海水に浸した手首の静脈
波が寄せては返すたび
海は赤く
血は青く
染まっていく
肉体を縁取るための鉛筆は
いつからか削り忘れていて
今も昔も 先っぽはずっと丸いまま
あと一滴 滲んだら
あっけなく ほどけてしまう
爪がないから 掴めない
持ち上げられない 歩けない
足首の痣には鉄錆の匂いが染みついて
脱力した胸の真ん中で
小さい白旗が揺れている
砂に紛れた石英は
全ての抱擁から逃げ出して
灰色と水色の背景に滲んでいく
海岸線の向こう、遠くの街の灯りが
ひとつ またひとつ 消える
太陽から月が 一歩ずつ 離れていく
何にもない薄い空
満潮を迎えた海は
砂浜に空いた透明な窪みを
真っ新に掻き消した
作品データ
コメント数 : 4
P V 数 : 893.8
お気に入り数: 1
投票数 : 4
ポイント数 : 0
作成日時 2026-01-27
コメント日時 2026-01-30
#現代詩
#縦書き
| 項目 | 全期間(2026/06/30現在) | 投稿後10日間 |
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| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
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閲覧指数:893.8
2026/06/30 05時11分14秒現在
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こんばんは。 タフォニと海は、いったいなにを 吸い込んでしまうんだろうと 手首を海水へ浸した瞬間 青が脈を乗っ取ってしまいそう。 海の吸血か。 人間が海を吸血するか。 >>全ての抱擁から逃げ出して 抱擁が欺瞞に感じるときがあります。しかしその欺瞞を抱き留められたらってわずか 願ってしまうんです。
1「変わり者だよなあ」と感心しますね。いつも。「タフォニ」ってナンだ?と検索にかけたら、集合恐怖症の人は閲覧注意な画像がいっぱい出てきた。まずもって、なんでこれを主題に??という驚きが...
1少しずつ何もかもが消えていく、それが寂しいとも悲しいとも言わず 淡々と描写する様が美しいと思いました。人の形に浮き上がる影を見ているような 本当に何かを描きたいと思った時、人は感情を持ちえないのか それともそれが作者の、詩人の美学とでもいうべきものなのか よく分からないですが
1タフオニ(塩類風化)ですか。 私もはじめて眼にする言葉なので一応ググりました。 先の作品たちも詩的な表現の上手い方だな、と思っていたのですが、 この作品も私の何れ結晶化してしまう血を薄めるように、 しみじみと静かに、 それでいて胸の奥深くに熱く訴えてくる佳い作品です。 特に冒頭からの三行~海は赤く、血は青く~この自然に溶け込んでいく感情を、肉体的な表現に置き換えられているのがいい。 記憶というのも時間の経過とともに風化してしまう。 跡に残るのは奇妙に歪んでしまった私の肉体(内面)でしょうか。 それを自然(海)は何の躊躇いもなく流していく。 余韻もありますね。
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