ウェルカム!ビーレビュー。日本は真冬(大寒)、オーストラリアは夏ではありますが、今回、ビーレビュー運営より、シェア、レコメンド、推したい、賞を付したい作品を12月の間から投稿されたものの中から選びました。今月、12月期は、主にカオティクルConverge!!貴音さん、氏が主だって、選考の方向性を示して下さいました。優良作品4作品、佳作作品3作品になります。また、ポイント制度に於ける、得票数一位作品、4作品も評します。皆さま、いつも投稿、コメントありがとうございます!!

 それでは張り切って参りましょう!!

【優良作品】

コバルト

妻咲邦香

https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=12089

シンプルにパンチラインがふんだんに盛り込まれている。もうメッセージ性がどうとかの詩じゃなくて、センスのしなのかなと。

なので、どうして題名コバルトなのか、違うとするなら何なのか、サッパリ分からんけどそれで良いんだと思う。【カオティクルConverge!!貴音さん】

葬儀、地球の

おやおや

https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=12113

葬儀、地球の、の、語り手のポジションが絶妙であり、じっさい、この語り手はいつでも軽々、宇宙へ行ってしまうことも、これはできるのではないか、と思われる。それでも、地球に愛着があるらしいけれども、例えばこれは、仏教に於ける「煩悩」ではないかと思われる。歎異抄、の中で、弟子が親鸞に伺う。どうして亡くなったらば極楽浄土へ行けるというのに、全然、喜べないのでしょうか?親鸞は、お前も同じ悩みを持っていたか、といい、それはこの生まれ育った世に対して執着心があるからであって、そして未だ行った事のない、極楽浄土に憧れる気持ちがないのは当然ではないだろうか、と返された。

 その現在では持続可能なエネルギーとか環境づくりなど、SDGsか、その姿勢がどんな企業にも求められているけれども、見通しは暗く、そうして、SDGsを徹底すれば、普通に生活する事も困難になってしまう、という意見もあるけれど、この所、専門家ではないのでよくわからない。関心はある。さて、作品に戻ろう。

 >生きていようとも、死んでいようともどうでもいいか、とぼくは、思った。

>そんなこと、はじめから問題じゃなかったんだ、とぼくは、気づいた。

一体、ぼくは、何に「気づいた」のだろうか?もしかして、この、ぼく、は極個人主義的パーソナリティを持っており、地球ではなくて、まあ、その地球が死に向かいつつ、自己が生きていることの方がよほど、重要度の高い事だと考えたのかも知れない。

そのような後ろめたさを持ちつつ、どうでもいいか、という気持ちがないと、バランスが悪くやっていけない。そういう気持ちであるならば、私もわかるのだが。【田中教平】

 尚、この作品には、鳴海幸子 さんの興味深い批評文

「おやおや氏「葬儀、地球の」を読んで」 が、注目を集めていました。要チェックです!

おやおや氏「葬儀、地球の」を読んで

鳴海幸子

https://www.breview.org/keijiban/?id=12211

ヘルタースケルター

1.5A

https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=12095

輪廻転生、生まれ落ちて、生きて、死んで、召されての流れみたいなのを感じました。

でも最近って人がやたらと死んでて思うんですけど、私の死生観的にあの世は存在しないんですけど、もしあるとしたら飽和状態になってきているんじゃないかなと思ってる。なんか現で幽霊が見えるのって、あの世がぎゅうぎゅうだからなのかなって、生まれ変わりの数にも限りがあって、漏れたのが幽霊なのかなって。多分、そのうち限界が来て霊が幅をきかせる為に人を消していく、生まれ変わりじゃ無くて、消して行くことが行われるんじゃ無いかなとSFしました。

実際の所、メッセージ性を汲み取ってあげれていないんですけど、ワードが好みです。

【カオティクルConverge!!貴音さん】

在処

https://www.breview.org/keijiban/?id=12050

作家「稲垣足穂」によれば、死、とはこっちの部屋から向こうの部屋へ移る事に過ぎないらしい。「南方熊楠」は幼いころ、神様の正体を見てやる、といって、戸を開けると鏡、であって、期待を裏切られてか、その鏡を放り、小便をかけたという。私は故、細木数子の六星占術によると、木星人の霊合星人という事で、なにやら、死後の世界に興味関心がある人間であるらしい。私の精神的な病も、又、私の嗜好というものも、何やら死後の世界を気にかける部分があるので、前述した偉人二人のように「死後」や「死後の世界」をあっさり、割り切る事が出来ない。そうして色々考えたけれども、「死」からの感化というもの、これをもう諦めてしまって、自分の中のコスモの一つ、として受け止めるしかないと今考えている。生きていれば、世の中、愉しい事もあるけれども。とにかくどこか影として気にしてゆく。この「在処」もそうだけれども、この作者の書くものには必ずどこか死の匂いがある。その作品が書かれる事はまるで一つの祈りの形ではないかと。そういった部分に私は深く共鳴する。この作品では自身の強迫症の事が書かれているけれども、詩にしなければどうしようもない事がある。最後の手をたたこう、というのはまるで脆弱な最後の、生への渇望のようでもあり、空しく耳に響く、パチ、パチ、という音を聞いたような気がした。今後ともこの作者の作品に目を通し、耳を澄ましてゆきたい。【田中教平】

