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そのうち着くまで、ゆられて
ゆられている。 秋、見知らぬ土地への澄んだ道すがら、 冬、憂鬱な繰り返しに向かう短いあいだ。 ときに疎み、拒みながらも、 そのうつろいの中で深く息継ぎをする私は、 きっと目的に生かされている。 しかし、当たり前のようにある不要なそれ。 巧妙に必要に見せかけられた疑わしいゴール。 いつの間にやら、それに加担する私。 時折見つける追うべきものも、はるか遠く。 疲れたとき、揺られながら思う。 こうしている間は、 誰といなくても、何をもたずとも、 目を閉じてもいい。 それは、誰しも抱くうつろい。 外の寒々しさ、まどろむ背中のあたたかさ。 手持ち無沙汰に古本。 きっといつかの蜜柑のように、 鮮やかな橙にも出会う。 行き先までは、まだしばらく。
そのうち着くまで、ゆられて ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 443.1
お気に入り数: 1
投票数 : 2
ポイント数 : 22
作成日時 2025-10-13
コメント日時 2025-10-16
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
|---|---|---|
| 叙情性 | 4 | 4 |
| 前衛性 | 3 | 3 |
| 可読性 | 3 | 3 |
| エンタメ | 3 | 3 |
| 技巧 | 3 | 3 |
| 音韻 | 3 | 3 |
| 構成 | 3 | 3 |
| 総合ポイント | 22 | 22 |
| 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 叙情性 | 4 | 4 |
| 前衛性 | 3 | 3 |
| 可読性 | 3 | 3 |
| エンタメ | 3 | 3 |
| 技巧 | 3 | 3 |
| 音韻 | 3 | 3 |
| 構成 | 3 | 3 |
| 総合 | 22 | 22 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文


やや、言葉の精度が移ろっている個所がある気がします。いったい社会のどこが悪いのか、見抜けるようになるといいんじゃないかな、と思いました。
1コメント大変ありがとうございます。言葉の精度については仰るとおりですね。。。 特別社会のここが悪い、というスタンスをとったものではないですが、身の回りや所属する組織で設定される多くの「目的」に対して、一時退避を良しとするのではなく、もっと生産的な関係を築いていきたいと思っています。
1巧妙に必要に見せかけられた疑わしいゴール。 こんな行にハッとします。 手持ち無沙汰に古本。 きっといつかの蜜柑のように、 こんな二行。いつかの蜜柑は、古本を溶かしてしまうほどなのかもしれませんが、ここでは淡々と事実が詩行を構成し、詩行を強化していると思いました。
1いいですね。 散文や日記が多いなかで(それが悪いというこじゃないです) いかにも詩らしい詩に出会った感じです。 素描ですが。
1息継ぎをする私。鮮やかな橙にも出会う。目的までの途上。見知らぬ土地への道すがら、澄んで居る。澄んでいる水。澄んでいる空気。いつかの蜜柑とは何か。しかし謎解きよりも、詩句に澄みが有ると思いました。
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