拝啓

運営者様

私、アリハラというものであります。本日投稿致しました拙作『エミリーの眼の中でわたしは眠る』を削除して頂けませんでしょうか。理由につきましてはこれから丁寧にご説明致します。

私のツイッターのフォロワーに、ウォルト・ホイットマンというアメリカ人男性がおりまして、彼からビーレビの私の詩を読み非常に不快に感じたと即座にDMが入りました。ウォルトとは私が20歳の頃、レイト島で捕虜収容所に収監されていた頃に偶然世話になり、そこから玉音放送後すぐにお互いのツイッターのアカウントを交換しました。そうして時が経ること数十年経ちました。

ウォルトは現在、アメリカのニューイングランドという地方に住み、ルースという女性と結婚してます。このルースという奥さんはアメリカでは大変有名な方のようで、何やら『菊と刀』なる日本文化論を上梓し、一躍有名になったようであります。彼女のおかげでウォルトは大変日本文化に造詣が深いのです。そして最近では万次郎なる何処の馬の骨かもわからぬ謎の漂着民である日本人男性に日本語を教わっており日本語にも堪能であります。そして夫婦にはエミリーという娘がおりまして、私はこの度エミリーのことを主題にして拙い詩を書いたところ、コピーペーストに誤りがあり送信してしまいました。その結果、拙作は不本意な形で途切れたまま投稿されてしまい、ウォルトはそのことで私に激怒しておるのです。

“DELATE It as soon as possible to MAKE AMERICA GREAT AGAIN”

私は尋常中学卒業後、月島の魚河岸で中問屋として丁稚奉公しておりましたから無学なもので、英語はとんと分かりません。ですので一人娘の華族女学校で英語教師として働いております、梅子に読んでもらったところ下記のごとき内容のようであります。

曰く、おまえの途切れた詩は娘のエミリーを凌辱している。途切れた詩を投稿するとは「ピューリタリズム精神」に反する行為であり、エミリーは敬虔なピューリタンである。だから許さない。よっておまえをバロウズという男と「ウィリアム・テルごっこ」をさせる。もしくはおまえの娘の梅子をニューイングランドのセイラムという地域に送り込み、そこで魔女として一生暮らすこと強いる。

そういう内容らしいのです。私は無学なものですから彼の言うことは皆目理解できません。私の上司に鮎川信夫という米国通の男がおりまして、その男とLINE電話したところ、
バロウズなる人物と「ウィリアム・テルごっこ」を興じることは即ち死を意味するということらしいです。そしてセーラムという地域で「魔女」として生きる女性は生命の危機にさらされるとのことです。

私はまだ死にとうございません。
娘の梅子もまた津田塾なる学校を作る野心を燃やしているところですから彼女をセーラムなる危険な地域に送りとうございません。

どうか、どうか、運営者様。御奉公様。温情頂きとうございます。どうか私の詩を即刻削除して頂けないでしょうか。こうこうこういう所以なのです。お頼み申し上げます。

アリハラ・リョウ

恐惶謹言

「削除依頼」に4件のコメントがあります
  1. 運営の渡辺八畳です。
    本当の削除依頼と間違われそうな投稿はやめてください。
    件の作品についても不用意な別垢使用という、ガイドラインに反する投稿なため対応を検討中です。

  2. いえ、本当の削除依頼なのであります。
    拙作は、別垢ではございません。それはアカウントが変更されてないことから明らかなことと存じます。

  3. ガイドライン読みました。資格という言葉がありますね。参加資格。全員それ満たしてないですよ。なぜなら契約書交わして署名も押印もしてないから法律上資格にならないです。

  4. 依頼と作品の扱いについては管理者様との話し合いまたは管理者判断となろうかと思いますが、エミリーの嫌ったホイットマンを尊敬はするけど好きではない読者として、1点だけ。梅子さんが送り込まねない危険があるのは、セーラムではなく、オメラスではないでしょうか?私の勘違いであればすみません。

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