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祭り囃子は遠音に
ほころぶ 仄明かり祭提灯 屯する祭り客 居並ぶ夜店 息巻く発電機 ソースやらなんやら綯い交ぜの匂いのあわい うらぶれた商店街に風情を添える 裏通り川沿い おぼろげな人通り 夕立ちの置き土産 晩涼を追い姉と連れ立ちそぞろ歩く 幼い夏の夕暮れ どこぞのアイスクリーム屋台の女が首の座らない乳呑児を二人にあずけた 祭りの喧騒へと小さな屋台を押し歩む背からは僅かに気炎も棚引く 姉の後姿は他人のふりして 金魚の尾びれと揺らす浴衣帯の先に薄情 置いてきぼりの影法師 晩夏の残照が映す 深海の底でまどろみ漂う赤ん坊の重みと温み 柔らかな乳の匂いの寝息と親密さを腕に抱きしめた 祭り囃子の遠音とせまる夕闇の波が惜しむ夏の日を押しやった ひとしお哀れを覚えた街灯 足元に蹲る小さな二人を侘びしく灯してやると 蛍のような淡い記憶となった
祭り囃子は遠音に ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 658.1
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2025-04-23
コメント日時 2025-05-23
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文


最初はカッチリと正確に綴っておられる印象です。 >幼い夏の夕暮れ より、徐々に抒情的になって来て、 どんどん文章も、柔らかく変化してゆきます。 お姉さんが、自分を(たぶん)無視した心情の痛さを、 必要最小限のことばで表現しておられる様子は見事です。 そこで泣いてしまうのではなく、 腕の中の赤ちゃんを抱き締めることで、 孤立感が浮き上がりながらも、愛に満ちていることが分かります。 ですから、 >蛍のような淡い記憶 儚く美しい記憶になったのだと推察されます。 良い詩だと思います。 ありがとうございます。
1ありがとうございます。
0初めまして、不人です。 空白で送ってしまいすみません。 言葉選びがとてもいいなと思いました。 どこか寂しさがあるような雰囲気を感じます。すきです。
1ありがとうございます。恐縮です。
0夏祭りという、どこか華やかでそれでいて胸の締め付けられる感じの懐かしさすらある題材を駆使した、良い詩だと思う……!
1ありがとうございます!恐縮です!
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