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夏空の下
夏空の下 気ままなドライブを楽しんでいると、 ローン35年と言う看板が見えた あと35年生きられるなら オレはなんだってできるだろう。 オレは何者にだってなれるだろう。 日々の帰りの通勤電車のなかで たまに座れたときには 電車のリズムに揺られて眠る 気づくと大口ひらけて涎垂らして 慌てて座り直して背筋をまっすぐ伸ばす そんな日常は 流れゆく『時』のなかの 日常としてあるのだけれども カッコつきの『あたりまえ』として いつまでかずっとつづく道として ありつづけるのだけれども 今日連休の初日 夏空の下 気ままなドライブを楽しんでいると ローン35年と言う看板が見えたときに、 ふと あと35年生きられるなら オレはなんだってできるだろう。 オレは何者にだってなれるだろう。 なんて想ってしまった たぶんなにも変わらないのに なにを想っても 休みが終わればまた あの通勤電車ではるかな道を いつまでかつづくかぎり ゆっくりと ゆき ゆきつづけるのだろうけれども たまに夏空の下 ドライブしている颯爽としているオレだから そんな夢みたいなトクベツなじぶんを 夢みてもいいじゃないか らしくない夢でも このほんの短い時間だけでも 陽炎みたいな夢を ちょっとくらいみてみても いいじゃないか 逆転を したい訳でも生きるのが 嫌いな訳でもない道をゆく
夏空の下 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 531.6
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2024-09-01
コメント日時 2024-09-06
項目 | 全期間(2024/12/10現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
この詩には10点中**8点**を評価します。 ### **評価と分析** **1. 詩の構造と技法** この詩は、日常の中に潜む一瞬の感情の揺らぎを描写しています。詩全体は、過去の回想と現在の気づきが繰り返し交錯する形で構成されており、平凡な日常の中での非日常的な思索が強調されています。 - **冒頭と結びのリフレイン**:詩は「夏空の下」のドライブという開放的なシーンで始まり、再び同じシーンに戻るリフレインが効果的に使われています。このリフレインの技法により、読者に一瞬の感情のループ感を与え、日常と非日常の間を漂う感覚を強調しています。 - **視覚的と聴覚的描写の組み合わせ**:通勤電車の「電車のリズムに揺られて眠る」「涎垂らして」「背筋をまっすぐ伸ばす」といった描写は、具体的でありながらも日常の習慣を象徴しています。また、「カッコつきの『あたりまえ』」という表現は、日常の曖昧さと確実性を示す言葉遊びであり、読者に思考を促します。 - **内面的な独白の形式**:詩の語り手は「オレ」という一人称で、自分の感情や思考を率直に語っています。この形式が、詩に親しみやすさとリアリティをもたらし、読者に共感を呼びます。 **2. 詩のテーマと意味内容** この詩は、**日常の中での夢想と現実のギャップ、そして希望と失望の間で揺れる心情**をテーマにしています。詩の中で語られる「ローン35年」という看板は、時間の制約や人生の長さを象徴し、その長さの中で語り手が何者にでもなれると一瞬感じるものの、現実の平凡さに引き戻されるというテーマが繰り返されています。 - **夢と現実の狭間**:「あと35年生きられるならオレはなんだってできるだろう」という楽観的な思考と、「たぶんなにも変わらないのに」という現実の認識の対比が、詩全体に緊張感をもたらしています。 - **人生の停滞感と可能性**:「通勤電車での居眠り」や「涎垂らして慌てる」という日常の描写は、単調な日々の象徴ですが、その一方で「夢みてもいいじゃないか」という希望的な思いも描かれています。詩の中で示される「逆転をしたい訳でも生きるのが嫌いな訳でもない道」は、現状へのある種の諦念と、それでも小さな希望を持つ姿勢を反映しています。 **3. 言葉の選び方と表現** 詩の言葉の選び方は、シンプルで直接的です。「オレ」という一人称が、語り手の自己認識と内面の葛藤を率直に表現しています。言葉遣いは意図的に平易で口語的であり、詩のテーマに適した抑制された語り口が見られます。 また、「夏空の下」「陽炎みたいな夢」「ドライブしている颯爽としたオレ」といった比喩的な表現が、夢見心地な雰囲気と現実のコントラストを生み出しています。これにより、日常の中に一瞬の非日常を感じさせることができています。 **4. 改善点** - **深みのある象徴やメタファーの追加**:詩の中で、現実と夢想の狭間にある葛藤をもう少し象徴的な表現やメタファーで示すことで、詩の深みを増すことができます。例えば、「電車」「ローン」といった具体的な要素を、もう少し抽象化した形で示すことで、読者により多様な解釈を促すことができるでしょう。 - **感情の高まりとリズムの調整**:詩全体のリズムがやや単調になる傾向がありますので、短いフレーズと長いフレーズを使い分けて、感情の高まりや落ち着きをより効果的に表現することも検討できます。 **5. 詩の意図と解釈** この詩は、日常の中に隠された一瞬の思索とその感情の揺らぎを描くことを意図しており、語り手の自己内省と希望を感じさせる内容です。「あと35年生きられるなら」という楽観的な問いかけは、読者に対しても「もし自分ならどう感じるか?」という思考を促します。語り手の現実感覚と、その中で見出されるささやかな夢想が、詩全体を通して一貫しています。 ### **結論** この詩は、平凡な日常の中にある一瞬の非日常を巧みに描いており、読者に共感を呼び起こす作品です。詩全体の構成やテーマがよくまとまっており、言葉遣いも語り手のキャラクターに合っています。さらに深みを増すためには、より多義的な象徴やメタファーを追加し、感情のリズムを強化することが有効でしょう。それでも、この詩は非常に完成度が高く、読者に印象的な読後感を与える力強い作品です。
0"何者にだってなれるだろう"と言った直後に、平凡な日常を生きるほかない諦念(と言うべきもの)を淡々と綴っていくという構図が、反復されているのが面白かったです。それはそのまま、「オレ」の揺れる心として迫ってきました。 といって「揺さぶられている」とまでは言えない、そんな距離感もまた、ゆったりとした語り口からたしかに伝わってきます。平易ながらも心の妙を的確に捉えた、そんな作品だと感じました☆♪
0淡々とした叙述ですが、この詩には、人生の真実があると思います。 35年という長い日々に、どのように自己の可能性が変わって行けるか、 めまいを誘う瞬間でしょう。 「たまに夏空の下 ドライブしている颯爽としているオレだから」 こう言う自己認識を聞くと、心楽しくなります。足の引っ張り合いが日常的にみられ、 憎み合いが現実だ、今まではそうだったかもしれません。でもこれからはみんなが頑張る。 爽やかな詩を、楽しませていただきました。
0何処か共感できる作品だなぁと感じました。 35年あれば何にでもなれるだろうとなりたい自分に思いを馳せる一方で、仕事に追われる平凡な毎日に憂いる様子に哀愁を感じます。
0ちょっと辛口批評していいですかね。 夏の風に煽られながらドライブする景色。これが失恋を想いながら疾走して行くのならば「夏のクラクション」稲垣潤一の歌が流れてきますね。 「ローン35年」の看板」を眺め見て。後35年生きられれば、でも、とても生きられないな。そう実感できるので、過ぎ去った年月の虚しさばかりを追想してしまう。これはある程度歳を重ねた人間には誰にでも感じることで、そのきっかけが「ローン35年」ではあまりにも凡庸で詩として興す事柄でもないと思う。いや、そう感じたのなら興してもいいのです。でも歌詞にも負けていませんか?「夏のクラクション」こちらはキーワードが「ローン35年」これではあまりにも淋しい。と思います。
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