花緒の選評<2018年6月分> - B-REVIEW
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書かざる言わざる、雄弁に水銀を

黙って笑ってろ、沈黙は金

これを見ているあなた、恥ずかしくはないんですか? 答えられないのですか。 なんでですか。 理由があるという訳でもないのですか? ああ、そうか。 全部、冗談だというのですね。

鳴海幸子

夏は夜。月のころはさらなり

田舎の夜道は暗くとも、恋は華やかで明るい——

沙一

あなたとどんぐりとハナミズ……

悪意のないホローポイント弾

ここには○○の残酷さが描かれている。 ○○が何なのかは、読めばわかる… …かもしれないし、わからないかもしれない。 感じ方は「人それぞれ」だから。

R

祖父の痕跡

黙想を貫いた彼が最後にみたものは…

祖父の遺物が並んだ「私」だけの世界… 彼の深層に踏み込むべく「私」は宝物箱に触れてしまうのか…祖父とは一体何なのか…

つつみ

直列つなぎ-うんこ!!(……

青春の現代詩

青春はいつも、エロくて汗臭い。そして切ないけど優しいところもあり、美しい瞬間もあるけど、昆虫たちも僕らも命を捨てて夫婦になることを受け入れる。それが生きるということだから。個人的には、僕は飯田華子さんの紙芝居を観に行きたい。

蛾兆ボルカ

ちがう星

ピッチャーとキャッチャーみたいだね

それから時々 おなじ星

のいえられこーず

いつまでもあいさつをしてゆ……

伝説の流行語はここから始まった

「かきかきたぶんしない」は伝説になった。わからない人には永遠にミューズは来ない。

のいえられこーず

粘土

こんにゃろっというやり場のない怒れる者よ

ほの暗い系男子がたどり着いた極北のモノローグがきみにはわかるまい

のいえられこーず

菊の花

2020年10月の裏番長/裏大賞

これの良さがわかるまで詩を書くんじゃない

のいえられこーず

死んだベテルギウス

地球は退屈な諦念に埋め尽くされてる

重力に支配された地球人にはわかるまい

のいえられこーず

風吹き抜ける青

残酷なロマンティズムがきみにはわかるまい

そのまま生き地獄で野垂れ死にするといいという孤高の美

のいえられこーず

ぢんせぃ

その喪失感は夢かうつつか

ネットとリアルがボーダーレスな、デジタルネイティブ世代の感性──

沙一

潮風

潮の香りにのまれるように

不思議な気配が手招きをしている

帆場 蔵人@⚰

空の下

大自然という舞台への出奔

二人が走り出す。広大な大自然という舞台へ。

羽田恭

明るい朝の歌

明るい朝のうらには、暗い夜があった

外をみつめることが、内をみつめることにつながっている──

沙一

震え 揺れ 回る

一気に詩情が注ぎ込まれていく。 それが 震え 揺れ 回る。 詩を詠み終えても、止まらない。

羽田恭

生きるためにパイを焼く

どうしようもなく生きていくということ

ただパイを焼く。それだけなのだけれど、衒いも奇抜さもなく心にぶつかってきて揺さぶられる。

帆場 蔵人@⚰

別れ

靴の哀しみ

歩くための存在でありながら、誰かが履いてくれないと歩き出せない存在が、絶望して待機してる

蛾兆ボルカ

パパの日曜日

しがない日常に飽きてしまったすべての人へ

ごく平凡な日曜日のパパが、壮大で絢爛豪華な世界へ旅立つ——

沙一

「中央公園より」

わかりあえなくたっていい

人種、国籍、性別、年齢、人間同士のわかりあえないディスタンス、そんなことよりも、おたがいに笑っていよう、ここはみんなの公園だから——

沙一

わたしの髪は生きているのか……

心を亡くしてしまいそうなときに

ささやかなお洒落をたのしむ、それは自分が自分であることをわすれないために、ひつようだったのかもしれない——

沙一

angel coffee?……

一瞬と、永遠

幸せなコーヒーと、降りやまない雨、好きな人といるとき、あなたならどちらを選びたいですか?

沙一

食べ物と死ぬ人

目が付いているうちに読みたまえ諸君

傑作。 目が付いているうちに読みたまえ、諸君。他に言うべきことはない。

石村利勝

別れ

余りにも挑戦的、だがそれがいい

数ある一行詩の中でも、想像力/表現力がとても高い作品。最初は(え、これだけ?)と感じることだろう。しかし、これだけ?からの作中世界の広がり方は、これだけ?発言が恥ずかしくなるほど広すぎるのだ。

ふじりゅう

ママンへ

散り際にも見えるママンの後ろ姿

無駄なくそつなく、それでいて大胆にママンに語りかける。「ママンへ」あなたはこの書き出しで何を思い、連ねますか?

