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「地下鉄は理科室みたい」   

北村灰色 
作成日時 2018-12-05
コメント日時 2018-12-06

 

狭間に藍と綿飴が揺らいでいた いつか、錆びゆくメリーゴーランドに座る君は綺麗だったけれど 1989年が翳んでしまった刹那にその眼は茜色に変容してしまった 燃えあがる空 砕け散るオブジェの記憶 すべてがワルツを踊り終えるとき 私の青昼夢もまた終幕を迎える…… そう、錆びついた秤に載せられた私の心臓を視ていた 水族館3F,音階の無い世界、 君はどうしてヘッドフォンをしたままだったのか 「私には理解できなかった」 もし、浮游するのが死骸だとしたら、此処に生者の笑みは無く ただ水槽が青1号に着色される刹那に、そっと息を止めることしか―― クリームソーダのメルトダウン テトリスのカウントダウン 虚ろな日曜日を取り戻さないと色彩が渇ききったままだ 包帯揺れる電線、真夏に死んだ十字架、真冬に笑う向日葵の歪 秋の牢獄に収監されたピストルと左耳 星月夜の情景は遠く、遙か遠く—— 「地下鉄は理科室みたい」 少女はそう嘯き、プラットフォームでフラスコを踏み砕いた 急行の悲鳴、不透明家族、不在の革靴 赦されるべきは9月の慟哭だと、早すぎたクリスマスツリーが灰燼へと帰す時 僕らの忍ばせたダガーナイフは4限目の十字架すら切り刻めるさ そして、朝焼けの靄にドレスコードを忘れた紅葉が彷徨う ウィンカーのでない車が羅列した螺旋階段 転がるコンバース、国道702号線にへばりついただけの静脈血と網膜 ほら、また林檎とブランの錯乱死体の色を視えないふりをして 貴女はアップルパイの午前を穏やかに迎えようとしている


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つきみ (2018-12-06):

二作読ませて頂きましたが、独自のスタイルを確立されていらっしゃいますね。主に退廃的な空気が私は好みです。ですが、違った作風をお見せ頂きたい我儘さです。何故違った作風を見たいかは、違う味も欲しがりなんです。しょっぱいの食べたら甘いの食べたくなる感じですが。わたしだけかしら・・・・?

沙一 (2018-12-06):

地下鉄と理科室、語感的にも似ていますが、ガラス窓に囲まれ、金属質のパイプが印象的な空間は、たしかにどことなく似ている気もします。 ゴッホの絵画にあるような(死さえも)牧歌的な風景からは遠い、都市生活者の幽鬱な溜息が漏れきこえてきそうな詩だと感じました。 ウィンカーのでない車 赤毛のケリーですね。 破綻しつつも美しい北村さんの世界観は、後期TMGEを彷彿とさせます。 終わるまえの刹那的な煌めき。

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