繰り返される処刑の日々は、眠るための枕を知らない。
ギロチンの刃は母に会えず、罪を重ねるしか知らない。
鉄の処女の苦悩など知らず、誰もが罪を着せている。
拷問器具の気も知らないくせに。
心臓を切り開き、自我を開放して、死へ至らしめる。
その彼は寂しがっていたが、じきに心を殺していった。
殺人鬼が最初に殺す人物はたいてい、自分自身である。
柱にくくりつけられた彼は、こう唱えていたよ
『静かなる報酬だ』と。
鳥に喰われ
土に喰われ
水に喰われ
火に喰われようとも、
それが最大の賃金だ、とも。
灰色の鉄のような雨が、このまま降り注げばいい。
賃金はじきに支払われるのだから。
しかし弾丸の雨であってはならない。
それは天空の涙でなければならない。
全ては総てであるがままに美しい。
そして、
全ての存在の終わりには、静かなる報酬がなくてはならない。
作品データ
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作成日時 2021-07-18
コメント日時 2021-07-18
#現代詩
#縦書き
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2025/12/05 23時41分11秒現在
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