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美しいと感じる時は(桐ケ谷忍さんの「罪人レプリカ」への返詩)   

作成日時 2018-11-08
コメント日時 2018-11-08

赤いフィルターを通して世界を見れば 赤いものは視界から消えてしまうように 緑のフィルターを通して周りを見れば あるはずの緑が全て消えてしまうように 醜いものを通して世界を見れば 醜いものは忽然と消え失せて 美しいものだけに取り巻かれた 美しい世界が見えるのではないか 自分の中の怒りや憎悪 ねたみやそねみを 一枚のフィルムに引き伸ばし 心の外に張り巡らして それを通して世界を見渡す 自分の中の醜いものを 見なかったことにしようとする 無益な努力の反復をやめ 薄く引き伸ばして外に押し出す そうして世界を眺められたら どれほど美しい世界が広がるだろう 人として生まれてよかったと ため息をつく瞬間が そこにはあるに違いない フィルムを外してまっさらな目で 世界を静かに見つめることも、時には 必要なことかもしれないが それだけでは足りない 他者の内なる醜さは 自分の内なる醜さである 重ね合わせて消して補い ゆるしあった後に現れる 美しい世界とその様態に 真実、こころ動かされる時 その美しい一瞬があればこそ 人は、人として希望を失わず 生きていくこと 生き続けていくことが できるのではないか ―美しいと感じる時は 見る人の心が美しいのだ― 生涯かけて 気品あふれる麗しい人を彫り続けた ひとりの人間の言葉を想起する 世界に美醜があるわけではない 私たちの心に映る 虚像の世界に美醜があるのだ 美しいと感じる気持ちに 「うつくしい」という名前を付けた 最初の人は誰であったか 「うつくしい」という言葉を 何百年何千年と受け継いで使い継いで 「美しいと感じる気持ち」を守り継いできた人間の奇跡 世界が美しく見えるように生きていこう 「美しい」という言葉を 「うつくしい」と感じる心を 絶やしてはならない


項目全期間(2019/08/22現在)投稿後10日間
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2019/08/22 14時10分11秒現在
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コメント数(2)
まりも (2018-11-08):

桐ケ谷さんの「罪人レプリカ」を読んで、思い出したので投稿しました。 以前、『ユリイカ』に投稿して「佳作」になったもの。彫刻家は舟越保武です。 佳作、になった理由は、おそらく、あまりにも理屈っぽい、ということでしょう。 今の私も、同様に判断すると思います。 でも、論理や理屈、が隠れてしまうと、伝えることが難しい「思い」や「考え」もある・・・ それを「詩」として表すべきか。エッセイや評論など、散文にすべきか。 いつも迷うところ、なのですが。 情感のみ、を伝えるのが「詩」なのか、といえば、これまた異なる。 「漢詩」のグループトークが立ち上がっていますが、「漢詩」は「述志」も重視する。 ・・・それにしても、最後の一行、「~ねばならない」が、なんとも青臭い、と赤面しつつ。 このストレートさ、初心忘るべからず、という言葉もあることですし、直さないまま、載せておきます。 ※ビーレビュー杯不参加作品、でした、書き忘れました。

桐ヶ谷忍 (2018-11-08):

こんにちは、まりもさん。 これはまた…驚くほど拙作と対照的な作品ですねえ。 陰陽でいったら私のが陰でこの作品は陽といったところでしょうか。 ただ、やはりというか、当然というか、まりもさんの作品の方が奥深い! 「世界に美醜があるわけではない」以降とかもう感嘆しか出ません。 別々に書いたのに表裏のような作品が出来上がるって面白いですね。 思い出していただけたお陰で良いものを読ませていただきました。 どうもありがとうございます~!ぺこり。

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