Review
Sep/24
Creative
黒髪 says:
文章の組み立て方が良い。確かな書き方。疾走感がある。鉛弾。本当の認識に至るために、詩の形にしてみなくてはならない言葉があったのだ。
黒髪 says:
情景描写が素晴らしい。万引き、性、人が人であること、というテーマをはっきりと打ち出す作者の実存に脱帽。確かに、瓦礫では雨は凌げない。
黒髪 says:
良いものが良いと認め、自分が生きていくためのゆるがない価値感を打ち立てようとしている。未来が明るい希望へつながると。
黒髪 says:
様々な言葉を記述している。その選択は、おそらく「ことだま」ということへの敬意だろう。「自閉症」児を持った親の、切なる願いが、「言霊」に乗せられている。
黒髪 says:
ぐわんぐわんという言葉を発明された作者。文章としての価値が、可読性など含め、高いと思われる。
黒髪 says:
真面目な考え方をされる人だと思いました。狐への視線とか、生命への眼差しが美しい。
ちせsays:
周りがキラキラとしていて余裕や高級感に溢れているのに、自分はそれに届かないとってところの歯がゆさ、もどかしさ、世知辛い感じが描けていると思います。内容では格差や競争が描かれていますが、言葉使いは全体的に品がある感じします。「百合の痛みと薔薇の官能」とか、グラマラスで良いなとおもいます。ギラギラで濃い香りがしますが、最後の一文で全部消えるのが個人的にはナイスですね。
ちせ says:
これを歌い続けたら童謡・民謡として地域に根付いていくのだろうなと想像しました。なんか懐かしい感じがしますね。新作なんですけど、小さい頃にこれを祭り場とかで聴いたり踊ったりしていたんじゃないかなと錯覚させます。ノスタルジックに私をさせます。
ちせ says:
カチッとしているけどどこか汚い文章。私はこのような類いを右翼の街宣、左翼の反論、三島的演説文とヒッソリよんでるんですけど、ドンピシャなのが久しぶりに来たなと感激してますよ。文を読んでるときも野次馬の怒号とかサイレンとかが聞こえてゴチャゴチャうるさい感じ。この散らかってる感じは才が降りていますね。かつていたベイトマンさんを思い出させます。
ちせ says:
前の選評の時と大体、同じ事を言うんですけどまずスピード感がありますね。今月良いなと思った作品で1番の速さを感じます。テンションは高く、爽快感があって、読んでるとメロディーが勝手に聞こえるんですよね。これまた崇拝しているthee michelle gun elephantみたいなゴリッゴリのガレージロックです。私の何が作者さんにミッシェルを重ねてしまうのか分かりませんが、素晴らしい出来です。
ちせ says:
社会復帰の詩なのかなと思いました。酒の飲み過ぎで身体を壊して、グレープフルーツは意外と薬に作用することが多い果物なんでそっからの連想です。この、俺はこれから人間やるぞー!ってヤケになってピザを食っている感じが好きですね。私も元気にアル中しています。ピザと一緒に酒飲んでいたら、いつの間にか職場でヘラヘラしながら飲んでいました。メンタル保つためにメンタル壊していた変な時代でしたね。それを思い出しました。
ちせ says:
これが福まるだよなーって感じです。同じ落語家の同じ噺を聞くような感じです。病気の告白から死生観、そして社会へのメッセージ。この欲張りセット、これは福まるさんの何度にも渡る自己紹介の詩です。「福まるさんはジャンル」とうのを感じさせます。
完備 says:
まだまだ拙いが、熱量はある。頑張ってほしい。
Brilliant
ちせ says:
文章構成はキッチリ文字列を揃えていて、それが都会に建ち並ぶ高層ビルだったりコンクリートの無機質感を出していると思いました。更に言うと、読みやすかったです。文字列を揃える事を優先して変に漢字を使ったりひらがなにしたりなんてのを、私はヘタクソなんでやっちまうんですが、違和感無かったです。言葉の使い分けが上手い人は良いなぁと思いました。中身はハードコアな所が個人的にはギャップで良いですね。私が鯉を釣って食べていた時代を思い出します
ちせ says:
田中の判子がないから中田さんのを使いましたという詩ですが、着眼点がよろしく、ほっこりとしました。長さもほどよくて軽く摘まめるサイズ感。作者さんみたいな考え方で日々を過ごせて行けたらと思いました。どうも私は荒んでいるので。悲しい世界に生きてますわ。
Art
紙、ふぶき。
鯖詰缶太郎
