1987 トランジスタ ラジオ - B-REVIEW
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エセ詩人

いでよ、エセ詩人!

コトダマ とはよく言ったものだ。 ハキダセ と 男は言う。 おまえは誰だ? わたしは何者だ?   

湯煙

硬派な作品

萩原朔太郎や中原中也のエッセンスを感じます。

千治

体験記『呆気ない宣告』

それはあなたの現実かもしれない。

大概のことは呆気なくドラマティックではない。そうした現実の丁寧な模写が作品に厚みを増している。

ほば

世界は自由だ━不死━

わかるということ

あなたにとっては何が、その理解が起きるピースになるだろうか?

ほば

ふたつの鐘がなるころは

鐘は明くる日に鳴る! いつでもそうだ!

運営在任中に出会った多くの作品の中のベスト。決して忘れない。

yasu.na

良い

シンプルに好き

あっす

パパの日曜日

パパの日曜日

いい

明林

終着点

生きる、その先に死地はない!

美しくさわやか、そして深い意味が込められたシーン、均衡の取れた心情と思想、強い意志で最終連へと迫る引き締まった展開、我が胸にこの詩文を抱いて!

yasu.na

九月の終わりを生きる

呼び覚ます声

夏の名残の暑さが去ろうとする頃、九月の終わりになると必ずこの作品のことを思い出す。

afterglow

こっちにおいで

たれかある

たそがれに たれかある さくらのかおりがする

るる

詩人の生きざま

言葉と詩に、導かれ救われ、時に誤りながらも、糧にしていく。 赤裸々に描写した生きざまは、素晴らしいとしか言いようがない。

羽田恭

喘息の少年の世界

酔おう。この言葉に。

正直意味は判然としない。 だが、じんわりあぶり出される情景は、良い! 言葉に酔おう!

羽田恭

誰かがドアをノックしたから

久しぶりにビーレビ来たんだけどさ

この作品、私はとても良いと思うんだけど、まさかの無反応で勿体ない。文にスピードとパワーがある。押してくる感じが良いね。そしてコミカル。面白いってそうそう出来ないじゃん。この画面見てるおまえとか、そこんとこ足りないから読んどけ。

カオティクルConverge!!貴音さん

あなたへ

最高です^ ^ありがとうございます!

この詩は心に響きました。とても美しく清らかな作品ですね。素晴らしいと思いました。心から感謝申し上げます。これからも良い詩を書いて下さい。私も良い詩が書ける様に頑張りたいと思います。ありがとうございました。

きょこち(久遠恭子)

これ大好き♡

読み込むと味が出ます。素晴らしいと思います。

きょこち(久遠恭子)

輝き

海の中を照らしているのですね。素晴らしいと思います☆

きょこち(久遠恭子)

アオゾラの約束

憧れ

こんなに良い詩を書いているのに、気付かなくてごめんね。北斗七星は君だよ。いつも見守ってくれてありがとう。

きょこち(久遠恭子)

紫の香り

少し歩くと川の音が大きくなる、からがこの作品の醍醐味かと思います。むせかえる藤の花の匂い。落ちた花や枝が足に絡みつく。素敵ですね。

きょこち(久遠恭子)

冬の手紙

居場所をありがとう。

暖かくて、心から感謝申し上げます。 この詩は誰にでも開かれています。読んでいるあなたにも、ほら、あなたにも、 そうして、私自身にも。 素晴らしいと思います。 ありがとうございます。みんなに読んでもらいたいです。

きょこち(久遠恭子)

カッパは黄色いのだから

良く目立ちます。 尻尾だけ見えているという事ですが、カッパには手足を出す穴がありますよね。 フードは、普通は顔が見えなくなるのであまり被せません。 それを見て、僕はきっと嬉しかったのでしょう。健気な可愛い姿に。ありがとうございました。

きょこち(久遠恭子)

永訣の詩

あなたが出発していく 光あれ

羽田恭

あなたには「十月」が足りていますか?

