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A子さん
「A子さん」 チョコレート海老入りマスタードサバランを 隣のテーブルで頼んでいる 水たまりに隠した亀が もうじき鳴きそうだわ 席に着くなりその話 をするとA子さんは 足早に 過包装の雪の中へ 飛び出していった 「夏」 北向きの窓に小さい絵の具をかき集めて 一番輝いていた頃の僕は 静止画のように夏を洗う よそおう纏う切れ端は 僕のような顔をして どこへ行くのか答えない 「詩人の淵」 綱引きの綱の両端を手繰っても 誰もいない そんな正夢ばかりが繰り返される 世界の真ん中で 三角形の旗が揺れている 誰の目にも 触れるところで 「カレイドスコープ」 夜の窓口に並ぶ漆黒 手にした切符にかちかちと空が開く 駅前のロータリーで星を齧った もう飽きたな
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作品データ
P V 数 : 292.6
お気に入り数: 0
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2025-12-13
コメント日時 2025-12-14
| 項目 | 全期間(2025/12/15現在) |
|---|---|
| 叙情性 | 0 |
| 前衛性 | 0 |
| 可読性 | 0 |
| エンタメ | 0 |
| 技巧 | 0 |
| 音韻 | 0 |
| 構成 | 0 |
| 総合ポイント | 0 |
| 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
どの小品も味わい深いのですが、 「カレイドスコープ」がいちばん好きです。 >もう飽きたな このひとことが、印象的すぎて、良いと思いました。
0ことばが飛躍しているようで、整合性を保っていて、夢のなかで起きた出来事が、浮かびあがっては思い出せなくなるような。遠い過去に見ていた世界、子供の頃の記憶がいまも何処かで揺らいでいるような。 夢の余韻の断片を描写しているような、そんな幻想的な印象を受けました。
0「A子さん」いきなり奇妙に不思議な世界観に迷い込んで読めてきますね。 ~過包装の雪の中へ~とは白い(死)を意味する異世界でしょうか。 「詩人の淵」 ~三角形の旗が揺れている~とはイベントで扱われるペナント 「カレイドスコープ」 ~駅前のロータリーで星を囓った~ 夢に交錯する日常の記憶の出来事ならば星を手にした、とか。星が動いてくる、とかで、 星を囓る、なんて空想世界に浮かべるような破壊的な行動を 自らが夢の中でみることができるだろうか、と少し考えさせられました。 いや、昼間それと似たようなアニメーションを見た記憶が出てくるのならば有り得るのかも、 しかし、それならばちゃんとアニメの当事者が星を囓ったはずで、自ら囓る、なんて創作はされないはずでしょう。 とか、思うのですが、何しろ相手が夢の世界に繰り広げられる物語なので、これは正確に答えることはできない。 各連に「 」副題と置かれているので、 これは時空間を空けて、切り貼りされたものとして読まなければならない。 断片的に取り出した過去の記憶を、夢の交錯で図柄にした印象。 総じて上記されているryinxさんと同じような感想を持ちますが、 わたしが上に取り上げた文節などは、 意識的なメタファ-としても読めてきて、 この詩の作りは「A子さん」という人物の印象を背景に、 その時代の記憶と夢とが交錯したパラレルな世界観を、 筆者は無意識と意識的な創作を使い分けて置いているのではないか、 という感想を述べておきましょう。 なかなか佳い詩が上がらなくなってきて、 その中では思考にくる。読み応えはありましたね。
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