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アルフォンソ
過去はいつか負債を払わねばならない、私に押し付けられた貸金だ。 午前3時─街頭の下─外套を纏い─アルフォンソは立つ。 教会の鐘の音に耳を潤ませ─僕は問う。 「今まで生きてきたが──押し付けられた財産達は──役に立った──のか?」 自問自答──滑稽である。 いや。 尋問自答だ。 僕は何があっても───この問いに答えなければならない──黙秘権なんて今更──存在しない。 「考えるなんて今更──ザムザ──答を見てるくせして──ザムザ──」 僕は──まず──僕の──外套の下に──何が詰まっているのかを研究することに─着手した。 下半身は─節があると答えた。 脳は──君はポラリスと答えた。 心は──沈黙。 「この金食い虫めが。」 我が心──君が僕の財産を食い散らしたせいで──僕はもう一文なしだ。君も──財産も──何も役に立たない。 ポラリス──僕は──ポラリス──。 飴を舐めるように──口触りのいい言葉を──吐く。 「なら君は誰なのさ──僕にそれを食わせたのは誰なのさ──ザムザ──」 僕は虚栄を張るしかなかった。 財産は何も役に立たないくせに──残ったのはそれに寄生する──ポラリス─あぁポラリス。 僕は──地獄の門を開くダンテの気持ちで──外套を開く。 中は──いつもの僕だった。
アルフォンソ ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 357.1
お気に入り数: 1
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2025-07-17
コメント日時 2025-07-17
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
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| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 | |
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| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文


凝った設定で、よどみなく展開していく文章。ザムザはカフカの『変身』からでしょうか、 固有名がうまく使われていますね。アイデンティティといった主題かと思います。 過去の負債を払う――みんなそうせねばなりませんね。
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