈りは救われるためのものではなく、ただするしかない時にする(あるいは、ただただすることになっている時にする)ものだと思っているので、なんというか解釈が一致しつつ、祈りという言葉が似合う詩世界だなと思いました。 > あいしていたよ。 >みえたものぜんぶ、みえなかったものぜんぶ 静謐で、祈りや願いはあるんですけど、全体に諦観みたいなものが漂っている気がして、願っているけどただ願っているだけで、ほんとうに大切なのは静かな諦観なんだ、みたいな印象が(勝手ながら)あるんですよね。あるいはコメントされている沙一さんが書いておられるような、「穢れない、純粋さへの希求」かもしれません。 なので、この最後の二行も「過去を含めた?世界の受容」のようなものを感じて、とてもいいと思いました。これくらい自分の性癖、好みに合った詩は稀なので長くなりましたが、とても素敵な詩を読ませていただきました。
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