B-REVIEW作品投稿掲示板


女神   

沙一 
作成日時 2018-11-01
コメント日時 2018-11-04

 

安いワインを飲んでいたら なんだか無性にせつなくなってね そう言って彼は 俄かに表情を歪めた 微笑んでいるのか 哀しんでいるのか 傍目からは判別し難い よかった過去を思い出し グラスを片手に 背を丸めて語る彼の姿は 聖地を訪ね歩く 巡礼者のようだ 永遠に美しく崇高な 彼の内なる女神 情熱の赤と 悲哀の青が 交じりあって 彼のグラスのワインは 深い深い紫色をしている 勘定を済ませようと 席を立ったとき 彼の姿はもうどこにもない 感情を飲み干して 透明なグラスが一つ 底に紫の残滓を留めていた


コメント欄を隠す
まりも (2018-11-02):

映画のワンシーンのようだと思いながら読んでいて・・・最後の転換で、おお、となりました。 比喩も詩だけれど・・・リアル、が、実は虚構だった・・・そして、その虚構こそが、私(の心にとっては)真実なのだ、というところに「詩」がある、と思うので・・・おお、となったのだと思います。 女神は、何者なのだろう。羽振りの良かった(事業がうまく行っていた)時のことを思い出して、感慨にふける男の「内なる女神」。 少したとえが安易なような危うさもあるけれど・・・ 俺が求めていたものは、金や名誉ではなかった、という思いが、巡礼者、というイメージの中からにじんでくるような気がしました。

ふじりゅう (2018-11-02):

拝見しました。 ワインを使った彼等の心情描写、見事だと思います。巡礼者をどう読み解くか迷いましたが、私は、彼が理想の相手、つまり「女神」を求め歩く様子だと考えました。締め方が魅力的です。ワインを飲み干した後の、(これを「感情」を飲み干すと表現されております)ほんの少しの残りを示して終わる、そこに何とも言えぬ切なさを覚えました。

沙一 (2018-11-02):

まりもさん コメントをありがとうございます。 現実が虚構であり、虚構が現実—— 自分の書くものは、作風などはちがっても、このような主題が多い気がしています。 女神には、いろいろなイメージがありますね。 venus, muse ... 他にもあるでしょうけど、自分にとっての女神は muse(詩神)かなと思っています。

沙一 (2018-11-02):

ふじりゅうさん 男性は恋人に、自らの無意識にある女性的な面(アニマ)を投影するとユングは云いますが、そうした内なる性と統合しようとする心理は、神と結ばれたいと願う神秘思想に似ているかもしれません。 巡礼を、理想の相手を求め歩く様子と解釈していただいて、そのようなことを思いました。 感情を飲み干す は、ちょっとした言葉遊びもしていますが、気づかれなければそれもよしとしましょう。笑 せつない雰囲気を感じ取っていただき、ありがとうございます。

完備 (2018-11-03):

冗長すぎ, また, 面白い発見があるわけでもないように思えます. 宗教的なモチーフと「安ワインを飲む男」という俗なモチーフの組み合わせはやや新鮮かも知れませんが, 率直に言うと成功しているとは思えません. 何をしたいのかもそもそも不明瞭な印象です. 情景描写を深める, 心理描写を深める, 宗教的なモチーフと俗なモチーフの融合をより高いレベルで実現するなど, 様々な方向性があり得るにしても, もっと「突き詰める」余地があると感じました.

沙一 (2018-11-03):

完備 様 手厳しいコメントを、ありがとうございます。 自分がどれほど、主観に陥っていたか、痛感しました。 作者の心情はともかくとして、澱みのない視点で読んでくださる方に、訴えかけられる内容の深さが必要だと、気づかせていただけました。 ありがとうございます。

オオサカダニケオオサカダニケ (2018-11-03):

女神の唇がみえました。なぜか彼に正しさの軍配を挙げておられるように描写なさいますね。もう少しよく読んでみたいです。

沙一 (2018-11-03):

ニケさん って呼んでいいかな。 彼に正しさの軍配を挙げて—— そういう読みもあるのかー、と新鮮に感じました。 的を射た視点だと思います。 グラスは一つだけなんです。

オオサカダニケオオサカダニケ (2018-11-03):

ニケでどうぞ。グラス一つ、理解しました。

stereotype2085 (2018-11-04):

序盤がとても素晴らしかったです。ただ「聖地を訪ね歩く/巡礼者のようだ」以降が少し大げさな気がして、上手く乗っていけませんでした。身近な生活の一ページが描かれた段から、何段も上にある聖書の一節によじ登ろうとしているような印象がしました。徐々に一段ずつ登っていけば、つまり詩の描写にもう少しクッションがあれば、後半もすんなり入っていけたかもしれません。やや辛辣なコメント失礼を。

沙一 (2018-11-04):

stereotype2085 さま 生活の一場面から、聖書の世界に、徐々に一段ずつ昇っていく—— なるほど、そのような表現方法もいいなと思いました。 Led Zeppelin「天国への階段」が思い浮かびました。 いろいろな見方で作品を評していただけることは、ありがたいです。感謝しています。

コメントを書く
コメントを書くにはここから登録してください。またはログインしてください

投稿作品数: 1

© B-REVIEW 2018