『紙、ふぶき。』も「紙飛行機」もふつう、だれかに飛ばされない限り飛ばない。 by 澤あづさ
鯖詰缶太郎『紙、ふぶき。』集約一例
https://www.breview.org/keijiban/?id=13638
ちせ says:
読んだ感じは死ぬ=紙飛行機みたいに飛んで行ってしまうという感想を最初に持ちました。でも、そこまで深刻ではないのかなと。パタパタと身支度して出て行く感じ。紙ですからそれくらいに軽い物なのだろうなと。ちょっと悪い言い方になると思いますが、人の出入りが激しいその日暮らしの人達が集まる、どや街が舞台なのかなと今は思っています。自分の今の職場がまぁそんな感じでして、なんかリンクしたんですよね。タイトルの紙ふぶきはなんでしょうねぇ・・・死ぬにしても去るにしても、凄惨でなければおめでとうと言ってやれみたいなメッセージに捉えました。なんも考えずに紙飛行機になれる人間のいる世界観で見ても楽しめる作品でした。
指先のアクアリウム
1.5A
アラン・マッケル詩撰集(*翻訳の手習いに)
Most Voted Work
僕の「I was born」
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=13447
九十九空間
ちせ says:
とても素直な言葉の使い方をしてるので、ジワーとイメージが浮かんできます。なんか水溶性のほろ苦さを感じる。私も作者さんと多少は違いますが、無精卵の所だったり、引きこもりだったり、産んでくれって頼んでないって母に言ったこと、その後に母がしてくれたことがあって、僕の「I was born」を通して、私の「I was born」を読ませられました。他者の作品で自分の事のように感じられるというのは貴重な体験だなと感じました。じゃあ、私に似た経験が無ければこの詩は評価がないのかというとそうではないです。Syrup16gってバンドの名曲に「I.N.M」ってのがあるんですけど、それを彷彿とさせます。自分が自分であるための理由みたいなのが詰まっている気がします。
君が生まれてきた理由、それは愛する人に出会うため。 君が生まれてきた理由、それは誰かを愛すため。
君が生まれてきた理由 (鯨の笑い声)
そうして、この作中主体は、じっさいの母の、真実の言葉を聞くのである。
わかったふりはできないが (田中恭平 new)
Voices
曖昧、というのがこの作者が書き出す詩の主題であると思える……と偉そうに言ってみようとするけれど、実際にまたなんとも言えない感じがある。
『何事も言葉にしないと伝わらないのに
言葉に出来ないことが多すぎる』
そう。そうなのだ。僕はこの涼夏という人の作品が結構好きなのに、それを言葉にできない。どう好きなのかを伝えなければこの選評は成り立たないのに、理解させなければ締め切りギリギリになってこの文章をなんとか完成させた意義もないというのに。
あと、作品の本筋とは関係ないし、コメントにも既に書いたことだけれど……。
『好きな人、好きな本、
好きな造形、好きな色、
好きな顔、嫌いな柄』
序盤のこの部分、アンバランスさが意外と感じられない。「好き」と言う単語のあとに最後に一個だけ「嫌いな」だけが置かれたのに、むしろそれが詩にどことなく自然さを与えている気がするのは気のせいだろうか。
〈愛とは〉
『感じることしか出来なくて
でも感じることも出来ない時もあって
身近にあるはずで
遠かったりもして
到底人が語れるものじゃなくて
でも人だから解って』
まさにこの作中の一節こそ、涼夏さんの詩が『曖昧』と偉そうに言った理由である。確かにそこにあるはずなのに、でもいざ触れようとすると靄のように掴みづらくなってしまう。涼夏さんが書こうとしているのは、まさにそのもどかしい感覚だと僕は思う。
黒髪
キラーフレーズ賞
つつみさん「おかあさんのうた(2024年9月)」
https://www.breview.org/keijiban/?id=13492
「SSRの光」
花澤悠さんの「夏空の下」
https://www.breview.org/keijiban/?id=13492
「たまに夏空の下
ドライブしている颯爽としているオレだから」
湖湖さんの「思い出は」
https://www.breview.org/keijiban/?id=13513
「病んだ鳥は死ぬだろう」
Editor’s note
写真提供:
(Cover image)
Ryinx (Back cover image)