Review
JUN/25
黒髪
感想 月が経つにつれ、作品のレベルが上がってきています。つまり今月も、ビーレビ全体の詩のレベルが向上しています。たくさんの作品を選んでしまいました。
「中央線最終出口」 紅井ケイ B
科学の用語が効果的に使われている。内容は、雑感的なものだが、作者の強い主体性で、一篇の詩へと、うまくまとめ上げている。将来性に期待。
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14877
「ここでchewして」 られるれろ B
躍動する言葉。chewという言い方は活きが良く、共感して読めて素晴らしい。
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14881
「ある縫製工場の部長さんのこと」 watertime A
実に、説得力のある文章。実話と思われる。人生の諸相を明らかにして、読む者に、感慨を与える。
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14884
「宇宙」 yutaka77 C
「君というキャンバス」という言葉がいい。思いもよらぬ詩行が現われ、イメージ豊かにつむいで行く。普遍性への視点があり、素晴らしい。
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14894
「月曜、斑の夢」 つつみ B
思いもよらぬ言葉が、特徴のあるイメージを紡ぐ。最後の連が素晴らしい。https://www.breview.org/keijiban/?id=14900
「グラムちゃんとセンチくん」 俗悪ちゃま A
哲学。体裁も工夫されており、読み易い。誰が読んでも、きっと面白いと思うだろう。
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14904
「落花」 春瀬 優希 A
今月では一番良かった。詩と小説の中間といった感じ。新しい文学が生まれる瞬間に立ち会えて嬉しい。破滅へ向かう委員長を止めようとする学生。愛と友情が交錯し、幻のように終わる。
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14907
「透徹」 ヒビキ 真海 B
語の使用の仕方に、あきらかなセンスの良さがある。知的な印象を受けるが、もう少し詰めれば、もっと良くなると思う。
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「不細だった」 ぼんじゅーる A
明らかに、心に深い傷をいくつも感じている人の詩だ。言葉に対する態度、捉え方が素晴らしい。「不細」という言葉は結局よく分からないが、それもいい。けだものとしての自己の過去、現在への自覚が、人を美しくする。
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14923
「短歌Cherry Bomb」田代ひなの B
明らかに、意味の詰まった短歌群。極めて読み易い。恋の爆撃が、ふたりを結びつける。
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「ただの医者のコロナのツイート」 森川 暢(Toru Morikawa) A
コロナのドキュメントとして、高い価値を持つ。懸命の努力に頭が下がる。
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「解剖」 真夜 B
正確に組み立てられた言葉。自分を分析したくはない、という思いが切ない。魂への言及が、素晴らしい終わり。
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「ポジティブ紙幣 ネガティブ紙幣」 ぼんじゅーる B
この作者は、明らかな、創造的意味の作り方の才能を備えている。一言一言が味わい深く、真の創造性へ至らんとしている。
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14958
「鳥かご」 ゆにゆん C
過去への悔恨であるが、きちんと主題を言い終えている。
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14960
「夢」 ルイスイ B
涙なくしては読めない。うさぎの死、子どもの誕生、そんな日々を終わらせる津波。
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14968
「無敵の人」 緒北くない C
他人を考えることで、自分のことを考えている。そうした意識もたしかに存在する。人を理解しようとする貴さ。
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14973
「白い紫陽花のままで」 なぱる B
白い紫陽花の美しさ。酸性とアルカリ性と中性と。実によく調べ、考えられた、珠玉の一篇。
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14984
「映し鏡」 ねこ C
平等についての思索。瞳という絶対的な道具による、正誤の判別。
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14994
「いつか聴いたジャック・ブレルの歌、そして麻里さんの思い出」 manacuba B
可能性を見出すことによって、孤独は癒される。
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15001
「あたらしいいのちへ」 らりるれろ B
躍動する言葉。長すぎる未来へ向けて、ファンファーレを鳴らして進んで行く。
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15008
「光」 ヒビキ 真海 B
かなり分かりにくい詩だが、三次元を超え、「終いまで孤独」が価値転換し、情報宇宙に、選んだ言葉で賛歌を寄せる。
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15009
「哀濾す愚弄、震う夢」 砂柳 B
永遠的観点から見られた時代のスケッチ。昔へ寄せた、ドキュメンタリー。
