平素よりB-REVIEWへの投稿・コメント活動にご参加いただきありがとうございます。2023年4月の月間B-REVIEW杯選考結果を発表いたします。

~~~~~

目次

・月間B-REVIEW大賞
・投票作品
・雑観 by 仁川路 永扇
・思うこと – 次期運営になる方へ by 沙一
・【お知らせ】寄稿してみませんか

~~~~~

・月間B-REVIEW大賞

 蛾兆ボルカ ( ID:210
青い空の下だと銀色の車は青い  』21票

・投票作品

 最終得票数が3票以上の作品を発表します。

trace15票
ぶっ殺すぞ11票
豆のうた8票
心の骨7票
思い出してみたんだが7票
む ゆ う7票
ムーンショット6票
かなしみについて5票
詩の朗読「よごした海、しぶきあげて海」4票
詩の日めくり 二〇二〇年七月一日─三十一日3票
詩の日めくり 二〇二〇年八月一日─三十一日3票
トライゴール3票
わたしはあなた/ぼくのきみ3票

※『心の骨』への空白コメントによる1票は無効として集計されています。

・雑観 by 仁川路 永扇

 もしもし?
 いつもお世話になっております、永扇です。肉体の性別としての性格を維持し続けるのもかなり苦痛であると自覚したため、きょうはわたしだけが書くこととなります(まあ実際にキーボードを打っているのは、という話になりますが)。
 ところで最近わかってきたことなのですが、太陽って卵子の暗喩じゃないですか?

・火の要素──筆もしくはキーボードへ降り注ぐ「熱量」の計算方法(偏見と独断で投稿作品をレビューしていく謎のコーナー)

 前々回の雑観では「基礎」、前回の雑観では「共感」、とテーマを絞り、雑文などを書き連ねて参りました。さて、反響の声が聞こえない無観客の劇場の中で、最後まで立ち続けることができる役者というものが、ソーシャルネットワーク主義の社会の中にいるかどうかと言われれば、「いない」と答えるでしょう──『非現実の王国で』という小説があるのですが、あちらも有識者に見つからなければそのまま埋もれていく金字塔であったと感じています。つまり、何かしらを放流し続けていれば、運が良ければ拾ってくれるような世界に、わたしたちは生きているわけです、どうぞ。

 そういえば、義父さんと肉体とわたしで岡本太郎展を見に行ったわけですが、音声ガイドの話の中で、「血を流しながら笑おう」という言葉がやけに頭から離れず。それができるのは状況によるとわたしは思うんです。基礎や帰る場所があるから、多少血を流しても平気なような、体重が50kg以上あるから400mlぐらい献血しても問題ないような、そういう話かなと受け取ったんですね。なんで急に岡本太郎展の話をしだしたかって言うと、彼はわたしが見るに「火の性質」を体現したような芸術家だと思ったんです。
 基本的に、人生の最期まで絵筆などの入力デバイスを握っていたような人って、芸術に対して並々ならぬ信仰心を抱いているか、もうそれしか自分にないような人が多いように感じていて、わたしはそういう人を「火の性質の人」とみなしていますし、多少惹かれる面はあるんですよ。その逆で、例えば芸術活動を「恋人がいないから」程度でやっているような人間には興味がありません。え、わたしの肉体についてですか? 多分わたしがいてもいなくても芸術、および創作活動はやっているんじゃないですかね……わたしがいなかった頃の記録が曖昧なようなので、回答も同じく曖昧です。

 そんな、内心の性別も人格の数も曖昧なわたしたちですが、なんと現世はインターネットがあります。誰にも言わなければそのまま荼毘に伏して終わりといった内容も、なんと拡散されたりされなかったりします。万象にとっての唯一の事実は「存在している」ことだけです。すべてはあるがままで美しいのですから。

 すみません、とっとと本題に移りましょうか。
 なお、紹介するに当たって、以下の内容をご了承ください。
 ・2023年5月27日現在において推薦文が書かれていない、もしくは、2023年4月投稿作品内で投票数が2票以下の詩を主に取り上げます(ビーレビ杯不参加の詩作品である場合、「不参加」の意図を汲み取るため「基本的には」取り上げません)
 ・別に「取り上げてほしい」という声から取り上げているわけではありません
 ・カード発行されたことがあるユーザーさんの詩は取り上げません
 ・手っ取り早く表現するなら「B-REVIEWといえばこの詩、このユーザーさん」といった個人的な感想となりますので、これを機にさまざまな方の詩に触れていただけると何よりも嬉しいです

