感想:月ごとに、作品の傾向が変わって面白い。良い作品は、かなり良いと感じられた。様々な才能も現われ、安定した実力で投稿されている人も、ちらほら見える。

 

二人で1つの共存体「わたし」と「私」で1つの私」 ゆき C
非常に信頼のおける論述。わたしも、この詩から、「わたし」言葉の使用に、影響を受けました。
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思い出のコラージュ」 完備 B
様々な叙述が、適切な言葉で語られる。主体的に客観性を持って書かれており、読みがいがある。
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道化(ピエロ)」 きょこち(久遠恭子) C
夢幻的な世界が、美しい言葉で描かれる。生きている実感が強く、言葉に力がある。
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全焼事件」 西川晋之介 C
細部まで心を配られた文章で、読み易い。ユーモアが良い。
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コメを食べ愛を歌う」 西山智 B
記憶に残る短歌。生活を詠んでいるが、全く噓がなく、心に響く力がある。
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ガバガバヘイ!」 ターボくん C
ラップでパンク。コントロールされた言葉が、ひとつの青春を、面白く描いてある。執着の少ない言葉遣いが、可能性を感じさせる。
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透徹」 野良 〇弧 C
長く、コントロールされた文章が書ける。嘘のない意見を形に出来ている。ひとつの感想を持たれ得る文章を綴れる才能を買う。
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汐蛞蝓」 A・O・I B
練られた文章で、読んでいて楽しい。テーマを絞らなくても、これだけ読ませる力は凄い。
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短歌「Mermaid」」 田代ひなの C
清潔で、恋心をありのままに表出する短歌群。一貫したテーマを持ち、そのテーマは万古不易の価値を持つものであり、当然ながら作品の価値も高い。
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うつほ」 レモン C
どことなく特徴ある文章。イメージの連続が、しっかりとした言葉で描かれている。執着の少ない詩文が、美しく見える。
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ジョナサンとタニア」 1.5A A
一人称で書かれているが、語り手を感じさせない(のでいい)。夏のプールが情緒深い。様々なアイディアが用いられ、作品に対する愛情を込めて作られていて、素晴らしい。
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羽化」 ひらぞー B
悲痛なる決意を感じられたが、最後には、羽ばたく。決意の滲んだ文章が、ひとつの心を生き様を刻みつける。
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あなたのこと」 まるっとした鯵 C
本当の心から出た言葉が、きれいだ。誠意を込めて、自分の感情と向き合っている。
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夏も修羅」 小崎嘘 C
現実の体験に根差している。世界の捉え方が美しい。死なないために、という結語に情感と意志が滲む。
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ほろほろ満月」 湖湖 C
言葉遣いと雰囲気が良い。もう少しの全体的な捉え方が出来れば、もう少し行ける。
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スイッチ」 つつみ A
繊細な描き方が、非常に上手い。大人の心理の表出を感じられる。きちんとした論理を追っているので、不安なく読み進められる。
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26」 舜舜 A
美しい英語の語彙。感情が生き生きと描かれ、個性、特異性は唯一無二。
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鳥人、あるいはなれなかった者の」 群青透夜 C
文学的に描こうとしており、そのある程度の達成が見られる。言葉への鋭い感覚。
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時夜花」 渚佐渚 B
別の言語から移されたような言葉が、実に、creative。きちんとした思考が行われており、言葉遣いも正しい。あと一つの跳躍、固着化が待たれる。
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車道の蝶」 枕の涙 C
蝶の儚さが、うまく書かれている。死骸が美しく壊される。
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日本製パンダ」 カステラリウム C
パンダを例に、生き物の貴さを説いている。3次元という言葉が印象的。
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サヨナラアオハル」 群青透夜 C
ていねいに書かれている。構築への意図が見える。ややダサさを感じさせるが、これからもっと洗練されてくると思われる。意志の継続に期待。
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田代ひなの「蜘蛛と歌舞伎役者」【C】
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私は歌舞伎に疎く、だからこそこの詩の魅力にまだ気づけていない部分は大きいだろうが、それを抜きにしても面白い。
蜘蛛、女郎、女郎買いと連想されるが……蜘蛛が買うのは「衝動」や「流行り物」、「綺麗なもの」や「可愛いもの」である。そんな、現代では簡単に触れられそうなものに対しても、「札束」が必要とされ、逆に「国家予算」なる額で表面上、「歌舞伎役者」たちの価値が担保される。
テーマが単なる二物衝突に終わらず、予言めいたものを感じた作品。

つつみ「帰省」【A】
https://www.breview.org/keijiban/?id=15053

将来、私たちの身体がこのように仔細に解析されながら、生活を送る可能性があるが、かえって複雑な様相になるという倒錯が起きている。「心・身」のリアルタイムな解析の連続が、こうも徹底されると逆に生きてくる。「帰省」というタイトルは合っていると感じる。
また、何から何まで解析されるという訳でもなく、たとえば中盤、「モード」という語が多用される点。システムがこの「嫁」や「亭主関白」の「振る舞い」を漠然としか捉えられず、否、その柔軟性を保つ方が良いと判断しているかのようだ。
ただただ、面白い。

