Review
MAY/25
黒髪
5月分選評です。
「動く」 道川アクノー C
青に放てば、というのが美しい。動く私が気にする。良い詩文。
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14739
「あじわう。」 道川アクノー B
テーブル。あじわう。すると見えてくる。あなたえの問いかけ。
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14742
「殴音」 中沢 C
少し想像が弱いが、納得する詩文。
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14754
「線路際の桜」 きょこち C
咽(むせ)び泣く。強い感情。眩しさが美しい。
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14759
「散歩」 森 楸 Mori Hisagi A
石けん。美しい文。激賞したい。抱き合って孤独を払い。これから歩いて行く。一眼レフに写る写真を、眺めさせてもらいたいものだ。
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14773
「人文学と多様性」 watertime C
良い文章。踏み込んで批評しており、好感が持てる。
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14771
「雨の中で.exe」 春瀬 優希 B
心の更新記録。深夜4時。何が起こるのか。崩れていく音。静寂。
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14777
「ささくれ」シ端セ奈 B
何も柄のない、ベージュの天井。ささくれと糸。芸術である。蚕。海のシニフィエ。愛を愛として受け入れられるのか?
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14790
無関係だと思っていた、気持ち。see youがさわやか。
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14825
感想:今月は、レベルにばらつきがみられました。良い作品は、とても良かったです。
熊倉ミハイ
私は毎月、5篇を厳選し選評を書かせていただいてますが、今月は非常に悩ましかったです。
マイルールで、その月の最多得票作品は除外して選んでいるため、めりいさんの「夏日」は今回含めませんでした。
そのほか、5篇に絞っていくのも難しく。
どれも良い作品ですが、いざ概観してみると、詩の締め方が大人しく、綺麗にまとまっている作品が多かった気がします。希望や安らぎの言葉が、違和感のあるカタルシスにあてがわれると形骸化することに、自覚的かどうか、又はそこに皮肉などを込めているかまで注意して読みましたが、掴み切れない作品もありました。
毎月、学ばせていただいています。引き続きよろしくお願いいたします。
「いっさいは過ぎ去る」たわし【A】 https://www.breview.org/keijiban/?id=14734 冒頭、「いっさい(一切)は過ぎ去る」という諸行無常、「時」の強さが示されるも、「1→2→3」という緩やかなカウントをするところから始まる。 その中でも「3」では、「ヤバい」「三才」と、「呆けの兆候」の「さんちゃい」が出てくる。詩全体を通してみると、前者は物心がつき始める「三才」、後者は大人が幼児退行していくような「さんちゃい」に思う。緩やかなカウントアップからのこの2行の緩急に掴まれた。 「ヤバい」と感じたり「覚悟」したり、「言いっぱなし」の声に敏感で、「時」の力に怯えているような詩中主体と、誰も目に留めない「一本の糞」を踏み抜き、独自の「飲み頃」を持ち我を貫く「オバサン」との対比も、面白く描かれている。
「fade-in fade-out」238.0046.【B】 https://www.breview.org/keijiban/?id=14761
空とは、一見自由で、澄んだ領域。しかしこの詩では、「飛行機」を通して「空」の閉塞感、「空」を無機的に分解し描写していく。 到着までの時間が延長される、現代では小さな非日常でさえも主体は「現実」と見なし、音の「幻想」に戻ろうとする。 そもそも主体は、なぜ耳をイヤホンで塞ぎ、シャッターを閉めるなど、積極的に眼前の「空」を「スクリーン」化させ、最後には見なくなっていくのか。そこには、「ギリギリ足を伸ばせる程度」で、「手が届く距離」にある天井という窮屈な身体感覚と、拡がっている視覚情報との乖離をみすみす許す訳にはいかないといった、一つの信念があるように思う。それは、文明批判の根底にあるものではないだろうか。
「淑女はバカラで雨水を喫す」砂柳【B】 https://www.breview.org/keijiban/?id=14767
物事の無分節の時代にあったギャンブルと、平均化・定義の共有が推し進められていく時代のギャンブルでは、後者の方が圧倒的に難しいと思うのは、この時代にしか生きていないからこその感覚だろうか。今後、AIなどが割り出す科学的根拠を提示されてもなお、我々は間違っていると見なされる選択が出来るか。 「可愛い」という情緒が、科学に上塗りされて「可愛くない」とされる。その不満の射程は、次第に読者の倫理感や生理的反応にまで伸びていく。 最後、読者の拒絶を予感してか、「レディ」という皮を被りデフォルメされていく締め方だが、他の着地方法があったのではと思ってしまった。
「ささくれ」シ端セ奈【A】 https://www.breview.org/keijiban/?id=14790
この詩の「ささくれ」は、一個人の身体の問題であると同時に、人類を覆う「ささくれ」としても現れているように感じる。 「ささくれ」を、一本の歴史、時間だと捉えるならば。第二連では歴史家の解釈が飛び交い、第三連ではその起源を想う。第四連、「短いときは、あまり細く見えないけど、長くなるとより細く見えるからだ」という表現は、私たちが過去を見つめる時の感覚と似ている。 そんな大きなスケールで捉えられる「ささくれ」が後半、「繭」と「銃」へと変わっていくが、反対に問題は「触覚」→「愛」というように縮小し、目の前の現実に立ち戻っていくようだ。 詩全体にあるリズム感も、良い。
「安心するまで」エイクピア【B】
https://www.breview.org/keijiban/?id=14850
この視点は野暮かもしれないが、まず、この詩の「場所」は、一体何処だろうか?