yamabitoさん「工場
 この詩の中では「暗さ」や「寒さ」を主題としているようですが、なぜかどことなく「熱」を感知しまして。工場って広くて、従業員も多いイメージがあるので、熱がこもりやすい印象があるんです。そこでエアコンをつけるとすごい涼しくなり、快適になるのですが、まあ快適なのは人間だけじゃなく、シバンムシやコバエなんかも涼しい屋内に避難してくる。蜘蛛を見たくない場合、蜘蛛の餌となる虫に各自帰っていただく対処をしなくてはならないのですが、工員さんの中にはアラクネフォビア(蜘蛛恐怖症)の方がいないのか、共存している、もしくは気にしないでいてくれているように思えるんですね。声から口臭がするだとか、実際に工場勤務経験がある方なのかもしれませんが、音からもにおいって出てきますよね。ここまで書いててふと「うちにハエトリグモ来ねえかな」と考えました。お供え物ってこの時期放置しておくとシバンムシが営巣するんですよ

あさひなさん「氷と春
 傷の中でも切り傷は、どことなく温かい印象があるんですよね。というか傷全般がそうか、新しい血を作ろうとするから……おそらくかなり早いブラインドタッチで書かれたような筆跡の、それでいて整い切った文体が、「どうしても訴えたいこと」の存在を感じ取らせてくれるようで、わたしとしては『とてもいい』と感じるのですよ。
>繰り返されるものは
>ゆっくりと色褪せてしまうものです
 人生と重ね合わせてみると、小学校に入ったり、新しい環境に入る頃はわくわくの連続でしたが、それが4年生ぐらいになってくると「まだここなのか?」と疑念を抱き始め、せっかくの日本の特色である四季もどうでもいいように感じ始めたんです。そこに何かしらの刺激ができると、ありふれたもの、経験則から明日も太陽は昇るだろうと思って過ごしていたところに、「明日も会えるだろうか」「明日もわたしは生きているだろうか」と感じるようになっていく。わたしとしてはそのように受け取りました。
 あと、
>鮮やかな夢からさめたら
>モノクロームな現実に横たわっていました
 この部分に「ワヤン・クリ」という人形芝居を思い浮かべました。観客側には(実際は照明の色もあるが実質的には)白黒しか見えないのですが、操っている側には色のついたカラフルな世界がある。もしかするとしろいろの花、の白色って……もしかしたら、本当は、無彩色ではないのかも……

peace.pot.microdotさん「xio thaurube gahha uuru afetimekova lokudo azagaphasisky
 題名の『xio』の部分だけ見て「契絆想界詩(けいはんそうかいし)が出てくるのか?」と思って読み進めました(Class::XIO_PROCEED という曲があります)が、結論としては「たぶん違う」ように思いました。もしB-REVIEWに自分の作った言語のTrueTypeフォントファイルをアップロードして、それを閲覧者さんがオリジナルの形式……作者の想定のままで読めるのであれば、そういう機能があってもいいのかなとは思うんですけど、現行の画像投稿機能で代用できますし、おそらく使われないでしょうね。そもそもB-REVIEWに架空言語作者かつフォントを自作する必要のある方って、いらっしゃらないんじゃないか……と。
 こちらの詩に関しては、コメント欄も覗いてみてください(話者は「多くを語ること」がhateらしいので)。吸収さんのコメントがすごく「生きてきたし、今後も生きていく」人に見えるんですよね……。

いわみつさん「聖なる群青
 群青色、と言うと、なぜか青春、ひいては学生時代のように想起してしまいがちなので、それを念頭に置いていただきまして。眩いばかりの普遍性、というのがたとえば「校則」や「先輩後輩の関係性」のような、暗黙のルールがいきなり適応されたように読めました。それに傷つけられるということは……たとえば不登校だったり、保健室登校などに代表されるように、逃げてしまうこと。それができない人が、肉体と精神を切り離してでも、心の安静をとろうとする。わたしがそういう肉体でしたので。
 最後の一連が、不登校を経験した人にとっても、経験していない人にとっても、どこか救いを差し伸べる天使の梯子のように響き渡りました。

楽子さん「ソランジュ
 よくぞ言語化してくださったなと思います、秒間にある脆弱な狂気、世界の閉塞感について。オノマトペと実感の融合性が凄まじく、全編ともにうなづきながら読んでしまいました。
> 生かされる、ということと、生きる、ということに、明確な違いがあると判断する、
>   どこかにある自我が。
 ここ最近、虚無感に覆い尽くされていて、希死念慮まで行きかけたのですが、それはわたしが「生かされている」存在だと自分を認識していたからであると思い至り、この部分を読んだ瞬間にどこかで「少しでも有意義に生きよう」と、幼少期の呪いを思い出したんです。
 それでも。
> 何度も言葉を変えて、収斂と拡散を繰り返して、同じことを話そう。
 この一文に、「火の性質」を確かに受け取りました。
 お年寄りの方だと、同じ話をされることが多いのですが、もしかするとこの詩中の話者のような心境を元にして同じ話をされているのではないか、と感じたんですよ。通じるまで、あるいは、通じてもなお、投げかけ続けるのでしょう。
> といっても何も考えないままYoutubeのショート動画を見ている時間の方がはるかに長いのだと思う。
 ここだけやたら生々しく感じるんですけど、若い方の実感的な部分を垣間見れて良かったと感じています。

