夜、落ちていたコーヒー缶を見つけた
どれくらい前のだろう
もうずっとずっと浸ってたろう
赤茶色の数十年の我慢に
それを何気なく拾い
しばらく歩き続けると
今度は花が星に照らされて落ちていた
土から離されて
まだそう経ってはいない
その鮮やかさは枯れるためのものか
しばらくする月が出て
池のそばの東屋が見えてきた
僕はそっと缶に水をすくって
そこに花をさしてやると
手に抱えながら椅子にもたれかかった
星はただ静かさに沈み
木々はただ揺れにゆれ
それだけの世界が広がっていた
それだけがただ手放しがたかった