感想:4月は桜についての詩が多く見られました。だんだんと、皆でレベルが向上して来ていると思います。心健やかな人もそうでない人も、B-REVIEWで表現してください。

西山智さとぽん「サバの味噌煮=LOVE」B
人に対する愛が感じられる。分かりやすい詩文がいい。
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田代ひなの「詩人ミカエル」B
内的告白と、語りかけの文章がうまい。一つの関係性が、多くの者の共感を呼ぶものだと思う。
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ぼんじゅーる「かあさまあいしてる」B
生きている、ということを確かめるために、過去を探る。浴槽の中という場面も、想像を誘い面白い。
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みなしろ「春は訪れ心ほころぶ」B
冷たいまつ毛、草擦れる音、繊細な言葉が美しい。
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セインSK「純愛」B
切実な過去を述べているのが良い。シンプルな身の回りを、感情を大切にして生きることが書いてある。
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michie「レインドロップ」C
優しい世界が、丁寧に書いてある。美しい思い出は、誰が見ても美しい。
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みつさうんど「Sakura, Sakura」B
悪を装う、という発想がいい。そして、サクラによって、世の美しい心は守られていく。
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博子「朱色のフィルム」A
言葉の使い方と、書いてある内容が素晴らしい。色の扱い方が、抜群にうまい。読んでよかったと思える詩は、実はまれである。
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さか たけお「09.07.1890」B
旅行についての一場面だが、内省的に描かれていて、クリエイティブ。何らかの考えを読めたと思える詩も、多くはない。文章も美しい。
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窓際最花「ペリエがあるさ」B
厭味のない文章で、おいしさ、味を感じさせて、さわやか。これは、読んでよかった詩である。
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トビラ「日々を」B
美しい感情を、思い切った構成の文で綴っている。
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浅川宏紀「赤子と老人と そしてアラヤ識と」B
アラヤ識というものがある、という事を、自分の頭で観察、想像した上で、年の差を気にしすぎず、すべての存在に本来罪はない、という達観に達している。
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えんがわ「今日、心から願う大切な夢」B
厭味のない文章がいい。一見何でもないような内容に思えるようだが、日常のさりげない事を大切に書いてあり、一種の美しさ、すがすがしい意識をもたらしている。
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風景「はっぴいえんど」C
春の季節を描く。日常の何でもないことの観察。ばっどとはっぴいに、強く意識を寄せ、こかこおらなど、自分の人生を一生懸命に生きているのがさわやかだ。
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三明十種「毎おさ」C
小宇宙に触れたいという思いが感じられる。扇情的でもなく、厭らしさがない。
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Stereotype2085「GREATEST MECHANICAL DAYS」B
正義感の強さがいい。訴えかけるようで、個人的希望というものがうかがえる。
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たんぽぽと菜の花「私は桜」B
美しい叙述。桜と自分の同一性を発見された方は、おそらくただ一人であろうと思われる。
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環「世界で最も可哀そうな木」B
桜と人間の、お互いに認め合った関係を描いている。ただ観察し、思いをこらすだけでも、世界は生きるに値するし、自分の生をおろそかに生きてはならないと分かる。
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死人(しにんちゅ)「詩人と死人」C
追い詰められた人間が、必死の思いで詩を綴っている。鬱病と関係があると思われるが、守ることなく大切な思いを表現している。
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羽田恭「夜へ」B
あまりにも美しい景色を、そのたびに初めて見るかのような感動でつづってある。圧巻である。
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れいん「さくら」C
比べて見てみるという思いつきがいい。それを支える文章力もある。
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とんぼ「嫉妬心」C
人の上に立った境地から見ている。それが成長ということだろう。自分に対して責任を持つ。
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ゼロ「blame」B
自傷について。自分の人生に恐れを抱いている様子が、そのままに詠われている。必ず、立ち直ると思わせる強い意志が感じられる。
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榮翆「祭囃子は遠音に」A
祭りの記憶を刺激される。描写の言葉が圧巻。あまり見ないようなフォルムで、良い詩情を表現されています。
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不人「春のうち」A
あまりにうまいので、思わず目を疑いましたが、まぎれもない良作です。読み込むほどに、頭がくらくらしてきます。
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poemplay29「サッカー」C
よどみのない文章で、夢が綴られていて、読み易く、内容的にもじんとさせるものがある。
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最北端」銀河少年【B】
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短い詩だが、まずその形式がこの詩の魅力を引き出していると思われる。
第三連からも分かる通り、この詩の世界観には「スマホ」が存在する。ストリートビューを開けば、旅先の風景など簡単に見られる時代である。それでもこの詩中主体は、「体の最北端」を「ストーブであぶ」り、まどろみに身を投げることを選ぶ。
端的だからこそ、この行為はスムーズに行われていくように読める。習慣化されていて、呪術性を帯びているのだ。スマホを使い尽くした未来の、一人の人間の想像方法が垣間見える詩。
否、この精神は、今すぐにでも私たちが必要とするものかもしれない。

