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ゼロには何をかけても
50回お昼を抜いて買い揃えた絵の具 そいつらが一斉にさけびだして どれを取ればよいか分からなくなった 真っ白な画面 どうした、と聞かれても どうにもなんなかったとしか言えず なんだか堪らなくなって ぐしゃぐしゃに びりびりに ゼロに戻した 声をかけられて ばっと振り返ったら まだ講評中だから、と 眉を下げたセンパイがいた ちょっと残念だったのと 恥ずかしいのと 情けないのと 申し訳ないのとで 心がいっぱいになったのち 「申し訳ない」が最後だったことに やはり腹を立てて 今度は頭の中でびりびりにした 家にはまだ 今日や昨日の繰り返し 未完成で不完全な何百枚が在る ぜんぶ棄てたくなった 棄てたいのに結局棄てない自分も 紙と一緒に束ねて ストーブにつっこむ 焼き尽くした灰を また焼いて 何遍も火に投げつけて ゼロになれ ゼロになれ 火が背を丸めて縮んでいく もう食べられないよ、と ぱちぱち嘔吐きはじめた 灰を指ですくって 床にかきなぐる 黄金比も白銀比も まるで分かってないわたしの輪郭を 失敗例のように執拗に撫でつけ フキサチーフ代わりに唾を吐く 塗り重ねすぎて テラテラ光る筆跡に ないてる子供が 映っている そういえば はじめてはりんごだったっけ 知っていたのに 鉛筆が 黒じゃないこと それでも今は よごしてしまうより 画用紙の白のが よほど綺麗じゃないかしら そう思うのに また筆をとる 明日を再び ゼロにかけた
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ゼロには何をかけても ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 296.9
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2025-11-01
コメント日時 2025-11-04
| 項目 | 全期間(2025/12/06現在) | 投稿後10日間 |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文


おはようございます。 僕はこの詩は面白いとおもいます。 (お笑い的な面白さではなく、味わい深いという意味で面白い) ぱっと冒頭が目に入った時に、 >>50回お昼を抜いて買い揃えた絵の具 >>そいつらが一斉にさけびだして という一文が、それはどういうことだろう?と興味をひきます。 全文を読み終えるまで練った表現にたくさん出会えました。 >>今度は頭の中でびりびりにした >>もう食べられないよ、とぱちぱち嘔吐きはじめた >>焼き尽くした灰を また焼いて 感情の表現がそれぞれ抑制されていますが、体温も感じます。 >>ちょっと残念だったのと からの表現が特に詳細に感情を掘り下げている気がして 興味深く読ませて頂きました。
1コメントありがとうございます。 複数バージョンを作って、色々吟味した後に完成したものなので、興味深いと言っていただけて嬉しいです。 感情の掘り下げに重きを置いたので、そこを中心に褒めていただけてほっとする一方、状況説明が最低限すぎたかな、と反省中です。
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