湖湖「懐かしい」【A】
https://www.breview.org/keijiban/?id=15105

場所は限られているかもしれないが、それでも広壮な世界旅行が描かれる。
それぞれの「食事」に、かならず誰かがそばにいる。食事というのは、人間をみつめるのに、一番適した時間のように思う。
主体の記憶の曖昧さは、その「料理」と出逢った人々をカラフルに溶かし合わせるよう。たとえば「美しいオレンジ色のジュレビ」の後、「ラムヒさん」の小麦色の肌や眼の色も、描かれないが自然と降ってくる。
主体が、今、世界を渡り歩けない何らかの事情に、感情を膨張させつつも、記憶のスパイスで英気を養い乗り越えようとする、終わり方も素晴らしい。

ファリラン「済み。ずみずみQ.!」【B】
https://www.breview.org/keijiban/?id=15141

作者もコメント欄で言及しているが、「(カチリ)」がチャンネルの切り替えを意識したと、また、「何かしらの力動」が伝わっていたら嬉しいと。
私はこの、「!」エクスクラメーションを多用する詩の類をあまり好まない。しかしこの詩は「a!」という異質な発声を機に、何か自己陶酔的な叫びには陥らない、客観視もされているようで引き込まれた。カメラの切り替えも、熱狂という一定の視点には留まらず「涼し」さにも移り、剥き出しの感情に多面性を喚ぶ。
最後の「(カチリ)」は、切り替えというよりも、電源を落とす音であるだろう。

Rikuha「灰被り」【A】
https://www.breview.org/keijiban/?id=15167

「煙草」の「火」と、「田んぼ道」を吹く「風」により構成される場を、(作者の言葉を信じるならば)初めて詩を書いてとらえたとは、少し恐ろしい。それも限られた数行の中で。
「ように」のレトリックが巧く、初読時は何をされたのか分からなかった。2行目は直喩であり、3行目は滑らかに願望になる。4行目の「ように」は果たして。ここも風への願望か、または、「あなた」の眼(記憶)に映る「私」の喩、またはその両方か。


選考の過程で、下記の作品たちも良かった。

トビラ「別注プリン
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仁川路 朱鳥「生土の行進
https://www.breview.org/keijiban/?id=15088

夏立むぎ「ハルコの話
https://www.breview.org/keijiban/?id=15157

やすだ「2896
https://www.breview.org/keijiban/?id=15184

カステラリウム「日本製パンダ
https://www.breview.org/keijiban/?id=15214


誰もいない
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15047
aristotles200

グリッド
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15056
オカザキノノ

もはやこれまで
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15080
らりるれろ

大人レコード
https://www.breview.org/keijiban/?id=15082
たわし

sex
https://www.breview.org/keijiban/?id=15107
白犬

コンビニの駐車場で
https://www.breview.org/keijiban/?id=15110
watertime

ひろがる
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15122
オカザキノノ

カフェオレ、飲めるようになったよ
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15128
砂柳

おにいさん、しんでくれてありがとう
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15130
万太郎

光ある場所
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15132
stereotype2085

アルフォンソ
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15159
春瀬 優希

ハルコの話
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15157
夏立むぎ

人生の残響
https://www.breview.org/keijiban/?id=15175
理流

440Hz
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15188
やすだ

魔法が溶けて
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15197
緒北くない


蜘蛛と歌舞伎役者
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15036
田代ひなの

無題F
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15037
砂漠の蝉

うたかたの日々
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15040
紅井ケイ

哀しげな日傘を差す女(ひと)みたいに
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15041
はちみつ

june,
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15044
完備

帰省
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15053
つつみ

ことば
https://www.breview.org/keijiban/?id=15079
浅川宏紀

堅いせんべい食え
https://www.breview.org/keijiban/?id=15085
めりい

天使篇《僕が詩を書けば》
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15090
飯干猟作

思い出のコラージュ
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15100
完備


https://www.breview.org/keijiban/?id=15103
古銭好き

全焼事件
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15116
西川晋之介

痛み
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15125
福まる

笑い
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15161
相野零次

ある朝
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15163
A-suke

陽光
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15039
黒髪

空なお高く
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15043
ゲッター

沖縄の夏
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15048
福まる

鳥になった少年
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15072
たわし

別注プリン
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15073
トビラ

捕捉不可能なものを言葉で捉へたくて
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15074
積 緋露雪

単純な人間関係と文明ついての簡単なレポート
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15077
YUI

生土の行進
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15088
仁川路 朱鳥

立ちつくして
https://www.breview.org/keijiban/?id=15097
Foglight

風景画のパレード
https://www.breview.org/keijiban/?id=15102
らりるれろ

コメを食べ愛を詠う
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15133
西山智

恋は雷鳴
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15134
ターボくん

夏も修羅
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15189
小崎嘘

声も小さいからさ。
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15190
小崎嘘

オレンジの部屋
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15192
砂柳

堅いせんべい食え

めりい

七夕の夜

黒髪

ハゲ散らかしやがって!

野良 ○弧