B-REVIEW作品投稿掲示板


マリア   

右肩ヒサシ 
作成日時 2017-11-23
コメント日時 2017-12-06

 

冷たくしてくれと言ったのは僕だ タバコの空箱のように 心を掴んだらそのまま握りつぶしてくれ と言ったのも僕だ 君の部屋から、古い写真を一枚だけ持って帰った 春風の丘でひとり風に吹かれる君の 孤独なポートレートだ もう戻らない 愛も、憎しみも戻らない 枯れた薄を踏み分け 自分の後ろ姿を追うように 廃線の鉄路を辿って 寒々と僕は歩く 日本海、荒れ狂う波頭が もうすぐ見えてくる 雲に覆われたまま日が暮れる 轟く、言葉のない怒りが 轟く、脈絡のない悲しみが 淋しい やりきれない テーブルに二つのマグカップ 空っぽだ 裸の胸に頬を当てたら 温もりより切ない悲しみが伝わった 唇を重ねても 乾ききった微熱が隙間から漏れただけ もう会わない、と 言ったのが僕で 頷いたのが君だ 背中を向けて寝返ったのが僕で ベッドライトを消したのが君だった 見えないところから カチッと音がして あの日から、部屋は永遠に暗くなった 愛の鞭があるなら 打たれてみたい 唇を噛んで痛みをこらえ やがて冬を迎える海岸で 跪いて君に抱きすがりたい 君の腰の辺りに 凍りつくような 血の臭いを嗅いでも いい 何もかもが消えていく 思い出も 君の名前も


コメント欄を隠す
花緒 (2017-11-23):

面白いし、良い作品のようには思うのですが、えっ?右肩さんが書いたの?と問いたくなるくらい、ベタさを纏った作品だとも思いました。他の方のリアクションが気になります。

まりも (2017-11-25):

セピア色のフランス映画を観ているような感覚がありますね。パリのアパルトマンの屋根裏、絵描き志望の日本人留学生と、フランスの大人びた少女・・・ あえて、なのだと思いますが、枯れすすき、廃線、日本海、と、思いっきり演歌的な、記号といってもいいワードが入っているがゆえに、日本を感じる一方で・・・乾いた恋愛というのか、女性があっさりと別れを受け入れてしまうドライな感覚や、ポートレート、マグカップ、ベッドライトといった小物使いが、上に述べたような印象を作り出しているのかもしれません。 映画的な作品だと思いました。

右肩ヒサシ右肩ヒサシ (2017-11-25):

花緒さん、コメントありがとうございます。 僕にも無条件で人の心を動かせるものが書けるのか?そういうものを書いてみたいと思いました。それで普段使わない語彙を使って見ました。

右肩ヒサシ右肩ヒサシ (2017-11-25):

まりもさん、コメントありがとうございます。 フランス映画ですか!だったら日本海ではなくてノルマンディーの海岸ですね。当然フィクションですが、作りものっぽさが目立ってしまっている、ということでしょうか?難しいですね。そういう雰囲気も込みで楽しんでいただけたら嬉しい のですが。

百均@B-REVIEW ON/ (2017-12-06):

 僕が一番最初に読んだ右肩さんの作品、「白亜紀の終わり」なんですが、結論を言ってしまうと、僕は白亜紀の方が好きなんですね。単純に感情が綺麗に書かれてしまっている。という意味で、これは僕の勝手な妄想かもしれませんが、書かれていない事が明瞭にあるという事が分かる作品程、僕にとっては面白いです。今はそういう気分です。ただ、結果的に対比すべきは「君の名は。」かもしれませんね。表向きではきっちりエンターテイメントをしつつ裏側ではエグい事、もしくは自分がやりたい事をやるという手法です。千と千尋の神隠しもそうかもしれません。あれは神様のキャバクラが舞台な訳です。 とか適当書きましたが、作品を読んで思う事はたったひとつで、 >何もかもが消えていく >思い出も >君の名前も 君の名前は多分マリアだと思ってしまったことです。そして、マリアの名前を忘れてしまうという事、多分本当に目に見えてわかりやすい悲劇? もしくは失恋がここにあるわけですが、そういう体験をすぐに忘れてしまう語り手が最後に現れる。それまでの事は全て前振りで、最後のこの三行で勝負みたいな事を思いました。 >どのみち人生に悩むほどの意味なんかない。そのことも素直に納得できるようになった。 これは「白亜紀の終わり」の最後ですが、「人生に悩む意味なんかないと素直に納得できるようになった」と書く事と >何もかもが消えていく >思い出も >君の名前も こう書く事のどちらが、受け取りやすいかという事をかんがえた時に、僕は本作の方が多分わかりやすいと思いました。単純に恋の話に絞っているからです。


投稿作品数: 1

© B-REVIEW 2018