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凍空
1 海は煉獄の母、 空は平等の母、 君は自由の母、 俺は孤独の母。 なだらかなスカイラインが、 人の疎らさを想起させる冬。 切り立った六花の破片が、 煌めきながら墜落してゆく。 しばれる。 茂みを往く。 静寂が耳に痛い。 それは白い涙の悲鳴なのか。 俺もまた仲間だと、 嗚咽しながら、 魂の残り香を雲散霧消させるのだった。 2 日々輪廻する、俺ら畜生。 明日また生まれ変わったら、 今度はあの六花たちのように、 真白くなりたい。 色褪せたモルタルのファサードに凭れて、 俺もまたこの季節に同化する。 君の膝枕で、 今生の頂を仰ぎ見た。 また逢えるか。 地響を立てて崩れ落ちる自我を、 既のところで支えきれない。 これが、俺にとっての世界だ。 君もまた俺の仲間だと、 遅すぎた小春日和に戦慄いて、 二人して六花混じりの涙模様に染まり抜くのだった。 3 何もなくても、すべてがあった。 神に届くかに見えた昔日。 絶頂で、しかし幼子はやがて、 ジェットコースターと大差ない運命を辿る。 刻み込まれた業の数々、それでも。 君の残照で、俺は回転する空を間近に見た。 もう逢えなくても。 俺の生きた証なら、君の墓標に眠る。 さよなら。 それが最後の贈り物のつもりで、 浅はかな俺は、 地団駄を踏んで、なお。 世界はそんなときにでも、 平然と、永遠に近い営みを繰り返すのみ。 表情ひとつ変えずに、俺も小刻みに咳をして返した。
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凍空 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 304.8
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2025-11-05
コメント日時 2025-11-05
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 | |
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| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文


うむ、 まだ語りが台詞の域を脱していないように見受けられます。 表現的に、ですが、 冒頭の四行には苦心の跡が伺える。 それでも惜しいと思うのは、何故~母で統一させてしまったのか。 ということに不満感は残りました。
1ご講評誠にありがとうございます。 心より御礼申し上げます。 母のくだりは、迷った部分です。 未熟者です。 ゆっくり精進いたしますゆえ、綻びはご容赦いただけましたら。 感謝です!
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