夜/再会/再び、世界

1『夜』夜よ　永遠の闇よ　恋人たちの別離の悲しみを見守り給え  星々よ　漆黒の天に瞬く懐かしい煌めきよ　おまえたちは今でも死んだ少年たちの後悔を引き受けているのか   月よ　太陽が夜の優しさを飲み込む前に　闇の中でも仄かな希望を感じさせてくれ 2『再会』悔悛の時を経てあなたの前に立つ私をあなたはどう思うだろうあなたの知らない私の過去を告げるとき、あなたはどのような戸惑いを見せるだろうあなたは何か微笑むだろうかあなたは優しい言葉を口にするだろうかいつかその心に許しの感情が芽生え、あなたはそれを言葉にするだろうか真実が明かされたら、あなたの心を包み隠すものはなにもなくなってしまう私は思い出の木の下であなたを待つ春の雨が私に降りかかる私に思いとどまるようにと冷たく私は道端に捨てられた手紙ですいつまでも濡れたまま誰にも気づかれることはないただ一人のあなたに真実を告げるまでは 3『再び、世界』世界は何も変わっていません。2019年から相変わらずの世界。あなたは世界に向かって「ただいま」と言う。子供が学校から帰ってきたみたいに。そして、あなたが「過去」と名づけた人々も「おかえり」と言う。時はかつて流れたし、これからも流れる。日常は平穏で、株価は上がったり下がったり、流行は起こりやがて忘れられ、穴の空いた靴下は代えられる。隣の家が増築されたそうです。お子さんが生まれたんですって。あなたも心の中で祝いませんか。道で新しい命を抱いた両親に「おめでとう」を言いましょう。これはかつての世界で繰り返されたこと。そうして、世の中は少しだけ変わり、あなたも帰ってきた。おかえりなさい、そして、おめでとう、詩人さん。命はこの世界に遣わされ、あなたは新たな名前と権能が与えられた。あなたは詩人。人の世を言葉で飾る人。世界は続いていく。あなたの詩の言葉とともに。

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作品データ

コメント数　： 2
Ｐ　Ｖ　数　： 515.8
お気に入り数： 0
投票数　　　： 1
ポイント数　： 0

作成日時 2025-05-17
コメント日時 2025-05-19

#現代詩

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2025/12/05 20時33分24秒現在
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コメント数（2）

レモン

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(2025-05-17)

初めまして。横書きよりも、縦書きで読んでみたいと思いました。｢あなた｣という存在が唯一の希望だという印象です。 3連目は祝福に満ちていますね。しかも、大声で祝福してるのではなく、吹く風に任せるような、さりげなさがあります。 2019年に、お別れした方なのでしょうか。その方が6年経って戻ってこられた時、詩人さんになっていたという風に読ませていただきました。これで、ご自身も、捨てられた手紙ではなくなりますね。良い詩だと思います。ありがとうございます。

manacuba

レモンさんへ

(2025-05-19)

ありがとうございます。私は数年の闘病を経て、今に帰ってきたと感じています。それがこの詩に反映されています。