ぼくがオジサンになったよ」たわし【B】
https://www.breview.org/keijiban/?id=14623

常識、規範からのズレ。タイトルから滲み出る、自他の時間感覚のズレ。そのズレ様を、肯定も否定もせずに淡々と描いていく。選ばれる一つ一つのエピソードに、所々ユーモアが挟まれ、ズレの深刻さは緩和されているように思う。
さて、見方を変えると、この詩はそのズレを正す他者が登場しない。これは、事象一つ一つをリアルにではなく、寓意的に読むと良いかもしれない。号令に背くこと、楽器という基盤を外す試み、言葉の通俗化に待ったをかけるなど、それぞれの「ぼく」の行為にアイデアを感じて、他者は彼を野放しにしているのかもしれない。

直線幻想」墨野みどり【C】
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人生は、白さと黒さを往還していくようなものかもしれない。黒い髪にぽつぽつと白髪が混じり、いずれ「シーツ」の白さに染まる。葬列は、黒く死者を天に届ける。「黒黒としたカップの中身」を心地よく思う「私」だが、黒側がいつも生とは限らない。「ミルクティー」に「砂糖」を入れるさらなる純白の若さが次世代として現れる。
各々の世代を羨望し、その「見ることのできない」空「白」を想像することによって、私たちの「コーヒー」が出来上がっていく。そう紡がれていく「直線」を「幻」視する、人間の美しさを描いた詩。

陽の埋葬」田中宏輔【A】
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冒頭、フィリップ・シェリダンの「よいインディアンは、死んだインディアンだけだ」という言葉が元ネタだと、この選評を書く直前に偶然知った。しかし、元のシェリダンの言葉は曲解されて現代にまで伝わったらしい。この詩も、その「言葉の曲解」が一つテーマにあるように思う。
父の身体に浮かぶ点字を読めるのは「わたし」のみ。その具体的な訳文は読者に明かされないが、「最初の言葉」だけがこの詩では書かれる。それはつまり、逆説的に「わたし」が読めなかった(理解できなかった)部分が読者側に漏れ出てきたのではないだろうか。
点字が浮かび上がってしまう体質、書かずとも書かれてしまう遺言により、「父」は「わたし」の観念にどうしても生きてしまう。その体質=血筋を克服して真に死ぬことを、今度は「わたし」が果たす番だろうか。来たる「懺悔」の念を踏み潰すように、「脚の群れ」を折る最後は、この詩に大きな余韻を残している。

毎おさ」三明十種【A】
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詩とは、自分の「声」を獲得する行為のように思う。
産まれ、育ち、学校という場では秩序によって、様々な抑制がされ始めていく。コミュニケーション上で「言ってはいけない」とされた「声」らは、しかし胸中で無言の「声」として渦を巻くものになるだろう。その領域までは、他者は決して介入し得ない。
そんな内なる「声」が、この詩では「噂」という形を獲得して「学生服の下を通過し」ていく。声は声を呼び、「おさわがせ」といった事実と憶測の混乱の場を喚び込み、ついにはその犠牲になる(「しぬる」)贄が生まれてしまう。そうやって、彼らは自分たちの消え入りそうな内なる「声」の力を確かめていくようだ。
恐ろしい世界観だが、的確に現実を捉えている詩だろう。

人類は愚かだ、そしてかわいい。
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入間しゅか

陽の埋葬  
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田中宏輔

はっぴいえんど
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風景

喉痕
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中沢

歩く
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相野零次

<お互いの欠落を暴き立てる>
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fujisaki

ノヴァⅱ
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高橋髙橋

大雨のあと
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三明十種

パラダイス
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201

ぼくがオジサンになったよ
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14623
たわし

09.07.1890
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さか たけお

roots
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富井嫉妬

草球
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妻咲邦香

灯台
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テイムラー隆一

なしくずしの死
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紅井ケイ

アメニウタエバ
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サバの味噌煮=LOVE
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西山智さとぽん

母の飯
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201

急流
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stereotype2085

並行世界ミーティング
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283.0046.

徒然なる死
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緒北くない

朱色のフィルム
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博子

きみ
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夏立むぎ


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ペリエが好き
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窓際最花

言語小考
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堀渡系

またあした…
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私の話聞きたい?

ベンツが欲しい、とジャニスは歌った
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紅井ケイ

はじめに
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村松伸彦

ひとことダイアリー

おまるたろう

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