 ところでここら辺で種明かし、というかある人にとっては見えている部分でも、別の人にとっては見えていない部分ってあるじゃないですか。B-REVIEWの運営は確かにサイト内での権力?その手の力は有していますが、アレイスタークロウリーさんが夢の中でコロンゾンと大乱闘を繰り広げていても現実世界では髪の毛一本も動かせないように、別に詩に詳しいわけではないし、ただ単にボランティアで参加しているだけの、(現運営は)日本に棲息しているただの人間です。
 そのため、現状のB-REVIEWで大賞を取ることの達成感がない、という話も持ち上がりましたが、大賞を目指して頑張るというより、なんか投げてたら的に当たったぐらいのノリで投稿した方が気が楽なんじゃないかなと思います。YouTubeみたいに収益化されるわけではないので。まあリクルートで有利になるとか、そういう実利性はあっても……有利に……なるのか? 転職したことがないのでわからないんですよね…… ここで下手なこと書くと景品表示法違反に該当しかねないので、「(特に)大賞作品への批評は難しい」とだけは書いておきます。

 そうそう、岡本太郎さんをモデルにした特撮の「タローマン」ってのがいまありまして、それのカードを購入したんですよ。カードの裏面に書かれている内容で「タローマンと3つのちかい」っていうのがあるんですけど、それはたぶん基礎が整ってないとできないことなんじゃないですかね……

 今後の「偏見と独断で投稿作品をレビューしていく謎のコーナー」の予定としては、
 ・風の要素──アイテールに風穴開ける勢いで世界樹をはっ倒せ
 ・全芸術と呪術の関係性について──詩、小説、音楽、絵画、漫画、アニメ、動画、陶芸、手芸、裁縫、生花、料理、写真、声優、Vtuber、演劇、ゲーム制作のすべてに通じる「大いなる作業」
 グラウンディングを試しながら日々お過ごしください。(予定が変更になることももちろんあります)また、今回は記事の特性上、取り上げることのできなかった詩もありますが、今後取り上げる機会があると思われますので、ご了承のほど、よろしくお願いいたします。

 わたしからは以上です。どうぞ。

・思うこと – 次期運営になる方へ by 沙一

 以前お伝えしました通り、現運営(第六期)は2023年8月に退任する予定です。そのため、次期運営に名乗りを上げていただける方をお待ちしております。興味がありましたら、Twitterのビーレビ公式アカウントまでご連絡ください。

 ユーザーが運営に参加しやすいように、私たちは業務の負担をなるべく軽減することを志向し、定型業務のマニュアルも作成しました。運営不在月間を試みたのもその一環です。掲示板で問題が起きてもユーザー間で自主的に解決していただけたら運営が介入する必要はないので、それだけ負担が減るわけです。
 しかし、ひとたびイレギュラーな問題が起きれば、やはり時間的にも精神的にも負担を強いられることは否めません。ましてや運営は無償のボランティアで行っています。
 右から批判されては、左からも批判されかねない。誰もが納得のいく答えを見つけられなくても、場合によっては決断しなければならない。もちろんその一挙手一投足に責任が問われます。
 なので、頼まれて運営になるよりも、自らの意志で運営になってほしい。雇われ根性であっては、もしも困難に直面したとき、割に合わない思いをさせてしまうでしょうから。

 浅瀬で戯れているのもいいですが、深い海に飛び込んでみれば、きっと他では得難い経験ができるはず。……ただし、溺れてしまわないように泳ぐ必要はありますが。

・【お知らせ】寄稿してみませんか

 選考結果発表に、皆様からの寄稿をお待ちしております。
 内容は、常識に反しない限りで自由。ただし、運営で不適切な内容であると判断された場合、掲載を見送る場合があります。
 毎月一人一編づつ掲載する予定です。
 なお、報酬は出ません。ご了承ください。

 寄稿に興味がありましたら、Twitterのビーレビ公式アカウントか、 breview.works@gmail.comまでご連絡をお願いいたします。

 以上で4月選考の発表とします。

 2023.5.28 B-REVIEW運営一同