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氷と春
子どもの頃は 目に触れるもの 手に触れるもの すべてが美しさ あるいは怖さを含んでいて ありふれたものなんて ひとつもなかったように思います 空、風、雨、花 わたしが生きていることも 繰り返されるものは ゆっくりと色褪せてしまうものです 梅は花をひらいて 蝉は歌を歌って 木々は葉を落として 空は雪を降らせて 梅は花をひらいて… 自意識を氷に喩えては 眠りへ落ちるまで 砕いています 鮮やかな夢からさめたら モノクロームな現実に横たわっていました 森の奥深くで 小さな花を 見かけてからというもの その花のしろいろが 切り傷のように わたしに痛むのですが 心地よい痛みでもあるのでした 恋は、傷です 樹木がひかりを待ち望むように わたしはあなたを待ち望みます たましいを拘束される 喜びを 苦しみを 待ち望みます ああ、 あなたが生きている世界の 鮮やかさに 世界を わたしを 肯定しようと思いました 鮮やかに繰り返されるものを見ましょう 梅は花をひらいて 蝉は歌を歌って 木々は葉を落として 空は雪を降らせて 梅は花をひらいて…
氷と春 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1049.8
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2023-04-05
コメント日時 2023-04-30
項目 | 全期間(2024/12/15現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
はじめまして。 一読してまず、非常に秀逸な作品だと感じました。 子供の頃の新鮮な感覚と今との比較を、ゆっくりと色褪せてしまうもの、と表現した後の、 「自意識を氷に喩えては 眠りへ落ちるまで 砕いています」 この部分は、正直なところ正確には意味を理解できてはいませんが、とてもインパクトのある美しい一文だと思います。 さらに続いて、 「その花のしろいろが 切り傷のように わたしに痛むのですが 心地よい痛みでもあるのでした」 「たましいを拘束される 喜びを 苦しみを 待ち望みます」 この二つの文から、子供の頃の感覚の摩滅せずに保たれた部分と、成長して展開する部分とが、巧みに織り合わされているような印象を受けました。 私もこの詩のような繊細な表現をしたいと思ってはいるのですが、なかなか上手く表せません。 このような美しい詩を書ける鋭い感性が羨ましいです。 今後の投稿に期待します。
0詩の読みについては、あまり深く読むことができていないので、感想をくださるととても参考になります。 ありがとうございます。
0一つ一つの音節に美しさがあると思いました。美しいものを美しいと素直に言える心と、それを表現する言葉を兼ね備えている良い詩だと思います。
0音楽的であり、且つ、丁寧に書かれている印象です。 意味も明確であり、それがこの作品の品の高さ、抒情性を生んでいると思いました。
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