stereotype2085

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花緒の選評<2018年6月分>    

○雑感  私事で恐縮ですが、7月から職場が変わりまして、月1くらいのペースで海外出張しなければならないことになりました。そのため、これまでのようにB-REVIEWの運営に時間を割くことは難しくなりそうです。近々、B-REVIEWの運営から外れることを検討しています。只今、協議中ですが、場合によっては、正式に退任の挨拶を書かせて頂くことになるかもしれません。どういう結論が出るにせよ、B-REVIEWとの関わり方は変わらざるを得ないと考えています。  これまでのB-REVIEWの運営を通じて、多くのことを学ばせて頂きましたし、たくさん楽しみました。多くの力のある書き手に参入いただけたこと、良作がたくさん投稿されたこと、新しい場の創設に加われたことを誇らしく感じています。参加してくださった皆様には感謝しています。  今後も作品が書けたらB-REVIEWに投稿したいと思っていますし、気になる作品があれば、コメントをつけたり、時間に余裕ができたら、フルキュレーションにも参加したいとは思っています。とはいえ、先に述べたように、継続的に、運営に時間を割くのはほぼ不可能な状態になりつつあります。できれば、どなたかに運営に参加して頂きたいと思っています。お気持ちのある方は、百均にコンタクトを取って頂けると幸甚です。  継続的に投稿してくださっている方ならなんとなくご理解いただいているところかと思いますが、細々とした雑務や荒らし対応などの多くの部分を引き受けて今までやってきました。ただし、現状では、工事などもひと段落していますし、荒らしカルチャーからも脱却できています。あまり、私が牛耳っているような感じが出ない方が、たくさんの方が参加する気になれ、コミュニティ感覚が醸成され、ひいては、より豊かな場になるかもしれません。身勝手なことを言うようで恐縮ですが、そろそろ身を引くべき時期かなとも思っております。  もしかすると、最後のフルキュレーションかもと思い、これまで以上に、自分の好みを前面に押し出した形で選を決めさせて頂きました。お目汚し失礼致しております。 大賞候補 イマラチヨ 今田千代  https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=1916 放言の極みのような文章の羅列であり、人の心を打つことや、自分の内面と向き合うことなどを企図している風が全くない。インダストリアルテクノのように、従前であれば、作品の構成要素ではないと思われていたパーツだけで構築されている。ノイズ音楽が、音楽の否定としての一面を持っているように、本作は文学の否定を含むパフォーマンスと見える。文字を書く際のスタンスそのものに創造性がある。書かれていることは反社会的であり、悪ふざけの極致のようでもあるが、嫌な感覚は伝わってこない。呪詛の向こう側に到達している稀有な作品である。 優良 Cake イル https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=1867 あまりにも甘く、あまりにも凡庸な言葉の連なりなのに、明確に詩情が宿っている。構成要素に分解して検討してみても何一つ新規性はないはずなのに、また、多義性や重層性があるわけではないはずなのに、詩、を感じる作品である。批評や解釈に回収できない強さがある。ただただ良い。 1bit、6月、ツイート詩# 5or6  https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=1934 ツイッターで詩をつぶやいている人は数多存在するが、ツイッターの性質、すなわち連作として作品を繋げていけることや、何気ないツイートも連作の中に包摂できることなどを援用したパフォーマンスは少ないように思う。ツイッターの特性を知悉した作品のように感じた。日常の延長にある言葉を連ねて、分かりやすいポエジーを感じさせる作品でもあるが、その一方で、作品として構築されたものより、日常や生活の中から自然と湧き出てきた呟きこそが詩なのではないか、といったことも考えさせられる。 シンクロニシティ 5or6  https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=1938 構成の妙が光る一作。詩的想像力と現実のシンクロニシティなのか、現実の中にあるシンクロ二シティなのか、何と何のシンクロニシティなのか曖昧さがあって印象に残る。善人なのか悪人なのか全く不明な人物造形も、現実味があるのだかないのだかよく分からない浮遊感があって、良い味が出ていると思う。 推薦 翅一枚 桐ヶ谷忍 https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=1860 蝶の話と私の話が重なり合ったかと思うと、いつしか蝶への恨み事に行き着く。対象との境界の曖昧さと、自傷的なセンスを感じさせる叙述が合わさって、絶妙にダークな感覚が伝わってくる。 誰にも言えない話 仮名吹(かなぶき) https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=1839 一見、標語のようなのに、標語とは全く異なるポエジーを宿している。リーダビリティも高く、明らかな良作。 おとなになる 柴田蛇行 https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=1879 夢日記のような文章だが、適切な分量と詩的想像力が合わさって、読める連作に仕上がっている。 fractal 完備 https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=1848 表層でふっと消えてしまうような儚い言語空間。締めの言葉にもセンスが光る。


作成日時 2018-07-15
コメント日時 2018-07-15

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作品データ

コメント数 : 1
P V 数 : 528.2
お気に入り数: 0
投票数   : 0

花緒の選評<2018年6月分> コメントセクション

コメント数(1)
ゴロ(ちゃん。)
(2018-07-15)

とりあえずお疲れ様。 詩サイトの運営の大変さは自分も少しなりに関わった側なのでわかる方だと思う。 何にしろ気持ちにそって続けて行けばいいと思う、会えたら話そう。

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