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夏
空の向こうは澄んだ居心地のいい場所ですか、魂の在り処は後生この宇宙にとどまりませんか あなたが去った世界から半年過ぎた世界で、まだキーボードを打っています ここ数日突然春が訪れるなどしています、夏すら感じるような蒸す暑さに耐えかねて 如何せん突然こんなにも蒸したものだったので、除湿冷房をかけて寝たらいま喉がすこし痛みます 十億年の旅路には何が見えますか 現世は花粉ばかりです ギターひとつ手に取るだけで、いつもあなたを思い出します 部屋が冷えていればなおさら 猫が掻いたようなアルペジオを弾くと、音があなたを連れてきます 匂いや音と、想いはよく似ている プルースト効果の話がとても好きでした、大事な大事な今生の記憶 現世から抜け出た魂は、また巡り合うことはあるのでしょうか 後生この三千世界で再び相まみえることがないなら、それはどれほどつまらないものでしょうか 寂しくはありませんか 心細い思いはしていませんか 実家のわんちゃんには会えましたか どうかあなたが今その旅路で、心安らかに歌っていることを願うばかり わたしもいずれ旅に出たら、せめて会いたいものがいます あなたの生は本当に巨大な奇跡でしたか 意外とそうでもありませんでしたか きっとあなたの意には反するけれど、意外とそうでもないといいなと思います その方が都合がいいからです 曇る眼にいっぱいの涙を浮かべて、あなたの歌を歌います 心寂しさにくる涙ではありません ただ花粉にやられて滲み出すのです 弥生の三日月は少し大きく、冬が去った空はぼやけてさほど綺麗でもなく それでもあなたから零れた音色をはじくと 心に夏が差すのです タオルケットに包まった夏が、春を置き去りにしてやってきそうな この季節の変わり目を、ただあなたに教えたかったのです
夏 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 357.4
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2025-03-28
コメント日時 2025-03-28
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文


初めまして。 谷川俊太郎さんへの追悼詩かな?と思いつつ拝読いたしました。 >その方が都合がいいからです >ただ花粉にやられて滲み出すのです この部分が効果的に活きており、 より慕う気持ちが増して感じるように思います。 ここからは、谷川俊太郎さんについて。 私は、亡くなったと伺ってから、 「私」という詩集を1冊、 20億光年の孤独 なんでもおまんこ を拝読いたしました。 20億光年の孤独は、 哲学的な難しい詩をイメージしていたのですが、 あれ?可愛い詩だなとびっくり。 最後の「くしゃみ」が絶妙で、唸りました。 特にお気に入りが「なんでもおまんこ」で、 あんな素敵な詩を描きたいな、と、 憧れております。 谷川俊太郎さんの追悼詩でなければ、 余談です。 ごめんなさい。 ありがとうございます。
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