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寂しくて辛い   

渡辺八畳@祝儀敷 
作成日時 2017-11-03
コメント日時 2017-12-08

 

濁流に心を投げ入れる日々の反芻で いつしか下流には心が貯まっていき 知らずのうちに大きな中州を作ってくれる 途切れることなく供給される心心心 振りかぶって乱暴に 半ば自暴自棄に 橋の真ん中 両岸から最も離れた所から投げ入れる 流れは激しく荒々しい 水は泥色で川底なんて見えない よかったね君の心 どんぶらこっこ流れていくよ よかったね君の心 どんぶらこっこ去っていくよ それが何個も何個も何個も何個も まるで大きな桃みたい 明るいピンクのまるまる ピッチリとしてきれい だけど心が割れることはない 中から新しい子が飛び出てくることはない いったい心は固く閉じていて その形のまますこしも欠けずに下流で貯まる 君には見えない遥か先の下流でね 中州には渡り鳥が休みにくるかもしれない トンボが卵を産みにくるかもしれない きっとそうだよ 鳥も虫も動物も 君の心でできた中州にくるよ 橋には自動車が通過するだけ 君は心を投げ入れ続ける 終わりが見えないスローイング だけど君の見えない遥か先で 心はひとつひとつ貯まっているのさ


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花緒 (2017-11-04):

現代詩のディシプリンと、メディアアートにも相通じるようなちょっと気持ち悪い現代性との融合が祝儀敷作品の魅力だと私は感じている次第なのですが、本作も例外ではないと思いました。桃が流れるというと、言わずと知れた桃太郎であり、桃太郎といえば、日本の昔話、民話の代表作であり、日本人の心の源流には桃太郎があると言っても過言ではないのかもしれませんが、ここでは、桃が何個も何個も何個も何個もと、まるで、チープなテレビゲームでバグが起こっているかのように、桃が流れてくるのですね。それは、ある種、日本人の心、というやつが、日本人としての伝統というものが、デジタル社会の進展の中で、機能不全を起こしている様を示唆しているようであります。いわゆる、メンヘラというバズワードとともに、心、というものが取りざたされて久しい昨今でありますが、日本人は、心、というものに振り回されると同時に、心を開いて、桃を開いて、伝統や文化、社会とコネクトすることが出来なくなっているのかもしれません。心というものの機能不全、桃の機能不全ということを思いました。心は一つ一つ溜まっていくのに、その不毛さ。現代的な作品だと思いました。

渡辺八畳@祝儀敷 (2017-11-05):

花緒さん 「チープなテレビゲームでバグ」といえばこんなサイトがあるんですよ、って提示しようとしたらページが消えていました。ゲームのバグ画面のGIF画像を集めたサイトです。http://glitchee.tumblr.com/tagged/gaming tumblerのTheres nothing here.ページってバッグがいろいろな種類があり面白いですよね

まりも (2017-11-07):

題名は、これでいいのか?と(題をつけるのが超絶苦手な自分のことを振り返りつつ)疑問を抱きつつ。 おもろかなしい、とでも言えばいいでしょうか、〈濁流〉に投げ込まれ続ける心、その心が〈いったい心は固く閉じていて/その形のまますこしも欠けずに下流で貯まる〉その不毛性・・・気持ちや想いを言葉にして、〈濁流〉に投げ込み続ける行為と、その〈心〉(文字として綴られた想い)が読み解かれることなく、過去ログとして堆積していく情景を重ねながら読みました。 鼻歌を歌うような軽さと、呼びかける調子、寓話としての面白さ。心を流す、という景を視覚化したらどうなるか・・・‟どこまで景として見ることができるか”という興味の行く先、詩的ロジックの展開の面白さと軽妙な仕上げ具合・・・土俗性の強い、重厚な(濃度の高い)作風から、じゃっかん方向転換しているのかな、という印象。

渡辺八畳@祝儀敷 (2017-11-08):

まりもさん 題名らしくない題名って好きなんですよ。「寂しくて辛い」はその流れでつけたものでして。 元々絵描きだった自分が活字表現にまで手を伸ばした理由というのが、自分の画風だとギャグ系の内容しかできないという事情があったからでして。文字は手書きでない限りその形に個人差が無くて内容に干渉してこないのがいいですね。せっかく活字をやっているのだから妙なこだわりをせずあらゆる方向性のをやってみたいと思っています。だから発表していないだけでキャピキャピしたものや茨木のり子・石垣りんみたいな感じのものも作ったりもしているんですよ。 なので方向転換というより方向性の増加は常にあります。突飛なものを作ったりもしますし、そうでなくてもだいたい4~6ヶ月周期でメインの作風が変わります。 まだまだ自分は作風などを固定させるべきでない、色々試せるうちに試しておこう、それができなくなってから固定化すればいいと考えています。それに、仮に将来的になにか依頼されて詩を書くようになったときにもあらゆる注文に答えられるかと。 また、どれだけ自分では変えたつもりでも他者の目からは「祝儀敷節」がどの作品にも流れているように映るだろうという自信があります。それさえあれば諸作品が分断せずに繋がるだろう。

まりも (2017-11-12):

たのもしいなぁ(笑)

百均@B-REVIEW ON/ (2017-12-08):

心が桃になっちゃう所がいいですね。単純にネット色々やっててずっと何か書いてる人おっかけると、なんかそんな感じな感じを思いますよね。後は、例え話の類型として、桃太郎はやっぱり便利だなぁと思いましたよ。でも、大体どこもマジで滑ってる物ばっかりだなぁと思ってます。本作はそういうの感じませんでした。そういう意味で頭抜けてて、器用さを感じます。川の上から桃なんてもう腐るほど流れてきた訳で、そういう部分も考えると多分ね、この作品はいい意味で俯瞰仕切れていると思います。


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