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440Hz
腕の中で泣く、喜怒哀楽の全てが混ざった声で。肩を寄せて泣く、憂いを分つことが優しさだから。独りで泣く、洗濯物のタオルは硬くて痛い。相手の肩に染みを作る、エンドロールはまだ流れない。公園の遊具に頭をぶつける。鼻の奥が疼いて、涙が溢れる。暗い部屋にも人はいる、もう涙は出ない。閉まる扉、予備校の広告が彼女の顔を隠す。走り出してもまだ見ている。エキストラの間に座る。川沿いのマンション、部屋の明かりは下手なテトリスに似ている。ドアの横のベビーカーはラの音しか出さない。駅の改札。大きな荷物を抱える人、待つ人も無く。どこかで猫が鳴く、寒色の電灯。自販機、水色のボタンを押す、乾いた音。鍵穴の擦れる鈍い音。扉が閉まる。バルコニーには昨日の雨が滲む。BICのライターで灯りを灯して、涼しい夜に灰を落とす。乾いた風で、アルコールの無い酔いを覚ます。ふと顔が浮かんでは薄れる。灰皿、マンション、街、ズームアウトする画角。変わらない街の中で、僕は明日も笑うだろう。
440Hz ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 431.9
お気に入り数: 1
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2025-07-25
コメント日時 2025-08-17
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
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| 叙情性 | 0 | 0 |
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| 技巧 | 0 | 0 |
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| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 | |
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| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文


実によくできた詩だと思います。セリーヌみたいですね。変わらない街、とか、言葉の正確さが、 印象的です。
1感動します。
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