もし、あなたが「今年は、十月が足りてない」と お感じでしたら、それは『十月の質』が原因です。 詩の中に身を置くことで『短時間で十分な十月』を得ることができます。この十月の主成分は、百パーセント自然由

るる

だれのせいですか

どんな身体でも

どんな自分であっても愛してくれるか、抱きしめてくれるか、生きてくれるか SNSできらきらした自分だけを見せてそんな見た目や上辺で物事を判断しやすいこんな世の中だからこそ響くものがありました。例えばの例も斬新でとても魅力的です。

sorano

衝撃を受けました

ベテルギウス。まずそれに注目する感性もですが、詩の内容が衝撃。 猫。木。家族。犬(のようなもの)。女の子……。など、身近にあふれている極めて馴染み深いものベテルギウスというスケールの大きいものと対比されているように感じられました。

二酸化窒素

ずっと待っていた

渇いた心を満たす雨に満たされていく

afterglow



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1987 トランジスタ ラジオ    

蝶番の錆びついた 屋上に続く赤茶けた鉄扉。寝転んで見上げる、どこまでも青い、夏の終わりの空。 午後の授業の始まりのチャイムがなる。タバコは丁度切れている。 ポケットのトランジスタラジオのスイッチを入れ、イヤホンを耳に押し込む。ラジオからはお気に入りのナンバーが流れてくる。 鉄扉が音を軋ませてゆっくりと開いたのに気づき、左耳のイヤホンを外す。シンジが顔を覗かせる。 「よぉ、やっぱりここかよ」 のんびりと歩いてきて、いつものように、俺の隣に腰を下ろす。 「昼メシまだなんだろ、ホラ」 焼きそばパンと牛乳を俺の胸の上に置き、隣に同じように寝転がる。 「辞めるんだってな」 シンジの間延びしたような言い方。 「おぉ」 俺の返事も、なんだか間延びしていた。 「悪いことなんて、誰でもしてんのにな、大人だって、俺らだって」 シンジがまた、空を見上げて、間延びしたように言う。 「アイツが悪いことしてたなんて、思ってねえよ、でも、アイツのせいで、誰がが困ったり泣いたりはしてたんだろーな」 俺も空を見上げたまま返事をする。 "アイツ"は父親で、この小さな田舎町の議員で、先日汚職で捕まった。 俺は"アイツ"がやってたことが悪いことからどうかは分からなかったけど、良くないことなんだろうとは小さな頃から何となく気づいてた。 "アイツ"は俺の入る高校を勝手に決めてきて、俺の話は何も聞こうとしなかった。ただ「お前の為にやってるんだ」と、俯いてそう言ったのは覚えている。 "アイツ"が俺とも母親とも目を合わせず、警察に連れて行かれた時、ひとつとして、言うことばは出てこなかった。 「見つかんなきゃ、悪いことじゃないのにな」 シンジがのんびりと言う。 「そう上手くはいかねえよ」 俺ものんびりと答える。 「何で、お前が辞めんの?」 シンジにそう聞かれて考える。誰かにマトモに答えられるような確かなものなんて、俺には今ひとつもない。ただ、自分で決めなくちゃいけない気がしたんだ、これからの自分にことは。 「誰かのせいにしたくないんだ、カッコ悪いからな」 俺が小さな声で言うと、シンジが思い出し出したように笑って言う。 「あぁ、あん時はかなりカッコ悪かったもんな」 数ヶ月前、俺は、周りの全てにひねくれていて、文句ばかり、八つ当たりばかりの日を送っていた。 「吉野由子」はその時、クラス委員かなんかで、文化祭の準備で忙しくしてて、毎日ふてくされて、八つ当たりして、わめいてる俺が心底気に入らなかったらしくて 突然雨が降り出した放課後 皆んなが慌てて、いろんな道具が濡れないように片付けるのにバタついてるのに、毒づいてた俺を、思い切り引っ叩いて、こう言った。 「そんなに嫌なりゃ辞めりゃいいじゃない、辞める度胸もないのに、カッコばっかつけて、バッカみたい」 それ以来、「吉野由子」とは口をきいていない。口をきけなかった、というのが正しい。考えれば考える程、言われた通りで、本当にみっともなくて、カッコ悪くて、顔さえまともに見られなかった。 そんなことをぼんやり思い出していると、また、鉄扉が軋んだ音を立てて開き、「吉野由子」が顔を出した。 驚いて固まっている俺と、すぐに寝たフリをしたシンジにお構いなしに、彼女はそのままスタスタと真っ直ぐ歩いて来て、俺たちの前、1.5メートル程の処で足を止めた。 「辞めるんだってね」 彼女はそう言って、何故か嬉しそうに、真っ直ぐに俺を見た。 俺は半分身体を起こし 「おぉ」 と俯いたまま、短く答えた。 「また、引っ叩きに来たのかよ」 俺が顔を伏せたままそう言うと、彼女は小さく笑って、ポケットから何かを取り出し、俺に放り投げた。 「お餞別」 そう言って彼女はクルリと踵を返し、振り向くことなく、鉄扉の向こうに消えて行った。 「お餞別」はハイライトだった。 手の中の小さな四角い箱を見て、俺はなんだか、泣きたいような、笑いたいような、可笑しな気分になっていた。 「吉野由子」の気配が鉄扉の向こうに完全に消えてしまうと、寝たフリをしていたシンジが、黙って手を出した。 その手に「お餞別」を1本乗せてやり、火を付けてやりながら、俺は呆然と、赤茶けた鉄扉を見つめていた。 「ユージさぁ」 突然、シンジが俺の名前を呼んだ。 「あぁ?」 俺は驚いて、間の抜けた返事をした。 「お前、カッコいいよ」 シンジが白い煙を吐きながら言うのを聞いて、俺は 「バーカ、当たり前だよ」と そっぽを向いて答えるのがやっとだった。    BGM トランジスタ ラジオ        by RCサクセション