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15021
「ポエマーへ」 ひらお A
細かくリアルに描かれた映写機、シネマの現実、危険な光を扱う映画、ウランのようなあなたの光の目。
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15032
熊倉ミハイ
つつみ「月曜、斑の夢」【C】
https://www.breview.org/keijiban/?id=14900
作者の年齢がどうかは関係なく、「遅刻」や「校庭」という語があることから、学生の詩と受け取った。そうするとこの詩においての「学校」は、どちらかと言えば「生まれるはずのなかった文章」を受け付けない場だったのだろうかと、想像させられる。 まず、「人」が出てこない。代わりに「椅子」があるだけである。「誰にも呼ばれ」ることのない、「無言」の場として描かれる「学校」。 「生まれるはずのなかった文章」を誰にも見せることのできない場だが、自分も同じように「沈黙」を貫けば、こぼさず(≒傷つかず)「文章」(≒今日そのものの価値)を持ち帰ることができる__というこの詩の独白。それがこの詩という形で静かに共有されることが、他者を沈黙から掬い出す一つの鍵だと、主体は小さく希望を抱いていそうである。
ゼッケン「役所を定年退職したおれが再雇用されて動物園で働く話」【A】https://www.breview.org/keijiban/?id=14933
コメント欄の指摘でもある、暴力の世界に適応するように、檻の中のもう一つの本能・鏡像と融け合い、最後に檻の外へ出ていく構成を取るようだ。 その他、目を見張るのは、戦場から100キロ離れた遠方の地のはずの動物園で、檻の中をまるでスクリーンのように扱い、戦争の無惨さを映していくところだろう。 雌のライオンに「妻」という呼称が当てられ、「仔」から「子」の表記に揺れていく、人間的で都合のいい「おれ」の眼を覚ますように、(区画するように)「人間」、と雄ライオンは語りかけてくる。 鏡像のようでありつつも、鏡像でない。その構成力に感嘆する。
ぼんじゅーる「ポジティブ紙幣 ネガティブ紙幣」【B】
https://www.breview.org/keijiban/?id=14958
感情が、紙幣のように、安易に発行され、出回っていく。ぼんやりと温かい炎のようなものではない、一枚の薄っぺらい紙のように感じられる時代に、「こころ」を、「ろくろ」から再度練り直していくようだ。 「遠心力」というのも、こうして提示されると字面として面白い。私たちが「心」というものから「遠」ざかるほどに生まれてくる「力」、だろうか。 また、前半の「蓮」のゆらめきや溶ける「氷」のイメージから徐々に、固い物質の「皿」と「瓶」が形成されていくが、それすらも主体は壊していく。「ホログラム」、「はじけ」、「爆ぜ」という炸裂した「光」/「像」に出現するその一瞬にしか「こころ」はないと悟った直後、この詩も手元から急速に、「夏」へと爆ぜ消える。
飯干猟作「花火とヤモリとGB250」【A】
https://www.breview.org/keijiban/?id=14988
第二連の孤独な、自己への語りかけがあるからこそ、第四連のヤモリとの会話が効いてくる。 見物人の多くない場所での、「花火」からの一方的な問いかけ。人生の儚さと「花火」を照らし合わせるのが一瞬安直のように思えるが、そこは堂々巡りの「亜空間」(≒トンネルのよう)であることを直感しているからか、「叫び」で打ち破り、「オートバイ」に乗り脱出していく展開がある。 「ヤモリ」との会話では、「ヤモリ」が言うように「僕」が欲しい言葉を投げられはしない(「思うようにはいかない」)、チグハグさがある。 さて、その「うまくいかなさ」と出逢う「オートバイ」の旅の中で、彼が「塒」を見つ出す前に、詩は終わる。それにより、かえって彼の生への果てしない旅が強く想像させられる。「塒≒うまくいくような、想像通りの未来≒いつ死んでもええ」場所をずうっと通り越して行き、ガソリンが尽きるその時まで、彼はこの旅をやめないのだろう。
A・O・I「取扱説明書『記憶翻訳機、あるいは風景未遂』」【A】
https://www.breview.org/keijiban/?id=14993
他所の作品について書くのは憚れるが、同時発生的に、現代詩手帖8月号の投稿欄にて、あさとよしや氏の「詩語生成機 Type-Poet/0の使用上の注意」という類型的な作品が掲載された。だから選考したという訳ではなく、この作品はそれ自体とても面白く、また、その同時発生の妙に、詩の生成について考えるべき問題が今我々の前に現れてきているのではないかと感じたためだ。 羅列の魔力というものがある。その詩の世界観の、軸の周りに漂う情報を並べ、それらがナラティブに繋がったり繋がらなかったりしながら、その羅列の無限性を感じさせることで現実味が帯びてくる。 この詩から感じられる軸でいえば、たとえば、「風景」は保管され、客観的な記号である「ひらがな」は地中に埋められ、一方で認識……「記憶」が「熱源」として、そして抽出された「昼寝=眠り」が優位に扱われていくといった点などに、恐怖・冷たさを感じつつも、そのメカニズムにどこかしら抒情も感じる。 また、作者がどう思おうと、書かれたものは、いつだってガチである。
他、選考の過程で悩んだ、下記の詩作品も良かった。
抹茶アイス「副業」 https://www.breview.org/keijiban/?id=14890
たわし「コーヒー他」 https://www.breview.org/keijiban/?id=14898
古銭好き「観測者」 https://www.breview.org/keijiban/?id=14950
咲希 ほこり「蟹みそ」 https://www.breview.org/keijiban/?id=15005
妻咲邦香「愛と同じく」 https://www.breview.org/keijiban/?id=15029
天才詩人2
Art
中央線最終出口
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紅井ケイ
胸痛
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尾崎ちょこれーと
any days now
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高橋髙橋
