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amaoto   

作成日時 2017-11-03
コメント日時 2017-11-18

ガードレールに捲きついた 細い蔓植物が雨にたたかれ揺れている 雨はそれほど強く降っていた たぶん汗なのだろう、額から頬にかけて液体が流れ落ちている さらに背中は液体で飽和され まるで別の濡れた皮膚を纏っているかのようだ 雨は降るべくして降っている 草は、乾ききった葉の産毛をゆらめかせ、雨を乞い 重い空はすでに欲情していた 二つ三つ水が落下し、やがてばらばらとちりばめられ 草は今、雨に弄られ、四肢を震わせている  私は無機質に草を刈る たった今まで草たちは悦びに満ち溢れていた、その草を刈る 草は断面を切断され、ひときわ臭い液体をこぼし 雨にくったりとその残片をアスファルトにさらしている 私たちは雨の中、いや、土砂降りの中 まるで水中を漂う藻のようにふわふわと何かに押され、引かれ 脳内のどこか片隅から放たれる小声に従い、動いていた  雨、その水滴に溶け込んだ念仏 水滴が引力に引かれ落下し アスファルトという固形物に撃ち当たり 球体が破壊される炸裂音 その音が、ひとしきり私たちの外耳に吸い込まれていく 脳内の広大な農場に張出した棘の先端を おだやかに覆うように流れていく 私たちは皆、ひとりひとりが孤独な生き物となり 降りしきる雨の中を 新しい戦いのプロローグの中を ゆったりと活動していた


項目全期間(2019/05/23現在)投稿後10日間
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2019/05/23 12時16分48秒現在
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コメント数(4)
まりも (2017-11-07):

〈草は、乾ききった葉の産毛をゆらめかせ、雨を乞い/重い空はすでに欲情していた〉 草、が、植物ではなく、まるで生き物として揺らめているような・・・その生き物と、まるで空の体液のような雨、自身の汗が混ざり合う混沌の感覚。そこから、どこに向かうのか、と思ったら・・・ 〈私は無機質に草を刈る〉この一字下げの部分、はっとさせられますね。もう一か所の一字下げ、 〈雨、その水滴に溶け込んだ念仏〉生き物として目の前にある草を、刈り取るという行為。生を断つことへの想いが、雨の烈しさの中で際立っている。 〈まるで別の濡れた皮膚を纏っているかのようだ〉カッパを着ているのでしょうか。あるいは・・・防護服。単なる草刈りではなく、除染のための、草刈り、であるのかもしれない(これは、私の勝手な空想ですが。) 〈脳内のどこか片隅から放たれる小声に従い、動いていた〉この一節に、本当はやりたくないけれど、やらねばならない、そうした想いが現れているように感じました。除染を想起したのは、その故かもしれません。 あえて丁寧にロジックを重ねていくことで、衝撃が伝わって来ることもあるのだ、と唸らされたのが、次の三行。 〈水滴が引力に引かれ落下し アスファルトという固形物に撃ち当たり 球体が破壊される炸裂音〉 その音は、心的に受ける衝撃の強度でもある。 さらに言えば、外界に広がっている農場、ではなく、〈脳内の広大な農場に張出した棘の先端を〉 今度は〈おだやかに覆うように流れていく〉という衝撃度の落差も印象に残りました。 状況は正確にわからぬながら、土砂降りの雨の中で、雨音に激しく打たれながら、命を絶つ、ということについて考えている、考えながら無機的に腕を動かし、仕事を遂行していく。その過程で感じ取る、ある種のさとり、のようなもの・・・それがきっと、〈ひとりひとりが孤独な生き物となり〉という、在り方、なのでしょう。

静かな視界 (2017-11-08):

まりもさん、いつもレスありがとうございます。 時間的な部分に整合性が無いので、一字空けにしています。  昨今の詩風というのは私はよく理解できていません。 なので、もっぱら、古い(・・と呼ばれているのでしょうが)記述が多くなっているようですm(__)m

沙一 (2017-11-17):

やまない雨のなかで生きる、一個の生命のかたちを感じました。 私は無機質に草を刈る 雨、その水滴に溶け込んだ念仏 などといった言葉が作品中のポイント(頂点)となって、そこから坂を下っていくような速度感で、詩の全体を読ませてもらえました。

静かな視界 (2017-11-18):

沙一様、おはようございます。 私の詩は、どちらかというと雰囲気だけのものが多く、理路整然とした技巧はあまりありません。 なので、そのように鑑賞対象としていただくことが唯一の生命線かと思っております。 どうもありがとうございました。

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