日常の突き付ける問いに、懸命に答えようとしています。不確実な「この」せかい。きみとぼくという考え方は、いつからか自分の中で硬く浮かんでくるようになったものと、私自身は感受します。生きられない、という答えに、ある種の人たちは結論付けてしまうのか。死にたくないのに死なざるを得ない。その実存の極みに救いはあるか?手をたたけば何かが変わるのか。死にたくないなら、手でも何でもたたいて、鼓舞していこう。日常をビートで叩きのめして、石のように転がって行こう。そんな感想を持ちました。【黒髪】

【最多得票作品】

fingerprint

完備

https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=12120

 この作品なんかいいなと思うのは、誰かの下腹部に耳を当てるというのは、すこしかしずいているような様子になるだろうなと。彼と彼女は光に照らされて、まるでグッドエンディングのようなポエム。素敵なのである。finger-printはすこし視界をぼやけさせながら、それでも明るみを透き通すのでした。【天才詩人2】

花束

Rai

https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=12108

 お店の人というのは当たり前だけど何時間も何時間もお客さんを相手にしているので、それはそれは膨大ななんとなくデータベースが顧客に対して構築されており、新しいお客さんに対してもそれはそうなのであり、この人はなになに用、この人はなになにだな、という推測をするのがカスタマーサービスであり、お花なんて贈答的な役割が近いものはまさにそういう仕事であるが、何よ、別に花束を自分に買ってもいいでしょ、みたいなツンデレが現れることはあまり想定していない、マジョリティーじゃないかもしれないけど私は私なんだから系のポエムですね。なんか素直になれなそうでなれそうでなれないみたいな。【天才詩人2】

じゃっかる

入間しゅか

https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=12068

 こうギャグみたいな軽めの主題キーワードのチョイスでありながら実は実生活の重さを記述して、ギャップの妙味を作るやつですね。地球さんなんかはこれに輪を掛けて国際性とか、場所に対して上手く言及されて、ギャップ、世界観の広さを表現なされたりします。よかったらご参考になさってはいかがでしょうか。【天才詩人2】

げんざいちてん。

A・O・I

https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=12022

 凝ってるなと 笑 当たりまえだろ!というツッコミ待ちのやつですが、A.O.Iさんの作品に対して言及するというのは、そういうことにならざるを得ません。俺が信じるのはクリエイティブライティングとか詩作とかってのはどこまで自分がとりあえず納得できるかの勝負であり、その美学が時に人の心を打つこともあるという素晴らしくも危ういアート活動であるということであり、他人が基本的にはとやかく言うことのできない性質なものなんだろうなと。なのでA.O.Iさんはそのまま思う存分その作風を突き詰めていってほしいなと思いを新たにしました。【天才詩人2】

【佳作】

シノハラ マサユキ

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この詩を語るのに、先の戦争そうして認知症の事を念頭に置く。私の祖母ももう八十になるのではないかと思う。それでも、私が東京へ上京するとき、十年?十五年前には、戦いにゆく、という意味であろう、黄色いリボンを渡して下さったのだけれど、その時、そんな意味はわからなかった。先の戦争は稲垣足穂に「歴史の上っ面のさざなみだ、悪い夢をみていたような気がする」と言わせたけれども、やっぱり人によっては、深い影を落としているのは2024年でも変わらない。こうして作品とする、というのは大切な事なのだと思う。

 私は1987年生まれで、個性の時代に育ち、確か窪塚洋介が右翼、愛国主義の青年を演じた映画作品があったと思うけれど(タイトル失念)、愛国主義にこれは触れた、と思うのは、日本語ヒップホップの影響と、正岡子規の影響に於いてであった。永らく私は中原中也と小林秀雄の人だったけれど、小林秀雄は「個性」の人間であって、「日本人」及び「日本民族」なんて言葉を意識して使用したことは、確か、無かった、と思う。ごめんなさい、凄く蛇足ばかり書いているような気がするけれども。そういった意味で、この作品は少子高齢化が危惧される現在にあり、どうなるかわからないけれど、現在、自民党がガンガンやられていて、そこに一点、保守とは。平和とは。という感慨をもたらす。私に不意打ちを与えた作品だと言える。加えて書けば、この作品はフランス詩を訳したもののような文体になっている。【田中教平】

或る人

さか たけお

https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=12041

呪っているような、または呪われているような、指を折る度に広がる暗い回想、ただひたすらに鈍く重い、ダークアンビエントポエム。

Nという人間が指を折られていく度にハッキリしていく。【カオティクルConverge!!貴音さん】

神さん

熊倉ミハイ

https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=12097

神さまと、男?との関係が緩くシュールに描かれていると思います「夢を叶えるゾウ」のガネーシャみたいな印象を持ちました。

私は自己分析だとぶつけるような書き方をしている事が多いので、こういった空気感というのは作ることは出来ないので尊敬しました。

 詩文の中で性の単語が幾つかでますが、ムラって感じやエグミのないように使われているので、そこも良いなと思いました。言葉を口説いてゴムもせずにセックスするというのは、嘘だったり隔て利の無い付き合いをする神様なんだなと思いました。しかし、性病を患っているとのことなので、丁寧な関係が無いと病んだり、孕んだりすると思うので、コンドームが必要なのだろうなと思わされました。【カオティクルConverge!!貴音さん】