風
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14908
完備
刃
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14910
完備
卒倒
https://www.breview.org/keijiban/?id=14922
積 緋露雪
役所を定年退職したおれが再雇用されて動物園で働く話
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ゼッケン
神崎ラジオ祐介
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14937
stereotype2085
円環
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14942
萼
ラッキーストライク
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14947
田中恭平 new
yojin
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14948
A・O・I
cross
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14952
完備
雨
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14955
アルセーニ・ヴェーテル
無敵の人
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14973
緒北くない
Camera shake
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熊倉ミハイ
end
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14991
西川晋之介
夏至 https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14997
田中恭平 new
愛と同じく https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15029
妻咲邦香
がたんぽとん https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=15034
fujisaki
Brilliant
田中くんの夢
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たわし
ある縫製工場の部長さんのこと
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watertime
コーヒー他
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たわし
幼馴染
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az
ちゃんと授業を聞いてなかった
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道川 アクノー
いてほしい
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人類
不細だった
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ぼんじゅーる
観測者
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古銭好き
夏風とパティシエ
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はちみつ
追憶は夜空の隅にそっと置いていった
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テイムラー隆一
海を探した
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エイクピア
Creative
涙の魔法
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秋乃 夕陽
透徹
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ヒビキ 真海
ソフトに
https://www.breview.org/keijiban/?id=14913
西川晋之介
松田典子さんに捧ぐ歌
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西山智さとぽん
藍と幻葬のハルキズム
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テイムラー隆一
プルースト効果ってやつらしい
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14946
抹茶アイス
ただの医者のコロナのツイート
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14956
森川 暢(Toru Morikawa)
取扱説明書『記憶翻訳機、あるいは風景未遂』
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14993
A・O・I
星と水
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14999
小崎嘘
梅雨の蚯蚓
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藤重一雄
大人の掟
https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=14725
鯖詰缶太郎
Most Voted Work
幼馴染
az
https://www.breview.org/keijiban/?id=14909