「車内」、他人の顔を覚えようとしてじっくり見れる場は電車がパッと思い浮かぶ。「車内」と「電卓」の音も無意識に結びついて、「電車」を想起させてくるかのような、そんな導入。しかし、明確に「電車」とは書かれない。
加えて、普通、電車内であれば空を見上げることもできない(そもそも、空を見上げると「池」が見えるというような世界なのだが)。
空間構成はもちろん、一般的な電車でもない「車内」、私は「銀河鉄道の夜」を思い出した。その補助線があると、たとえば、単に降車した人を「この世から離脱した」とみなしたのだろうか、など、解釈が生まれてくる。(「少なくとも私にはそう思えた」という部分からも、観念と相互作用していく世界のようだ)
しかし相違点は、この詩では夜明けが来ることだろうか。その夜明けがもたらす「安心」とは。その他、降ってくる「羊毛」や、「監視」することと「覚える」こと、この異空間で「眠る」こと、「常備薬」「電卓」などが、この詩においてどのように働いているのか、想像を掻き立たせる魅力的な作品である。
「殴音」中沢
「日常」マンモス教授
「わたしたちが病を愛する」ぼんじゅーる
「ぴちょんぴちょんと音がする」妻咲邦香
この作品たちも、非常に良かった。
天才詩人2
Art
大人の掟
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鯖詰缶太郎
いっさいは過ぎ去る
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たわし
タイトル読んでなくてテキトーなこと言ったかもしれん
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楽子
陽の埋葬
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田中宏輔
殴音
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中沢
墓参り
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レモン
春の芽
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二藤
とうめいもさんかする
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緒北くない
僕は夜の果てで君にさようならを言わなくてはいけない
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テイムラー隆一
ささくれ
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シ端セ奈
過ぎ行く制服の香り
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二藤
夏日
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めりい
されど気まぐれな時も
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紅井ケイ
よもぎのように
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熊倉ミハイ
アバウト・ア・ガール
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田中恭平 new
余白
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つつみ
ANTEL▶PE_CANY∅N
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A・O・I
原子論
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fujisaki
Brilliant
質問があります
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紅井ケイ
【蘇生】〜revival poetry〜
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poemplay29
Rust
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那須茄子
little emerald
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白犬
爪
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三明十種
極秘小論文(嘘:只の日記)
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野良 ○弧
Hallelujah
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レモン
雨の中で.exe
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春瀬 優希
小咄「金の斧と、銀の斧」
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万太郎
「光の路」「バースデー」
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えんがわ
逃避
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灰塚木目
海
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中西真耶
Creative
作業着はクール
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西川晋之介
動く
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道川 アクノー
fade-in fade-out
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283.0046.
人文学と多様性
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watertime
涙が落ちる時間
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蒼澄
宿り木にささくれ
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なすびサプリ
ひとりぼっち
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えんと
ヘルニア脅威一撃
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西川晋之介
徒歩旅
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抹茶アイス
夜/再会/再び、世界
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manacuba
無題
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シ端セ奈
Most Voted Work
質問があります
紅井ケイ
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陽の埋葬
田中宏輔
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夏日
めりい
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