1987 トランジスタ ラジオ ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 8
P V 数 : 1426.9
お気に入り数: 1
投票数   : 1
ポイント数 : 2

作成日時 2021-01-01
コメント日時 2021-01-21
#現代詩
項目全期間(2024/03/29現在)投稿後10日間
叙情性10
前衛性00
可読性10
エンタメ00
技巧00
音韻00
構成00
総合ポイント20
 平均値  中央値 
叙情性11
前衛性00
可読性11
 エンタメ00
技巧00
音韻00
構成00
総合22
閲覧指数:1426.9
2024/03/29 16時38分27秒現在
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    作品に書かれた推薦文

1987 トランジスタ ラジオ コメントセクション

コメント数(8)
田中宏輔
田中宏輔
作品へ
(2021-01-01)

RCサクセションか、懐かしいなと思って、二度読みしました。 小説的な詩ですね。

2
宵月
田中宏輔さんへ
(2021-01-01)

ありがとうございます。 高校生の時、今から30年以上前に書いたものを、記憶を頼りに書き起こしました。 青臭い感じが、結構自分でも気に入ってたりします。

0
宵月
作品へ
(2021-01-20)

ありがとうございます。 沙一さんに褒めていただき、本当に嬉しいです。 私は本当に感覚だけでしか、文章を書けなくて、自分が見たこと、感じたこと、経験したことからしか、それを私が持つ、少ないことばからしか、書けなくて。 皆さんの詩を読むと、深いなぁ、こんな表現の仕方があるんだって、いつも新鮮な感動があります。 それを糧にして、私も書き続けたいと思います。

0
井上橙子
井上橙子
作品へ
(2021-01-21)

カッコいいです。私の少ない語彙力まで何処かにいってしまいました。ユージは辞めてからどうするのだろうと、思いました。

1
藤 一紀
作品へ
(2021-01-21)

こんにちは。タイトルからRCだなと推察しましたが、 《BGM トランジスタ ラジオ        by RCサクセション》 というのを付け足したのは、この作品の進行のバックにはこの曲が流れている設定なんでしょうね。作者がこの曲に耳を澄ませたりリズムを感じながら(実際には流れていなくても)書いている様子と、作品世界が思い浮かびました。

1
宵月
井上橙子さんへ
(2021-01-21)

ありがとうございます。 カッコいい、1番意識して書いたものなので。 カッコよくありたい、この文章を書いてこんなに年月が経っても、その気持ちは変わらない、いいカッコしいの私です。 続きの物語は、もう今の私には書けないなと思います。 でも、あれから年月が経った物語なら、書けるのかな、書いてみたいな、と思いました。

1
宵月
藤 一紀さんへ
(2021-01-21)

ありがとうございます。 タイトル、ラストのBGMから推察していただき、嬉しいです。 この頃、忌野清志郎ばかり聴いて、一人ででもライブに行く程好きで。 ラストのBGMの付け足しは、どうしても入れたかった、と言うか、これを入れるために書いたと言ってもよいくらいです。 それを感じとっていただき、感謝します。

1
宵月
さんへ
(2021-01-21)

ありがとうございます。 初期のRC、今でも聴いてます。 他にも多摩蘭坂とか、いいことばかりはありゃしないが大好きです。 私が書いた中で、1番長い文章なのですが、褒めていただき本当に嬉しいです。

0

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投稿作品数: 1