眼病
作成日時 2019-02-14
コメント日時 9 時間前
今日もまた犯罪者の名前が美しい 雪のようにくっきりと わたしたちには秘密が多すぎる 空想の森は黒い森 灯りを消してベッドに倒れこむ 闇は光の母 野いばらの瞳が見たものすべてを傷つけるわたしは 瞳に流星が降るから盲目の少年の手を引き あだし野を歩く途中 虹を見たら死んでしまうギタリストと出会う 「眼病」という名の物語はつねに破綻する それで良い 適度なストレスは生きるのに必要 快楽にかわれば麻薬と同じ 太陽になりたかった月が自傷する 眠れ 眠れ 球体関節少女 たくさんのうてなを抱いたわたしたちを 同じ朝の光が射ぬく
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犯罪者の名前が美しい、とは! 最高の書き出しじゃないですか! だがしかし中盤から後半情報量が密になり、なおかつ意味を瞬時にはつかみかねる描写が多くなった分、惜しい作品になったかもしれません。しかし素晴らしい出来栄えなのは事実。久しぶりに即コメしたくなりました。
stereotype2085さま 読んでくださりありがとうございます。 最初の一行は書くのに多少勇気が必要だったので、褒めていただき安心しました。 ニュースを見て憤るでもなく、犯罪者の名前が「涼しげで美しいな」などと感じるわたしは何か欠けているのかもしれません。 中終盤は仰るとおりですが、意図的に韜晦して多様に解釈できるようにしたので、気に入らないなら仕方がない所もありますね。 素晴らしい出来栄えとの言葉、心から嬉しいです。 コメントくださり本当に感謝しています。
読みやすかったです。比喩を飲み込むことに違和感なく受け入れられました。
こんにちは。 一行目から魅力的で、心を掴まれます。 あくまで私なりの解釈ですが、 快楽にかわれば麻薬と同じ などといった表現から、冒頭の犯罪者とは、原罪を犯した者、あるいはその末裔としての人間ではないかと思いました。 眼は口ほどにものを云う、という諺もあるように、眼は、見るための器官であると同時に、見られる器官でもありますね。そう考えると、作中人物たちの「眼病」とは、うまくいかないコミュニケーションの象徴のようにも捉えられました。後半は、そのもどかしさが表れているような。 幻想的な世界観や、美しい表現は、弥生さんの持ち味だとあらためて感じられて、とても好きな詩です。